なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

どこから偽痛風?

2018年09月11日 | Weblog

 昨日、地域の基幹病院呼吸器内科から、86歳女性がリハビリ目的で転院してきた。診療情報提供書の診断名には、「細菌感染症」とあった。先月の20日(約20日前)に発熱と多発関節痛で救急搬入されたそうだ。もともとは当院の消化器科外来に通院していたが、自宅はそちらの病院のすぐ近くだった。

 胸腹部CTで感染巣は指摘できなかった、とある。白血球数18900・CRP34.5とかなりの炎症反応上昇だった。血液培養を採取して抗菌薬(メロペネム)が開始された。解熱して炎症反応も改善(CRPが15)した。

 血液培養は陰性だったが、メロペネムによると思われる肝機能障害が出現して、レボフロキサシンに変更した。再度発熱と炎症反応上昇(CRPが20)があり、メロペネムに戻した。幸いに(?)肝機能障害の悪化もなく、解熱して炎症反応も改善した(CRPが5)。再度の発熱・炎症反応は偽痛風の症状だったかもしれないと記載されていた。ロキソプロフェン内服が処方されている。

 初診時の症状は発熱・関節痛で、本人に聞いたところでは両側の膝関節・足関節・肩関節・手関節の疼痛があったそうだ。これは最初から偽痛風発作なのだろうか。偽痛風は感染症で誘発され、感染症が良くなったと安心したころに再度発熱が出現するという経過になることがよくある。抗菌薬投与が効いたように見える経過ではあるが。

 この患者さんは高血圧症・逆流性食道炎で通院しているが、6年前に多発関節炎をきたして炎症反応も上昇した時期がある。リウマトイド因子や抗核抗体が検査されて陰性だった。NSAID(セレコックス)が処方されて症状が軽快した、という経過だった。そしてセレコックスはそれ以来ずっと処方されていた。つまり今回発熱・多発関節痛が出現した時も内服していた。

 当初は何らかの感染症が発症したような気がするが、症状は多発関節痛(炎)なので、最初から偽痛風だったと考えたくなる。でも、すでにNSAID内服していた。よくわからない。

 対応としては、血液培養を含む感染巣検索を行って、エンピリックに抗菌薬を投与して、多発関節炎をきたす感染症以外の疾患の考慮するということになる。

コメント
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