なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

転院キャンセル

2019年11月11日 | Weblog

 金曜日夜間と、土曜日の朝方と夜間に、3名の担当患者さんが亡くなった。いずれも80歳代後半、90歳代の高齢者だった。肺癌と悪性リンパ腫の患者さんは当直の先生に死亡確認してもらった(DNAR)。膵癌の患者さんは急性心筋梗塞発症と判断される急変で、当直の先生に心肺蘇生をしてもらって一時的に反応したが、結局だめだった。当方も病院に駆けつけて死亡確認をした。

 

 明日、呼吸器病センターのある専門病院から非結核性抗酸菌症(NTM)の患者さん(69歳女性)が当院に転院してくる予定だったが、今日キャンセルの連絡があった。

 NTMのうちのMycobacterium abscessusだった。もともとは当地域の基幹病院呼吸器内科に通院していて、治療困難ということでクラリスロマイシンだけ処方されていたという。

 今年の1月から体重減少・全身の衰弱があり、大学病院も受診したそうだ。経緯は不明だが、紹介元の専門病院呼吸器内科を受診して、他の疾患は否定的でNTMの進行による症状と判断された。

 Mycobacterium abscessusは最も治療困難なNTMで、治癒可能な抗菌薬治療はないとされている。病変は主に左下葉と上葉舌区に限局しているため、手術でその部位を切除すると病変をコントロールできる可能性があった。そこで、東京の結核(NTMも)専門病院に手術適応について判断してもらうために紹介したそうだ。

 そちらの病院でクラリスロマイシン・シタフロキサシン・ファロペネム(これは?)・イミペネム・アミカシンの治療が開始され、いったん戻って同じ治療を継続していた。イミペネム・アミカシンは点滴静注なので入院継続になってしまう。

 東京の病院で手術を受けるまでまだ日数があるので(12月の見込みだった)、急性期病院として長期入院は難しいころから、ヒマな当院で約1か月同じ治療を継続してほしいという依頼だった(孫請けです)。

 幸いに今週中に東京の病院に入院して手術できることになったそうだ。患者さんのためにはよかった。

 今月末に県庁で県内の結核の会議があり、出席することにしている。今回は講師が東京のその病院におられた(現在は移動したようだ)佐々木結花先生(おきれいな方)の講演がある。

 佐々木先生が編集された「結核・非結核性抗酸菌症を日常診療で診る」(羊土社)をそれまでに読んでおくことにしている(これまで必要なところだけ拾い読みで通読してなかった)。

 その中のMycobacterium abscessusの項目に、「イミペネム・アミカシンの注射を行わざるを得ない例も多いので、居住地の一般診療医に点滴静注を依頼することも多い。依頼があった場合は一般診療医は事情を考慮のうえ協力してほしい。」という記載がある。当方としては、協力する気満々だったが、という経緯。

 

 

 

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする