なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

感染症か腎臓病か

2018年09月20日 | Weblog

 昨日の水曜日に、内科の若い先生(地域医療研修の専攻医)から、急性腎障害(AKI)の61歳男性のことで相談された。

 9月1日に寒気がして市販の感冒薬を飲んだ。ちょっと間が空いて、9月14日から寒気がして食欲がなかった。9月15日・16日と38℃の高熱があり、頻尿もあった。17日(祝日)当番医を受診して、抗菌薬の投与を受けている。この先生はファーストシン点滴静注とジェニナック内服の先生だ。18日にかかりつけの別の内科クリニックを受診してた。血液検査で腎障害を認めて、19日当院紹介という経緯だった。

 受診時は体温36.5℃と平熱だった。診察上、有意な所見はなかった。この方は当院の消化器科に潰瘍性大腸炎で通院している。処方はペンタサでステロイドの投与はない。最終の外来は8月30日で、検査でそれまでまったく陰性だったCRPが0.5とわずかに上昇して、血清クレアチニンがそれまでの0.8~0.9から1.23になっていたことは意味があるのか。腹部症状の悪化はその時も内科受診時もない。

 白血球数10200・CRP35.8と炎症反応上昇がある。BUN76.3・血清クレアチニン3.87だった。尿検査は尿蛋白(2+)・尿潜血(+)で、尿沈渣でWBC5-9/HPF・細菌(ー)になっていた。胸腹部CTで肺炎はなく、右腎臓が左より腫大して周囲脂肪織に炎症像があるように見える。投与された抗菌薬が効いていた。

 血液培養2セットと尿培養はすでに提出されていた。ただし若い先生が言うように、抗菌薬投与後で、尿路感染症(急性腎盂腎炎)としたら尿所見はほとんど正常化している。何も出ない可能性が高い(といって取らざるを得ないが)。

 画像上前立腺肥大はなく、61歳男性が急性腎盂腎炎にそうそうならない気がするが、膀胱炎様の症状はあったし、CT所見を有意ととれば、尿路感染症はあると考えていい?。食欲低下が3日程度あり、それで脱水症・腎前性腎不全になったとして、これほど腎障害をきたすのだろうか?。

 気になるのが急速進行性糸球体腎炎(RPGN)の発症だった。ANCAなどの外注検査を追加で提出するが、結果はおそらく来週になる。ちょうど透析に大学病院字腎臓内科の先生が来ていたので、相談することにした。

 尿路感染症で脱水症・腎前性腎不全になったと思われるが、RPGNは否定できないので、検査を提出して補液・抗菌薬投与(セフトリアキソン)で経過を見てください、ということだった。翌日・翌々日と検査して、その治療で腎障害が悪化する時は、大学病院に連絡して下さいとも言ってくれた。

 腎臓内科の後ろ盾を得て(?)、若い先生が入院の指示を出した。食欲はある程度戻っているので、補液2500ml/日で開始した。今日はBUN67.6・血清クレアチニン2.66で、腎障害は改善してきた。

 尿路感染症+脱水症・腎前性腎不全でよさそうな感じだが、血沈91mm/時と上昇していた。感染症の影響だけではなく、腎臓病自体もあるのだろうか。

 

 それにしても当院の透析は百数十名が通院しているが、腎臓内科医がいなくなってから、非常勤医だけで運営している。これで大きなトラブルが起きないのはすごい(常勤医がいないので、ひどいというべきか)。

 

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