1週間前の先週の水曜日に89歳女性が隣町の病院から紹介されてきた。3日前から腰痛があり、前日から動けなくなったという。39℃の発熱があり、血液検査の結果、白血球12900・CRP18.4と炎症反応上昇があったので、内科紹介となった。
内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)が診察して、相談された。少し発疹があって、虫刺されの後もあったので、ツツガムシ病でしょうかという。皮膚科でも診てもらったが、これは刺し口とは言えず、ただの虫刺されと言われた。
当市の隣町とその隣町から年に数人ツツガムシ病の患者さんが受診している。皮膚科医は11月と○○町の組み合わせはツツガムシ病を考えますと言っていた。が、今回は違いますということだった。
胸部線・CTで間質性肺炎を認めたが、呼吸器症状はない。尿混濁はまったくなかった。若い先生はツツガムシ病を否定できないということで、ミノマイシンで経過をみることになった。
バイタルは発熱以外は特に問題がなく(比較的徐脈ではある)、患者さんは元気だった。血液培養2セットを提出していたので、まあそれで1~2日経過をみるのもあるかと思った。
発熱が続き、金曜日の検査でも炎症反応はまったくの横ばいだった。若い先生は、どうしましょうかという。改めて診察すると右肩が痛くて上肢を上げにくい。両膝も痛いようだが、関節炎というほどの所見はなかった。その日は血沈もみていて、100と高値だった。
リウマチ性多発筋痛症の症状とは言い難いし、巨細胞性動脈炎を併発しないと、ここまで高熱にはならない(頭痛はない)。検査値上は骨髄腫らしくはなかった。
腰痛は続いていて、化膿性脊椎炎の疑いもあるが、血液培養は陰性だった(まだ中間報告)。胸腰椎MRIで確認してもらうと、腰椎の椎間関節周囲のT2脂肪抑制で高信号を認めた。
抗菌薬で経過をみるか(使用するとすれば培養結果が出るまではセフトリアキソン)、結晶誘発性関節炎(偽痛風)疑いとしてNSAIDで経過をみるかと思われた。週末なので、併用で経過をみるのもあるが、患者さんは比較的元気なので、NSAIDで経過をみたいという。
週末から解熱して、月曜日の検査では白血球7600・CRP11.0と軽快していた。投与したのはNSAID(セレコックス)だけなので、NSAIDが効く炎症ということになる。患者さんは右肩もよくなったし、腰痛もよくなって、ベット上の動きは楽になり、歩行もできるようになった。
数か月前に椎間関節の偽痛風か、という患者さんがいたが、この方もそうなのだろうか。