『江戸川乱歩フォーラム2008』
11月国立劇場の歌舞伎公演、乱歩歌舞伎『江戸宵闇妖鉤爪』に絡んだ内容なのでこちらにupしてみます。
ミステリー小説講座
~読売 江戸川乱歩フォーラム2008~
日時 2008年9月27日(土)13:30~15:30(13:00開場)
会場 立教大学 タッカーホール
13:30~14:00 イントロダクション 藤井淑禎氏
14:00~14:20 「歌舞伎と乱歩」
市川染五郎×鈴木英一氏(早稲田大学講師)
14:20~15:30 ミステリー作家対談 有栖川有栖氏×北村薫氏
◎旧江戸川乱歩邸特別公開!12:30~13:30/15:30~17:00
○イントロダクション 藤井淑禎氏
まずはなぜ立教大学で「江戸川乱歩フォーラム」を開催することになったのか、というお話から。このフォーラムは今回で5回目だそうです。乱歩邸を資料すべてとともに大学に寄贈され管理しており、研究する使命を負ってとのこと。保存と公開のバランスが難しいとおっしゃっていました。
○「歌舞伎と乱歩」市川染五郎×鈴木英一氏(早稲田大学講師)
鈴木さんは演劇研究センター講師で常磐津の太夫さん。染五郎さんとは仲良しなんですよね。歌舞伎がらみの対談のときによく駆り出されています。
トークべたな染五郎さんは知り合いの鈴木さんと一緒のせいかいつもより頑張ってトークをしてました(笑)でもやっぱり緊張しいな感じだし、決して上手ではないかな…。
今回は11月国立での乱歩歌舞伎『江戸宵闇妖鉤爪』に絡んだトークです。そもそものキッカケは染五郎さんが新しい歌舞伎をどういう題材でやれば面白いかと色々、妄想していたのを鈴木さんと飲みながら話していた時の話題のひとつなんだそう。乱歩で歌舞伎ができないか、という話からじゃあどれを?ということで『人間豹』が候補にあがったとのこと。人間豹は映像化も舞台化も今までやってないものだと思うとのこと。
「15年前のこと。高校時代から新作歌舞伎のことは色々考えてきたので今回これを実現できるのは大変嬉しい。」
「乱歩作品は歌舞伎とは違う色彩ではあるけど色彩美が豊かだし、音楽性もある。その部分で歌舞伎に置き換えられると思った。また登場人物も個性豊かだし、実はだれそれ、という展開も歌舞伎によくある展開なので。今回『人間豹』を『江戸宵闇妖鉤爪』として歌舞伎にする時には江戸末期に、レビューシーンを劇中劇に、気球で去るシーンは大凧の宙乗りにと、置き換えてできますしうまく歌舞伎にハマると思います。実は大凧は大凧じゃなかったり…あっ、言っちゃだめ?観てのお楽しみ。」
「恩田(人間豹)を演じさせていただくのですが、恩田は沢山人を殺していきますがその背景や動機がいっさい書かれてない。その得たいの知れなさ不気味さを歌舞伎でいうところの「悪の華」として演じたい。また江戸末期という時代のあれこれに通じていくという部分も今回の歌舞伎にはあります。まあそこは観てください。」
「演出は今までの歌舞伎の手法でないものも使います。父が色々考えてます。音楽は新内を使います。新内節は色気があるので乱歩にぴったりかと思って。」
(染五郎さんは新作の歌舞伎の時には音にすごく拘りますよね。パルコ歌舞伎ではテーマソングを作り、劇中音楽はすべて新作。染模様では講談を使い、竜馬では尺八。邦楽という枠のなかで冒険をしています。音でここまで色々やっているのは染ちゃんくらいでは?)
「脚本は昨日、あがってきました。新作なので準備期間は長めにとってあります。十分な準備ができると思うので頑張って完成度の高いものをお見せしたい。実は10月は父の勧進帳1000回に向けての大事な巡業があるんですが、父(幸四郎さん)と会うとこの話は全然出なくて乱歩歌舞伎のことばかりなんです(笑)」
これが国立で実現するなんてすごい、と鈴木さん。「だって、日生とかじゃなく、劇団☆新感線とかでもなく、国立の歌舞伎公演でですよ~。乱歩の世界ってエログロだったりするでしょ、それを国立が許可するなんて」と、何度も言ってました(笑)その流れで「幸四郎さんの明智が見られるなんて!演出は幸四郎さんなんですよね」「あっ、だから国立が?」なんて感じでおっしゃるものだから、染五郎さんが「企画は僕ですから!!、そこのとこよろしく!」って強調してました(笑)
鈴木さんも脚本を読んだそうです。「面白いです。事前に情報を仕入れないで観てください。筋書き買っても読まないで観てね。」とのこと。
○ミステリー作家対談 有栖川有栖氏×北村薫氏
これがすんごい楽しかった。とにかく有栖川さんと北村薫さんのお二人が面白すぎ。このお二人、乱歩がかなりお好きなんですね。乱歩の話だけで1時間10分突っ走りました。すご~い。
それにしても北村薫さんてあんなキャラだったんですね。もうしゃべりまくり、仕切りまくり(笑)有栖川有栖さんがトーク上手なのは知っていたのですがそれを上回る。有栖川さん、だいぶ北村さんに押されっぱなしでした。それでもやっぱ突っ込み体質な有栖川さんだけあって、それでもあちこちで突っ込みしまくりでイチイチ楽しかった。
面白すぎてトーク内容を再現できないっ。
お二人の乱歩体験の話とかどの作品が好きだとか、乱歩はどういう人だったのか?とかそこらへんのお話を。
北村さんが乱歩の肉声をテープで聞かせてくださいました。なんとべらんめいな江戸っ子って感じのしゃべり方でした。イメージと違う…。有栖川さんもそう思われたらしく「ぼそぼそっと後ろ向きな雰囲気で話される、というイメージが…」とおっしゃていました。
乱歩は歌舞伎好きで仲間と観劇会を定期的に開いていたそうです。。文士劇で河内山に扮したことがあるとか。(風貌と声からするとピッタリだったかもしれません)
乱歩の二面性は頭髪にあり、との分析は山田風太郎氏が書いているそうで…(^^;)。
「乱歩は自分大好きな人ですから」とは有栖川さん。自分に関する資料、すべて保管していたらしいです。おかげで研究資料には事欠かないとか。
北村さんは小学校時代から乱歩を読んでいる。中学のときに女性が裸の表紙の本が出て、買うの恥ずかしくて隣町まで買いに行ったらしいです(笑)
有栖川さんは『人間豹』を来る直前に再読してきたそうでこの話をしたくてうずうずしてました。ネタばれしていいでしょ?と色んなツッコミ話を。染ちゃんが恩田を「悪の華」と評したのがいたく気に入ったらしく、「染五郎さんのおっしゃったことに感銘しました。「悪の華」いい言葉ですね、そうですよ、まさしくそういう話。歌舞伎、楽しみですよ~、これは!」「人間豹は悪の権化だけど、快楽殺人犯ではなく気持ちがまったくわからない人物ではない。そこがいい。」
「人間豹」と「黄金豹」の違いとか。もう、これ、有栖川さんと北村さんの解説が可笑しすぎるんですが…。本物の豹と着ぐるみ豹。電話のとんでもない?やりとり。着ぐるみ大好きな怪人二十面相?等々。ここら辺から乱歩作品の突っ込み解説が。乱歩作品を色々と読みたくてしょうがなくなりました。
11月国立劇場の歌舞伎公演、乱歩歌舞伎『江戸宵闇妖鉤爪』に絡んだ内容なのでこちらにupしてみます。
ミステリー小説講座
~読売 江戸川乱歩フォーラム2008~
日時 2008年9月27日(土)13:30~15:30(13:00開場)
会場 立教大学 タッカーホール
13:30~14:00 イントロダクション 藤井淑禎氏
14:00~14:20 「歌舞伎と乱歩」
市川染五郎×鈴木英一氏(早稲田大学講師)
14:20~15:30 ミステリー作家対談 有栖川有栖氏×北村薫氏
◎旧江戸川乱歩邸特別公開!12:30~13:30/15:30~17:00
○イントロダクション 藤井淑禎氏
まずはなぜ立教大学で「江戸川乱歩フォーラム」を開催することになったのか、というお話から。このフォーラムは今回で5回目だそうです。乱歩邸を資料すべてとともに大学に寄贈され管理しており、研究する使命を負ってとのこと。保存と公開のバランスが難しいとおっしゃっていました。
○「歌舞伎と乱歩」市川染五郎×鈴木英一氏(早稲田大学講師)
鈴木さんは演劇研究センター講師で常磐津の太夫さん。染五郎さんとは仲良しなんですよね。歌舞伎がらみの対談のときによく駆り出されています。
トークべたな染五郎さんは知り合いの鈴木さんと一緒のせいかいつもより頑張ってトークをしてました(笑)でもやっぱり緊張しいな感じだし、決して上手ではないかな…。
今回は11月国立での乱歩歌舞伎『江戸宵闇妖鉤爪』に絡んだトークです。そもそものキッカケは染五郎さんが新しい歌舞伎をどういう題材でやれば面白いかと色々、妄想していたのを鈴木さんと飲みながら話していた時の話題のひとつなんだそう。乱歩で歌舞伎ができないか、という話からじゃあどれを?ということで『人間豹』が候補にあがったとのこと。人間豹は映像化も舞台化も今までやってないものだと思うとのこと。
「15年前のこと。高校時代から新作歌舞伎のことは色々考えてきたので今回これを実現できるのは大変嬉しい。」
「乱歩作品は歌舞伎とは違う色彩ではあるけど色彩美が豊かだし、音楽性もある。その部分で歌舞伎に置き換えられると思った。また登場人物も個性豊かだし、実はだれそれ、という展開も歌舞伎によくある展開なので。今回『人間豹』を『江戸宵闇妖鉤爪』として歌舞伎にする時には江戸末期に、レビューシーンを劇中劇に、気球で去るシーンは大凧の宙乗りにと、置き換えてできますしうまく歌舞伎にハマると思います。実は大凧は大凧じゃなかったり…あっ、言っちゃだめ?観てのお楽しみ。」
「恩田(人間豹)を演じさせていただくのですが、恩田は沢山人を殺していきますがその背景や動機がいっさい書かれてない。その得たいの知れなさ不気味さを歌舞伎でいうところの「悪の華」として演じたい。また江戸末期という時代のあれこれに通じていくという部分も今回の歌舞伎にはあります。まあそこは観てください。」
「演出は今までの歌舞伎の手法でないものも使います。父が色々考えてます。音楽は新内を使います。新内節は色気があるので乱歩にぴったりかと思って。」
(染五郎さんは新作の歌舞伎の時には音にすごく拘りますよね。パルコ歌舞伎ではテーマソングを作り、劇中音楽はすべて新作。染模様では講談を使い、竜馬では尺八。邦楽という枠のなかで冒険をしています。音でここまで色々やっているのは染ちゃんくらいでは?)
「脚本は昨日、あがってきました。新作なので準備期間は長めにとってあります。十分な準備ができると思うので頑張って完成度の高いものをお見せしたい。実は10月は父の勧進帳1000回に向けての大事な巡業があるんですが、父(幸四郎さん)と会うとこの話は全然出なくて乱歩歌舞伎のことばかりなんです(笑)」
これが国立で実現するなんてすごい、と鈴木さん。「だって、日生とかじゃなく、劇団☆新感線とかでもなく、国立の歌舞伎公演でですよ~。乱歩の世界ってエログロだったりするでしょ、それを国立が許可するなんて」と、何度も言ってました(笑)その流れで「幸四郎さんの明智が見られるなんて!演出は幸四郎さんなんですよね」「あっ、だから国立が?」なんて感じでおっしゃるものだから、染五郎さんが「企画は僕ですから!!、そこのとこよろしく!」って強調してました(笑)
鈴木さんも脚本を読んだそうです。「面白いです。事前に情報を仕入れないで観てください。筋書き買っても読まないで観てね。」とのこと。
○ミステリー作家対談 有栖川有栖氏×北村薫氏
これがすんごい楽しかった。とにかく有栖川さんと北村薫さんのお二人が面白すぎ。このお二人、乱歩がかなりお好きなんですね。乱歩の話だけで1時間10分突っ走りました。すご~い。
それにしても北村薫さんてあんなキャラだったんですね。もうしゃべりまくり、仕切りまくり(笑)有栖川有栖さんがトーク上手なのは知っていたのですがそれを上回る。有栖川さん、だいぶ北村さんに押されっぱなしでした。それでもやっぱ突っ込み体質な有栖川さんだけあって、それでもあちこちで突っ込みしまくりでイチイチ楽しかった。
面白すぎてトーク内容を再現できないっ。
お二人の乱歩体験の話とかどの作品が好きだとか、乱歩はどういう人だったのか?とかそこらへんのお話を。
北村さんが乱歩の肉声をテープで聞かせてくださいました。なんとべらんめいな江戸っ子って感じのしゃべり方でした。イメージと違う…。有栖川さんもそう思われたらしく「ぼそぼそっと後ろ向きな雰囲気で話される、というイメージが…」とおっしゃていました。
乱歩は歌舞伎好きで仲間と観劇会を定期的に開いていたそうです。。文士劇で河内山に扮したことがあるとか。(風貌と声からするとピッタリだったかもしれません)
乱歩の二面性は頭髪にあり、との分析は山田風太郎氏が書いているそうで…(^^;)。
「乱歩は自分大好きな人ですから」とは有栖川さん。自分に関する資料、すべて保管していたらしいです。おかげで研究資料には事欠かないとか。
北村さんは小学校時代から乱歩を読んでいる。中学のときに女性が裸の表紙の本が出て、買うの恥ずかしくて隣町まで買いに行ったらしいです(笑)
有栖川さんは『人間豹』を来る直前に再読してきたそうでこの話をしたくてうずうずしてました。ネタばれしていいでしょ?と色んなツッコミ話を。染ちゃんが恩田を「悪の華」と評したのがいたく気に入ったらしく、「染五郎さんのおっしゃったことに感銘しました。「悪の華」いい言葉ですね、そうですよ、まさしくそういう話。歌舞伎、楽しみですよ~、これは!」「人間豹は悪の権化だけど、快楽殺人犯ではなく気持ちがまったくわからない人物ではない。そこがいい。」
「人間豹」と「黄金豹」の違いとか。もう、これ、有栖川さんと北村さんの解説が可笑しすぎるんですが…。本物の豹と着ぐるみ豹。電話のとんでもない?やりとり。着ぐるみ大好きな怪人二十面相?等々。ここら辺から乱歩作品の突っ込み解説が。乱歩作品を色々と読みたくてしょうがなくなりました。
検索から参りました。
私も昨日行きまして、雪樹さんのレポを読んで楽しい気持ちが蘇るようで、ついコメントさせていただきたく思いました。
共感するところ多し、です。ただ、確かにあの様子を言葉で再現するのは難しいですね。
あとは、個人的には北村薫さんのお話から、川端康成宅に泥棒が入った際「いけませんか?」と言ってしまったエピソードもよかったです。
ありがとうございました。
コメントしてくださってありがとうございます。嬉しいです~、
miyaさまも江戸川乱歩フォーラムに参加されたのですね。トーク、とても楽しかったですね(^^)。でもあの様子を再現するのは難しいです。少しでも忘れないうちにとレポをupしましたが、メモも取っていなかったので、漠然としたものしか書けず…。あの楽しさをどう伝えればいいの、という感じです。
でも書いたおかげでmiyaさまがいらしてくださったのだから、書いたかいはありました。川端康成宅のエピソードありがとうございます。そうそう、これには大笑いしました。目に浮かぶようでしたよね~。