なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

糖尿病教育入院

2019年11月28日 | Weblog

 72歳女性が糖尿病の血糖コントロール不良で、内科クリニックから当院の糖尿病外来(大学病院糖尿病代謝科からバイト)に紹介されてきていた。8月末から2か月通院して、HbA1c11.6%が10.8%になった。

 経口血糖降下薬だけではこれ以上の改善は難しいということで、糖尿病教育入院を依頼された。少し認知症があり、独身の息子さんと二人暮らしだった。息子さんは、服薬管理を任せるのは無理ではないか、というのが病棟看護師さんの意見だった。

 外来の先生と相談して、まず持効型インスリンを追加するBOT(Basal supported oral therapy)で開始することになった。

 経口薬は、糖尿病がグリメピリド2mg/日・DPP4阻害薬とSGLT2阻害薬の合剤・メトホルミン2000mg/日・α-GI(ボグリボース0.9mg/日)、それに脂質異常症がアトルバスタチンとエゼチニブの合剤(アトーゼット)だった。

 持効型インスリンのトレシーバ3単位から開始した。数日して低血糖傾向になり、1日半続いたので、グルコース5%の点滴を半日使用した。外来と同じ処方で数日みてからでもよかった、と反省した。

 おそらく低血糖の一番の原因になる、SU薬のグリメピリドを中止した(トレシーバも中止)。良好な血糖が続き、メトホルミン2000mg/日は小柄な患者さんに多すぎると思われて、1000mg/日にした。

 外来で血糖コントロールが悪いのは服薬管理の問題(ちゃんと指示通りに内服していない)と思われたので、コンプライアンスの悪いボグリボースも中止した。

 結局、DPP4阻害薬・SGLT2阻害薬・メトホルミン1000mg/日で良好な血糖値になった。できれば処方を一包化して1日1回の服薬にしたいが、メトホルミンはやはり朝夕になってしまう。とりあえず低血糖になりにくい処方にはなった。

 入院予定の1か月になるので、今週末に退院することになった。外来で少し診てもらって、血糖コントロールが悪い時は、半年後くらいにまた教育入院にしてもらう。

 「そこが知りたい!糖尿病診療ハンドブック」は2年おきに改訂されて、現在第4版になっている。初版から購入してきたが、糖尿病の本はこれがベストだ。

 

ここが知りたい! 糖尿病診療ハンドブック Ver.4

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