Snowtree わたしの頭蓋骨の下 *鑑賞記録*

舞台は生もの、賞賛も不満もその日の出来次第、観客側のその日の気分次第。感想というものは単なる個人の私感でしかありません。

帝国劇場『レ・ミゼラブル』ソワレ 1等2階1列目下手寄り

2009年10月11日 | 演劇
帝国劇場『レ・ミゼラブル』ソワレ 1等2階1列目下手寄り

一度は観てみても良いミュージカルとオススメされて初レミゼ体験。さすが超ロングランしている作品だけあります。長年支持されてきた作品には力がありますね。良いもの良いんですよねえ。

先月観劇して気に入った『ジェーン・エア』の演出もしたジョン・ケアード氏の演出がとにかく素晴らしかったです。私、ジョン・ケアード氏の演出、かなり好みです。とにかく「わあ~、すごい」っと圧倒させられました。特にバリケードの使い方や下水道のシーンなんてゾクゾクくる。バリケードは大掛かりなセットだけど、それ以外は簡素で、それでも情景が活き活きと立ち上がっている。照明の使い方も上手いし、何より人の動かし方も良い。とても緻密に考えられた演出が本当に見事。

また楽曲もとても良いし、聴き応えがあるナンバーが多かった。物語は『ジェーン・エア』と同じくキリスト教が根底にあるので、そこら辺は感覚的な部分で馴染めないところもあったりはしましたが、どう生きるのか、って部分の切なさのところで共感できる。「貧しい人々」の現実をしっかり描いて切なくて、じわ~と胸に響いてきました。

いくら再演で慣れたキャストとはいえ初日始まってからまだ間もない時期でこれだけまとまったお芝居なんだから後半もっと盛り上がるでしょうねえ。う~ん、違うキャストでも観たいかも…。

バルジャン@別所さん、歌で聴かせるというより芝居で魅せるバルジャンかなと思いました。とっても人間臭いというか、まっすぐな気性ゆえにずっーと悩み続けて生きているバルジャンにみえました。力強さのなかの脆さがとても魅力的でした。

ジャベール@石川禅さん、深みのある声がとても素敵。歌がとってもお上手で聴き応えあって、元々こちらの道の方と思いましたら、最初はストレートプレイの役者さんだと伺いビックリ! 自身の矜持がとても強くもっている厳しく激しいジャベールでした。それだけにラストがとても哀れで救われて欲しかったなあと思いました。

ファンティーヌ@シルビア・グラフさん、哀れな女だけど、きちんと芯のある 女性像としてのファンティーヌ。娼婦になることでしか生きていけなかった哀しみが伝わってきてとても良かったです。

エポニーヌ@知念里奈さん、アイドルからいつの間にか舞台女優さんになっていたのですね。マリウスを健気に恋い慕う哀れさがとても良く出ていて、歌にじーんとさせられました。

アンジョルラス@坂元健児さん、綺麗な声をしていますねえ。歌声がすこーんと通ります。革命も燃える情熱的なアンジョルラスにピッタリ。

コゼット@神田沙也加さん、可愛いです。華があって、皆に愛される可愛いコゼットにぴったりだったと思います。

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『レ・ミゼラブル』

原作:ビクトル・ユゴー
作曲:クロード=ミッシェル・シェーンベルク
作詞:ハーバート・クレッツマー
潤色・演出:ジョン・ケアード、トレバー・ナン
翻訳:酒井洋子
訳詞:岩谷時子

出演者:
バルジャン---------別所哲也
ジャベール---------石川禅
エポニーヌ---------知念里奈
ファンティーヌ-----シルビア・グラフ
コゼット-----------神田沙也加
マリウス-----------小西遼生
テナルディエ-------三谷六九
テナルディエの妻---阿知波悟美
アンジョルラス-----坂元健児