なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

DBS

2018年09月21日 | Weblog

 パーキンソン病の70歳男性が、誤嚥性肺炎で入院していた。内科の若い先生(地域医療研修の専攻医)が担当して、肺炎は軽快していた。入院時の胸部X線・CTでは随伴性胸水を伴った(胸腔穿刺で膿胸は否定)右肺炎があり、軽快後も瘢痕を残している。

 パーキンソン病は大学病院神経内科(他県)に通院していた。wearing offとdyskinesiaが起こって、レボドパ製剤の調整が困難で、DBSを施行されていた。

 DBSはDeep brain Stimulation脳深部刺激療法。左右の胸部に埋め込んだ神経刺激装置から脳深部に挿入したリードへケーブルでつながっている。電気的に高頻度刺激を行って、目標とする神経核の活動を抑制するそうだ。知らないで見ると、「あれ、この患者さんは心臓ペースメーカーがふたつある」と言ってしまいそうだ。

 すでにADLは寝たきり状態で、嚥下訓練を行ったが、経口摂取はできないと判断された。主治医が大学病院に問い合わせたところ、「胃瘻造設が妥当でしょう」、という返事が来た。要するに、もう大学病院で診ても仕方ないのでそちらでよろしく、ということだった。まあ、神経内科医が腕を振るってADL改善をはかる時期ではない。後は誤嚥性肺炎との戦いになる。

 そこで消化器科医(当院は1名のみ)と当方の胃瘻造設コンビが、今週内視鏡的胃瘻造設(PEG)を行った。家族の希望で、療養型病床をもつ脳神経疾患の病院へ紹介転院の予定となった。DBSは入っているし、抗パ薬の調整もあるので、ちょっと遠方にはなるが好ましい選択だと思う。担当の専攻医は将来神経内科志望なので、いい経験になったかもしれない。

 以上、DBSを初めて見ました、というお話しでした。

 頭部CTで見ると、結構脳組織を壊しているように見える(確立された治療法です)。発症が14年前だから、初老期からパーキンソン病で苦しんできたことになる。

 

 

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1 コメント

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パーキンソンは (シロート)
2018-09-21 20:01:25
思考はハッキリしているだけに・・・
辛いですよね?
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