午前2時前に病院から電話が来た。入院した85歳男性が心停止になったという。当直医(整形外科医)が心肺蘇生をしてくれたが、反応がなく、家族が来たところで死亡確認していた。
内科クリニックに通院していたが、6年前から慢性閉塞性肺疾患・慢性呼吸不全で在宅酸素療法が開始された。今回は7月に肺炎をきっかけに、COPD増悪・心不全併発で地域の基幹病院呼吸器内科に搬送入院となった。気管挿管はしない・NPPVまではする・心肺停止時はDNRという条件で治療が開始されて、何とか落ち着いた。
ひとり暮らしだったが、入院ですっかり廃用症候群となり、自宅での生活に戻れなかった。今月初めに当院に転院してきた。リハビリをして在宅に戻るためということだったが、到底在宅は無理だった。在宅酸素も受け入れる施設入所を考えていたが、痰がらみで急に酸素飽和度が低下したりするので、療養型病床のある病院への転院を目指すことになった。認知症の不穏に精神薬も必要だった。
前日の日中はそれほど変わりなく、発熱もなかった。痰のつまりから酸素飽和度が低下して回復できなかったか、虚血性心疾患の発症で急変したのかどちらかだろう。後者の方で死亡診断書を作成した。
今日の午前中は救急当番だった。消化器科に糖尿病で通院している82歳女性が下痢・嘔吐ということで救急搬入された。
朝7時の血糖が70mg/dlと低かったが、最近はそのくらいの低値が続いていて、朝食をとるので低血糖用のブドウ糖は摂取しなかったそうだ。便秘だったので朝食前に冷水・トマトジュースを飲んで、キウイを食べた(自己流の便秘対応策)。それが効いたのか、便が出たが水様便になった。その後嘔気もして嘔吐した。消化器症状は低血糖のためと思って、ブドウ糖を摂取しようとしたが、嘔気でできず、救急要請したといい経緯だった。
搬入時は血糖122mg/dlだった。意識清明で腹部症状は治まっていた。血液検査は血糖以外(HbA1c7.5%)は異常がない。胸腹部の単純X線を撮影した(立位でできた)。胃のツブツブがあり、胃内のものに見えて、放射線技師さんから何を食べたんでしょうかと言われた。
右CPA angleが鈍だったのもあり、胸腹部CTで確認した。胃ではなくて脾臓の石灰化だった。腹腔内・縦隔にも石灰化があり、陳旧性結核性腹膜炎と思われた。現在活動性の病変はないようだ。
糖尿病の処方はDPP4阻害薬(トラゼンタ)とライゾデク注10単位(夕)だった。一番血糖が高くなる食事の前に入れることになっているが、夕のライゾデクは心配になる。以前はトレシーバを使用していて、途中で変更になっていた。インスリンの使用で、HbA1cは8%が7.5%になったようだ。80歳代だとDPP4阻害薬以外に安心して使える薬がない。
最近はずっと朝に低血糖になっているというので、ライゾデク10単位(トレシーバ分は7単位)をトレシーバ4単位に変えることにした。水分と食事もとれるようになり、入院はしたくないと帰宅を希望した。
脾臓の石灰化があったというだけの話。