なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

膝関節偽痛風

2024年02月10日 | 骨折・整形外科疾患

 2月6日(火)の午前中は救急当番で、89歳女性が救急搬入された。デイサービスに行っていたが、ふらつき・脱力があり、体動困難だという。

 急性期病棟の入院が厳しいベット事情だったが、前日にも当院に救急搬入されているという。確認すると、確かに前日に搬入されていた。前日帰していることもあり、来てもらうことにした。

 

 5日(月)は左膝痛を訴えて、動けないための救急搬入だった。その日も入院が厳しく、診察だけということでの搬入だった。受け入れが決まった後で、発熱があるという情報が入っていた。

 発熱38.4℃があった。インフルエンザとコロナの迅速検査は陰性だった。前頭部を打撲していた。頭部CTと膝関節X線が施行された。頭部CTでは頭蓋内出血はなかった。

 血液検査で白血球10800・CRP0.5と急性期の像を呈している。胸部X線や尿検査はしていないが、尿路感染症疑いとして、レボフロキサシン(小柄ということで250mg)が処方されて、帰宅となっていた。

 この患者さんは息子と二人暮らしで、翌日は発熱がないため?、いつも通りにデイサービスに出かけていた。

 

 前日の画像を確認すると、両側膝関節に関節内石灰化がある。頭部CTの骨条件で軸椎の歯突起周囲に石灰化がある。頸椎偽痛風(crowned dens syndrme)になってもおかしくない。

 搬入時に訊くと、両側の膝関節は痛くないという。触診しても熱感・腫脹はなかった。屈曲もできる。前日の痛みがなくなったのが不思議だった。

 血液検査は白血球10900・CRP4.8と、CRPが遅れて上昇してきていた。尿検査は導尿で培養も含めて提出したが、沈査で白血球30-49/HPF・細菌(3+)と膿尿・細菌尿を認めた。ただ高齢女性なので、無症候性の可能性もある。(レボフロキサシン内服後ではある)

 肺炎の有無と尿路系の異常を見るために、胸腹部CTを行った。肺炎像はなく、尿路系にも閉塞を来す病変などの異常はなかった。

 

 急性期病棟のベットをやりくりしてもらって、午後に入院できることになった。尿路感染症(急性腎盂腎炎)疑いとして、セフトリアキソンを開始した。

 翌7日は左膝関節の痛みを訴えていた。前日と違って、左膝関節に熱感・腫脹があった。腫れてぷよぷよしている。いったん痛みや所見が軽快してぶり返した経過がわからない。

 膝関節偽痛(関節炎)としてNSAID内服(セレコキシブ)と湿布貼付を開始した。(頸椎や手関節の痛みはなかった)

 

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大腿骨頸部骨折

2024年01月25日 | 骨折・整形外科疾患

 1月19日(金)の朝、前日の当直だった内科医から救急車を受けたので、と報告があった。午前8時過ぎに隣りの市の救急隊から転倒後の高齢女性の搬入依頼がきていた。

 到着まで40分くらいかかるので、その日の午前中の救急当番の当方に申し送ったということだった。その先生は午前中は内科再来が入っている。大腿骨頸部骨折で、整形外科入院になるかと思った。

 患者さんは92歳女性で、一人暮らしをしている。ADLは完全に自立していた。会話はまったく問題なかった。搬入時、左股関節部に疼痛・圧痛があり、左下肢は短縮・外転して、明らかに大腿骨近位部骨折だった。(救急隊は短縮はないといっていた)

 前日の夕方に自宅の縁側の外で転倒した。下はコンクリートになっているそうだ。左側に尻餅をつくような形で転倒した。その後から左股関節部の痛みがあり、這うようにして室内に入った。一晩我慢して過ごして、翌日朝になっても症状が変わらないので自分で救急要請していた。

 バランスを崩しての転倒で、頭痛や意識消失はない。頭部CTも心電図も問題なかった。X線と胸腹部CTで左大腿骨頸部骨折を認める。

 後は整形外科の問題になるが、そうは簡単にいかなかった。酸素飽和度が88%と低かった。胸腹部CTで肺病変はなかった。ふだんから心肺疾患があるようには見えない。

 血液検査で白血球17900・CRP0.5は骨折でも説明ができるが、Dダイマーが34.2(μg/mL)と異様に上昇している。一晩でできるかわからないが、深部静脈血栓症からの肺血栓塞栓症が疑われる。

 造影CTで確認したが、明らかな肺血栓塞栓症は認めなかった。ただCTだと末梢の肺動脈まではわからない。腹部は問題ないようだ。

 低酸素と凝固異常の説明がつかない。整形外科医も骨折についてはいずれ手術で対応するが、病状安定までは内科でお願いしたい、ということだった。血液培養セットと尿培養も提出しておいて、点滴と抗菌薬で経過をみることにした。抗凝固薬は骨折からの出血が危惧されるので見合わせる。

 22日月曜には酸素吸入も中止となって、食事も4~5割だが摂食できる。23日の検査ではDダイマーが3.4まで低下していた。

 ただし、22日の夕方から不穏があり、何か見えないものが見えるといい、洪水が来るという発言があった。夜間不眠もあり、不穏用・不眠用の必要時指示が使用されていた。

 ふだんはしっかりしていても、92歳で骨折があり動けない状態になっている。せん妄は仕方ないか。向精神薬を定期で使用することにした。

 

 患者さんの話では、搬入の10日くらい前に生牡蠣を食べて、その後から下痢(水様便頻回)・嘔気が続いて、食事摂取量が低下していたそうだ。転倒したことも、それに関係あるのかもしれない。

 酸素飽和度低下と凝固異常がそれに関係あるかはわからない。一晩動けない状態でもありえなくはないか。酸素吸入は中止となって、凝固異常もかなり改善した。

 整形外科では次週の火曜日に手術予定としていた。せん妄の治療も行って、今週末に整形外科転科にしてもらう。(抗精神薬はけっこう増量している)

 

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上腕骨大結節骨折

2024年01月03日 | 骨折・整形外科疾患

 1月1日は日直だったが、当地域の外科当番医になっていた。当院は常勤外科医は不在だが、時々(というか結構な頻度で)外科当番医にまだ入っている。

 大学病院外科からバイトで来てもらっている時はいいが、常勤医の場合は内科系の医師が診ることになる。簡単なケガならいいが、中等症以上は無理だった。骨折は整形外科が再開したので、入院させておけば(大抵は)休み明けに診てもらえる。

 午後になって、神社にお参りに行って、その帰りに転倒して右肩を打撲した58歳女性が受診した。打撲後から右肩が痛くて上肢を上げられなくなっていた。

 右肩関節のX線を撮ると、上腕骨の大結節に骨折があるようだ。CTの骨条件で確認した。

 その日は整形外科医が当直だったので、外来でそれまで約2時間待ってもらうことにした。カロナール500mgを内服して、外来処置室で休んでもらった。

 整形外科医に、こんなところが骨折するんだ、といわれた。確かに上腕骨は骨頭骨折や骨幹部骨折は多いが、この部位は少ないのかもしれない。

 

 放射線技師さんがけっこう読めるので、専門外のことについては訊くことが多い。12月31日の当直は皮膚科医だったが、発熱で受診した患者さんの胸部CTで、下肺野背側の淡い陰影を放射線技師さんに指摘してもらって、抗菌薬を処方していた。

 

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腰椎圧迫骨折

2024年01月01日 | 骨折・整形外科疾患

 12月27日(水)の当直の時に、腰痛の86歳女性が救急搬入された。仰臥位から少しでも動くと腰部に激痛が走った。

 夕食後に入浴したが、そこまではさほど問題はなかった。2Lのペットボトルを持ち上げた時に腰に違和感があったという。就寝して右に向かって寝返りを打った時に、突然腰痛が生じた。

 診察では下部腰椎のあたりだという。アセリオ1000㎎注を行って、多少痛みが軽減してからCTを行うことにした。CTの骨条件で見ると、第2腰椎(L2)に圧迫骨折があるが、CTだと新規か陳旧性かわからない。寝返りで圧迫骨折は起きるか疑問だった。動けないので、整形外科として入院にした。(整形外科はオンコールはない。翌日に引き取る形になっている。)

 

 基本的に夜間のMRIは頭部だけになっているので、翌日の午前8時30分に予約を入れた。朝、整形外科医にお話して、MRIの結果をみることになった。

 腰椎MRIでは第2腰椎(L2)の圧迫骨折は新規で、整形外科での治療となった。寝返りを打って圧迫骨折というのがあるが、本人のいうことが本当であればそうとるしかない。転倒はしていないという。

 

 

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