なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

気胸

2023年11月02日 | 気胸

 10月31日(火)の午前中は救急当番をしていた。救急隊から搬入依頼があり、当院に通院している在宅酸素の患者さんが呼吸困難を来しているという。

 ふだんの酸素吸入2L/分では酸素飽和度が60%台で、6L/分に増量しても80%台ということだった。かなり厳しそうだが、来てもらうことした。

 

 もともと慢性閉塞性肺疾患(COPD、肺気腫)があり、市内の内科クリニックで在宅酸素療法を受けていた。2022年に胸部異常影で、地域の基幹病院呼吸器内科に精査で入院した。

 気管支鏡検査で肺腺癌と診断された。癌としては手術可能だったが、呼吸器外科に相談すると肺機能から手術不可とされた。放射治療を行ったが、放射線肺臓炎を起こして中止になった。

 その後は緩和ケアのみで経過をみることになった。2022年3月に当院で診てほしいという依頼が来て、呼吸器科外来でフォローしていた。

 呼吸器センターのある専門病院から来てもらっている先生が担当していた。その後その外来はなくなって、大学病院から応援の先生が担当となっていた。2023年9月の胸部CTでは肺癌は軽度に進行しているとされた。

 

 前日から労作時の息切れを感じて、その日の朝から呼吸困難になったという。発熱はなかったが、肺炎併発によるCOPDの増悪が疑われただろう。

 搬入されると、酸素飽和度は90%(酸素6L/分)で喘鳴はなかった。左肺の呼吸音が減弱していたが、呼吸に伴う痛みはないという。

 胸部X線ではわかりにくいが、胸部CTで左気胸が描出された。炎症反応は陰性で肺炎はなかった。気胸発生による悪化だった。

 これは胸腔ドレナージを要するが、何しろCOPDの肺で画像上もペラペラで脆弱に見える。当院にも胸腔ドレーンはあるが、気胸の治療は年に1回もやっていない。(昨年はあった)

 吸引だけで軽快するようには見えない。吸引でさらに大きな破損が生じる可能性がある。自信がなかった。だめもとで紹介元である地域の基幹病院呼吸器科に連絡すると、受けてくれてありがたく搬送させてもらった。

 

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