なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

「高齢者糖尿病治療ガイド」

2018年09月29日 | Weblog

 どこの製薬会社か忘れてしまったが、2か月くらい前に「糖尿病治療ガイド2018-2019」と「高齢者糖尿病治療ガイド2018」をもらった。小規模な講演会とかで配った残りだろうか。

 糖尿病ガイドは数年に1回購入しているが、2018-2019も丸善で見て、食事療法がカロリー制限だけなので、まだ変わらないなあと思って購入しなかった。糖尿病の本は年に2-3冊は購入する。

 薬物療法は各薬剤が羅列してあるだけで、順位付けをしていない。順位付けをすることはエビデンスとして出せないので難しいとは思う。専門医の個人的な意見でいいので、こうすべきだと記載してほしい。

 ガイドと私見を交えると、

1.ビグアナイド薬(メトグルコ)

 新規では使用しない。75歳以前から使用されていれば、継続してもいいことにはなっている。実際は、ある程度血糖コントロールが良ければ、あるいは多少高くても許容範囲なら中止する。継続するとしても、1000mg/日以上で使用していれば、500mg/日の初期量に減量している。

2.チアゾリジン薬(アクトス)

 新規では使用しない。75歳以前から使用されていれば、継続することはあるが、普通は中止する。高齢者でなくても、最近新規で使用することはない。

3.スルホニル尿素薬(SU薬)

 新規では基本的には使用しない。75歳以前から使用されていれば中止する。HbA1cが9~10%だと、やむなく減量して継続することもある。グリクラジド(グリミクロン)だと10~20mg/日まで(20mgのHAを0.5錠か1錠/日)、アマリールだと0.5mg/日までになる。処方するのは気持ちが悪い(個人の感想です)。

4.速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)

 服薬回数の問題もあり、使用しない。

5.DPP4阻害薬

 第一選択であり、可能ならこれだけにしたい。どれを使用するかという問題がある。基本的にはそれまで使用されていた薬剤を継続する。新規ならトラゼンタが無難かもしれない(個人の感想です)

6.α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)

 服薬回数と腹部症状の問題があり、使用していない。75歳以前から使用されていても、可能なら中止する。

7.SGLT2阻害薬

 これは悩む。肥満で体力のある高齢者には使用している。やせ~普通体形だとあまり使用していない。

8.インスリン

 DPP4阻害薬を使用してHbA1c9~10%だと、インスリン注射が可能ならば(患者さん本人か、家族が)、持効型を少量(4~10単位/日)使用している。製剤はトレシーバを使う。

 緩徐進行1型糖尿病(あるいは抗GAD抗体は陰性だが、実態は緩徐進行1型相当も)で自己インスリンが枯渇している患者さんでは、インスリン強化療法が必要になる。頻回注射が困難な時は、やむなく持効型だけになることもある。

9.GLP1受容体作動薬

 高齢者以外の肥満2型と糖尿病ではトルリシティ注を使用している。生理的な量をはるかに上回る量を入れて本当に大丈夫かというのはある。高齢者での評価は正直よくわからない。ガイドには「食欲低下や体重減少作用は、高齢者では負の作用をもたらし得るため注意が必要」と記載されている。肥満で体力のある高齢者では使えるのかもしれない。

 

 結局、DPP4阻害薬を使用して、可能ならそれだけで継続する。それでHbA1cが7.0%以下なら最高。7%台ならばそのまま継続する。認知症ならば、8%台でもそのまま(それだけで)継続する。

 HbA1c9~10%だと、インスリン注が可能ならば持効型を少量を追加する。インスリン注ができなければ、SU薬をごく少量(グリミクロン10mgで開始して、20mgまでは増量している)追加している。しかしSU薬の処方はとにかく気持ちが悪い。肥満で体力がある高齢者ではDPP4阻害薬にSGLT2阻害薬の追加もあるか。

 

 

 

 

コメント (1)
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