なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

慢性硬膜下血腫

2019年11月20日 | Weblog

 先月末に次第に動けなくなった90歳男性が救急搬入された。家族は認知症に進行によると思っていたらしい。検査の結果、慢性硬膜下血腫(かなり経過は長い)と診断された。(左が診断時で、右が術後で1週間前。あまり変わりがないような。)

 

 地域の基幹病院脳外科に救急搬送された。血腫除去術を受けたが、肝機能障害・腎機能障害が続いていて、全身浮腫もある。経口摂取できないので、経鼻胃管から経管栄養が行われていた。連絡してきた脳外科医はいろいろ問題があって、とは言っていた。

 昨日当院に転院してきた。全身浮腫があり、末梢静脈からの点滴は困難と判断された。今日画像と血液検査を確認してみた。硬膜下水腫で脳が圧排されて、少し出血もある。胸腹部CTで両側胸水貯留もあった。血液検査で炎症反応は軽度だが、肝腎障害と電解質異常(血清Na166)があった。

 転院前に嚥下訓練で水分少量(数口)は摂取していた。STさん(聴覚言語療法士)に訊くと、経鼻胃管が細ければ、入れたままでも嚥下訓練はできるという。ただ頭部CTを見ると、嚥下訓練を進めていいか迷ってしまう。

 この患者さんはどう持っていけばいいか困ってしまう。まず利尿薬を追加して、浮腫の軽減を図り(胃管から注入になる)、末梢静脈からの点滴ができそうならば、胃管を抜去して嚥下訓練を進めることにした。

 1週間後に頭部CTを再検した方がよさそうだ。もし出血が増加してきたらだが、もう脳外科では診ないかもしれない。送られてきた処方には五苓散が入っていた。

 

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2回目の脳幹梗塞

2019年11月19日 | Weblog

 昨日は内科の若い先生が当直(宿直)だった。通院している医院からの紹介で、左半身のしびれを訴える74歳男性が受診していた。

 発症したのは先週金曜日で、すでに3日経過している。意識は清明で、麻痺はなかった。頭部MRIで脳幹部(右延髄)に新規の梗塞巣を認めた。

 入院も勧めたが、仕事があって入院できないと帰って行った。抗血小板薬(バイアスピリン)を内服していたので、短期間限定で1剤(クロピドグレル)を追加していた。

 この患者さんは、2年前の7月にも左半身のしびれを訴えて、同じ医院の紹介で受診していた。発症後3日経過してからの受診で、その時は当方が外来で診察した。頭部MRIで新規の脳幹梗塞(右橋部)を認めた。

 入院も勧めたが、仕事が忙しくてできないという。ラーメン店の店主だった。神経内科医に相談したが、そう言われれば抗血小板薬で経過をみるしかないということだった。

 つまり今回は、2年前に発症して、その後軽減していた左半身のしびれがまた増悪したということだった。いずれも幸いに運動障害は(たぶん)ほとんどない。

 今後はどういう経過をたどるのだろうか。MRAでみる限り、主幹動脈に明らかな狭窄はなかった。再々発してもやはりラクナ梗塞なのだろうが、部位によってはADLに大きな影響が出るかもしれない。

 

 

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心因性?

2019年11月18日 | Weblog

 68歳女性がRS3PE疑いで紹介された。先週外来予約の診療情報提供書が来ていて、経過を確認していた。まず違うだろうと思われたが、実際に診察してから考えることにした。

 昨年2月に左肩が痛くなり、上肢を上げにくくなっていた。患者さんの話では、さらに左上腕~前腕まで痛くなったが、上腕~前腕は痛み持続はしていない。また左大胸筋外縁も痛くなったそうだ。右肩の少し痛いが左に比べると軽度だった。右上腕まで痛い時があるという。右大胸筋外縁も痛いことがある。

 左前腕が腫れるというが、熱感はなく、軽度に浮腫はあるかもしれないという程度だった。両手・手指と両足・足趾の症状はない。両側の腰部も痛いというが、歩行や立ち上がりにさほど支障はない。診察室にも普通に歩いて入ってきた。

 症状が出てから、近くの医院を受診して、その後当院の整形外科に紹介されて何度か通院した。X線で有意な変化はない。血液検査では炎症反応は陰性(白血球数正常域、CRP0.0mg/dl)で、RF・抗CCP抗体・抗核抗体は陰性だった。

 関節リウマチではということで、整形外科のリウマチ外来(大学病院から週1回)に回された。DMARDのリマチル(ブシラミン)で経過をみることになった。関節リウマチ分類基準は満たさない。さすがにメトトレキサートは開始できなかっただろう。

 リマチルの副作用の蛋白尿が(教科書的に)出現して、当院の腎臓内科外来(大学病院から週1回)に紹介された。大学病院で腎生検を受けて、薬剤性の膜性腎症と診断された(薬剤性まで診断できるのだろうか)。幸いに薬剤中止で蛋白尿は消失した。

 整形外科ではリリカとアセトアミノフェンで経過をみていたが、症状が続いていた。医院から総合診療科のある病院に紹介してもらった。そこで、RS3PEが疑われるが遠方なので、当院内科で経過をみてほしいと紹介されたという経緯だった。

 今日の症状はというと、左肩が痛くてあまり上げられないのは同じだった。それ以外の症状はほとんどないそうだ。手足の腫脹・熱感・疼痛はない。これまで整形外科で何度も炎症反応が検査されて、血沈も含めてまったく陰性だった。発熱はない。

 リウマチ性多発筋痛症(PMR)は年1~2名が受診するが、RS3PEはこれまでで4~5人くらいだろう。全部普通に炎症反応が上昇して、特に血沈は著明に亢進していた。症状も検査値でも合わない。

 

 何か生活で気になることはありませんか、と訊いてみた。この患者さんは夫・8年前に離婚した息子・孫(女性高校生)との4人暮らしだった。孫のことが気になるという。それに同居はしていないが、高齢になった夫の両親と自分の父親(母親はすでに死亡)の介護の問題があるそうだ。特に自分の父親のところには、毎日行って世話をしている。

 明らかな食欲不振や不眠はないようだが、元気はない。症状が続いて、治療効果がないままにあちらこちらと紹介されているが、律儀に紹介先を受診し続けている。

 左肩は整形外科的な問題があるのだろうが、それ以外の症状は心因性の要素が大きい印象をもった。抗うつ薬ではあるが、痛みのある時によく使用している薬にしてみませんか言ってみた。特に異存はないようだったので、SNRIのサインバルタ(デュロキセチン)で開始することにした。必ずこれが効くとはいえないので、その時は別の治療を考えるので、少し気長に通院してくださいと伝えた。

 同じような年齢で、腰痛・膝痛が続いて、整形外科受診で軽快せず、内科に回ってきた患者さんがいた。寝たきりのようになって入院したが、サインバルタで症状が軽快して退院後に外来通院していた。約半年経過したくらいで、自分で薬をやめてしまっていたが、症状の悪化はないそうだ。いったん治療を休止して経過をみるとになった。

 今回の患者さんはどうなるだろうか。

 

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胸部側面

2019年11月17日 | Weblog

 金曜日の夕方に、内科の若い先生(地域医療研修の内科専医)が新規入院患者さんの指示を出していた。市内の医院から、5日前から発熱が続く61歳女性が紹介されてきていた。胸部X線で右下肺野(右2弓に沿って)に陰影がありそうということで、肺炎疑いとして紹介された。

 

 これは正面だけでもわかるが、右中葉の位置なので、側面写真があればもっとわかりやすい。病院だとすぐに胸部CTで確認してしまうので、実は側面はあまり撮っていない。

 紹介先の医院は、高熱が続いたり痛みの程度が強いとすぐに紹介してくれる。この患者さんはCRPが19.2mg/dlと高値だったので、相当びっくりして紹介したと思われた。重症度からは「外来治療も可能」に相当して、酸素吸入も不要で補液も必要なく、1週間の抗菌薬投与で退院にできそうだ。当院としてはちょうどいい患者さんになる。

 高齢者では胸部X線正面だけではわかりにくい下葉背側の肺炎が多い。胸部CTで確認した後に、肺炎があるという目で見ても、指摘できないこともある。自分がクリニック勤務で、単純X線しかとれないとしたら、肺炎疑いは正面と側面を撮影しようと思う。

 

 昨日は久しぶりに近くの温泉に行ってきた。先週は土曜日の夜に入院患者さんの急変でそのまま病院に泊まった。先々週と来週の土曜日は日直で、再来週は学会で出かけるので、土日休みは今週だけになる。

 

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小腸穿孔

2019年11月16日 | Weblog

 先週の土曜日に虫垂炎疑いで62歳男性が救急外来(外科)に紹介された。外科は大学病院のバイトで来ている若い先生だった。

 虫垂炎にしては右下腹部ではなく、もう少し上(臍部右側)で、虫垂がの上に向かっているタイプかと思ったそうだ。腹部造影CTの結果は、小腸壁に沿って液体貯留がある。小腸穿孔による膿瘍のように見える。

 外傷の既往もなく、呼ばれた当番の外科医はメッケル憩室の穿孔も考えたが位置的には違うようで、原因不明だった。急性腹膜炎として緊急手術となった。

 結果は小腸穿孔による膿瘍形成だった。小腸と膿瘍がそっくり切除されて、端々吻合された。術後経過は順調。初めて見る病態だった。

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無症候性細菌尿

2019年11月15日 | Weblog

 内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)に相談された。91歳女性が尿路感染症(急性腎盂腎炎)で入院していた。抗菌薬(セフトリアキソン)を開始して、翌日から解熱して炎症反応も軽快していた。

 治療に何の問題もなさそうだが、尿培養からEnterococcus faeciumが検出されていた。臨床的にはセフトリアキソンで軽快しているが、検出菌に感受性がないので、替えた方がいいでしょうかということだった。

 腸球菌にセフェム系は効かない(内因性耐性)ので、尿路には抗菌薬が高濃度で入るので、感受性がないと判定されても実際は効くということもないはずだ。

 尿カテーテルの留置はないが、尿路感染症で何度も入院している。尿のグラム染色ではグラム陽性球菌だけで、培養でEnterococcus faeciumだけが検出されている。たとえば大腸菌と腸球菌が検出されて、起炎菌は大腸菌で、腸球菌は定着菌が混じっただけという解釈もできない。補液による尿量増加と免疫力で軽快したというのも考えにくい。

 「高齢者では、2~4人に1人は治療の必要のない無症候性細菌尿をもっているものです。よって高齢者の尿路感染症は除外診断とかんがえましょう。」と岸田直樹先生の本にある。

 入院時の胸部X線・胸腹部CTを見返すと、両側肺の背側に浸潤影と胸水貯留がある。これまでの画像を見返すと、7月に尿路感染症として入院した時には、左肺炎があり、セフトリアキソン投与で順調に軽快している。この時の尿培養からはKlebsiella pneumoniaeが検出されて、セフトリアキソンは感受性があった。

 

 これは無症候性細菌尿があり、肺炎による高熱で入院して、尿路感染症と思って投与したセフトリアキソンで肺炎が軽快したということだろう。今回は前回なかった右肺の所見もあり、やはり肺炎(誤嚥性肺炎だろう)による高熱だったようだ。

 フォローの尿検査を追加すると(無症候性)細菌尿はまったく変わっていなかった。セフトリアキソンを1週間投与して、さっと中止したいところだ(細菌尿が症候性にならないように)。

 

 

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肺血栓塞栓症

2019年11月14日 | Weblog

 水曜日に内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)から相談された。月曜日に施設入所中の89歳女性が胸部苦痛で紹介されていた。

 胸腹部CTで大動脈弓内側に腫瘤を認めて、放射線科の読影で悪性リンパ腫疑いとされて、造影CT追加を推奨された。そして造影してみると、左右の肺動脈に血栓塞栓を認めた。エコーで下肢の深部静脈血栓症も認めた。

 循環器科医にも相談したそうだが、内科で診ることになりましたという。あとで循環器科医に訊くと、腫瘍があるので(診たくなかった)という。通常は当院内科としては、肺血栓塞栓症は診ていない。循環器科で診るならお願いするし、診ない時あるいは夜間土日の時(当院循環器科は平日時間内のみ営業)は、高次医療機関に紹介していた。

 入院後はヘパリン持続点滴で投与量の調整をしていた。循環器科では最近は、ショックでなければ最初から経口抗凝固薬(DOAC倍量)で治療しているようだ。内服でもいいんじゃない、といわれたそうだ。酸素吸入2~3L/分はまだしているが、バイタルは幸い安定している。

 大動脈弓内側の腫瘍をどうするかだが、生検はできないので、まずは悪性リンパ腫(可溶性IL-2受容体抗体)と肺癌の腫瘍マーカーを提出して結果をみることにする。

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尿路感染・肺炎・肝膿瘍

2019年11月13日 | Weblog

 1週間前に、当地域の基幹病院消化器内科から85歳男性が廃用症候群のリハビリ目的で転院してきた。処方されていた内服薬を継続して、リハビリ(理学療法)を開始していた。思ったよりも動きは良く、1か月で退院できそうだ。

 病状を詳しく検討していなかったので、昨日送られてきた画像を確認した。高齢だが、畑仕事をするくらいの方だったが、複数の感染症に罹患していた。

 慢性心房細動・高血圧症で居住している町の医院に通院していた。その医院の医師は外科医だが、地域の循環器懇話会の幹事になっていた(大学にいるときには心臓血管外科だったのかもしれない)

 9月末に背部痛を訴えて基幹病院の救急外来を受診していた。診療情報提供書には、検査の結果、尿路感染症・敗血症、肺炎、肝膿瘍で入院になったと記載されていた。Klebsiellaによる尿路感染症・敗血症とあることから、尿培養・血液培養からKlwbsiellaが検出されたということなのだろう。

 抗菌薬をセフトリアキソン(CTRX)、セファゾリン(CEZ)、メロペネム(MEPM)、アンピシリン/スルバクタム(ABPC/SBT)と変更していて、途中からミノマイシン(MINO)を併用していた。(若干迷走?)

 入院時は白血球11000・CRP34mg/dlと高値で、肝機能障害も認めたが、順調に軽快していた。当院転院時は、肝機能正常でCRP0.2mg/dlだった。

 もともと抗凝固薬を内服していたらしいが、入院中に血栓塞栓症と判断される多発性脳梗塞(それぞれはラクナ梗塞)を発症していた。幸い後遺症は有意なものはない。頻脈性心房細動でビソプロロールにハーフジゴキシンを追加して、心拍数が安定したという。また肺炎は器質化しているが炎症は一段落していると記載されていた(軽度に胸水貯留はある)。

 抗菌薬はミノマイシンとメトロニダゾールの内服が継続になっていた。抗菌薬を継続していますとだけあるので、どこまで続けるかは当方にお任せになる。

 肝膿瘍とされた病変は確かに肝膿瘍のようだ。順調に縮小している。最初のCT(単純)は基幹病院入院時。これで気づかれて、その3日後に造影している。さらに約1か月後に再検して縮小を確認。最後は当院転院時(単純)。胆道系に異常はない。

 尿路感染症、肺炎、肝膿瘍はどういうつながりがあるのだろうか。別個に起こったともいえないが、関係も?だ。転院後1週間してからこれまでの経緯を検討するのもどうかと思うが。

 

 

 

 

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原因は腹部でした

2019年11月12日 | Weblog

 昨日の午後5時ごろに隣町の病院から、肺炎疑いの86歳男性を紹介したい連絡が入った。酸素吸入はいらない程度だという。

 午後6時過ぎに家族の車で来院した。2~3日前から動けなくなり、息子さんが抱えて車から降ろした。これは救急搬送の方が良かった。

 1週間前から発熱があり、そちらの病院を受診していた。診療情報提供書にインフルエンザ迅速試験陰性と記載があるが、現在流行はしていない。発熱が続いて、食欲不振・体動困難となってその日再受診していた。白血球増加・CRP高値の記載はあるが、胸部X腺の所見はない(撮らなかった?)。

 来院して診察すると、意識は清明で会話は普通にできる。血圧110程度で高血圧症の既往があり、脱水症で少し低下しているかもしれないが、ショックではない。発熱以外の症状を訊くと、ないと言う。胸部聴診で所見はとれなかった。発熱38℃だが、酸素飽和度は正常域だった。

 当院で胸部X線・胸腹部CTで確認すると、確かに両側肺に淡い浸潤影はあり、胸水も軽度に貯留している。心不全ではないので、肺炎随伴性胸水だろうか。そこまでは想定内だったが、右下腹部に炎症像がある。

 上行結腸の内側から正中に向かって腫大した虫垂と思われる構造があり、壁は一部途切れている。周囲の脂肪織に炎症が波及しているようだ。虫垂炎なのか。白血球数14700・CRP39.0とかなりの高値だった。

 改めて腹痛について訊くと、やはり痛くないという。再度腹部を診察したが、右下腹部を圧迫しても痛くないと言ったり少し痛いと言ったりする。なんだか腹膜炎の人らしくなかった。高齢者だから?。午後7時過ぎで外科医はもういなかった。

 家族に、肺炎もあるが腹膜炎を疑うので、明日外科医と相談すると伝えて、とりあえず内科入院とした。脱水による腎機能障害が軽度にあり、造影CTは翌日に点滴による腎機能は軽快をみて再検とした。肺炎にセフトリアキソンを使用する予定だったが、腹膜炎を考慮してスルバシリン(ABPC/SBT)に変更した。

 今日は解熱して昨日より表情がよくなっていた。充分に長く話ができる状態で、再度病歴をとり直した。そういえば先週3~4日腹痛があったと言う。本人の解釈は「かりんとうを食べたせいだと思った」とのこと。家族(奥さん)に確認するとやはり、そういえば先週に腹が痛いと言っていたようなという。

 外科病棟に行って昨日の当番だった外科医に相談した。CTの画像を見て、造影CTを追加したところで診に行きますという。補液で腎機能が改善していたので、造影CTを予定した。

 その後外科医が病室に来て、放射線科医にも診てもらって虫垂炎の穿孔と確認できたので、造影CTは不要と言われた。外科医の診察では、腹部圧迫がぐっと強くて、明らかに圧痛ありと判断された(内科のへなちょこ診察とは違う)。肺炎はあるが軽度なので、今日の午後に手術する方針となった。

 今日は白血球数12300・CRP27.7と軽減していたが、これは脱水が改善したためだろう(Hb15.8から13.9へ)。

 

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転院キャンセル

2019年11月11日 | Weblog

 金曜日夜間と、土曜日の朝方と夜間に、3名の担当患者さんが亡くなった。いずれも80歳代後半、90歳代の高齢者だった。肺癌と悪性リンパ腫の患者さんは当直の先生に死亡確認してもらった(DNAR)。膵癌の患者さんは急性心筋梗塞発症と判断される急変で、当直の先生に心肺蘇生をしてもらって一時的に反応したが、結局だめだった。当方も病院に駆けつけて死亡確認をした。

 

 明日、呼吸器病センターのある専門病院から非結核性抗酸菌症(NTM)の患者さん(69歳女性)が当院に転院してくる予定だったが、今日キャンセルの連絡があった。

 NTMのうちのMycobacterium abscessusだった。もともとは当地域の基幹病院呼吸器内科に通院していて、治療困難ということでクラリスロマイシンだけ処方されていたという。

 今年の1月から体重減少・全身の衰弱があり、大学病院も受診したそうだ。経緯は不明だが、紹介元の専門病院呼吸器内科を受診して、他の疾患は否定的でNTMの進行による症状と判断された。

 Mycobacterium abscessusは最も治療困難なNTMで、治癒可能な抗菌薬治療はないとされている。病変は主に左下葉と上葉舌区に限局しているため、手術でその部位を切除すると病変をコントロールできる可能性があった。そこで、東京の結核(NTMも)専門病院に手術適応について判断してもらうために紹介したそうだ。

 そちらの病院でクラリスロマイシン・シタフロキサシン・ファロペネム(これは?)・イミペネム・アミカシンの治療が開始され、いったん戻って同じ治療を継続していた。イミペネム・アミカシンは点滴静注なので入院継続になってしまう。

 東京の病院で手術を受けるまでまだ日数があるので(12月の見込みだった)、急性期病院として長期入院は難しいころから、ヒマな当院で約1か月同じ治療を継続してほしいという依頼だった(孫請けです)。

 幸いに今週中に東京の病院に入院して手術できることになったそうだ。患者さんのためにはよかった。

 今月末に県庁で県内の結核の会議があり、出席することにしている。今回は講師が東京のその病院におられた(現在は移動したようだ)佐々木結花先生(おきれいな方)の講演がある。

 佐々木先生が編集された「結核・非結核性抗酸菌症を日常診療で診る」(羊土社)をそれまでに読んでおくことにしている(これまで必要なところだけ拾い読みで通読してなかった)。

 その中のMycobacterium abscessusの項目に、「イミペネム・アミカシンの注射を行わざるを得ない例も多いので、居住地の一般診療医に点滴静注を依頼することも多い。依頼があった場合は一般診療医は事情を考慮のうえ協力してほしい。」という記載がある。当方としては、協力する気満々だったが、という経緯。

 

 

 

 

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