晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

「レイジング・ブル」(80・米) 80点

2013-06-27 07:24:46 | (米国) 1980~99 
  ・<デ・ニーロ・アプローチ>を生んだ実在ボクサーの人間ドラマ。

  

 ボクシング・ミドル級チャンピオンで、<ブロンクスの猛牛>と呼ばれたジェイク・ラモックの自伝をもとに「タクシー・ドライバー」(76)の名コンビ、マーティン・スコセッシ監督、ロバート・デ・ニーロ主演による男の哀歓を描いた人間ドラマ。デ・ニーロは現役ボクサー時代と引退後を一人で演じ、その体重差27kgの変貌ぶりを<デ・ニーロ・アプローチ>と呼ばれるほど。見事オスカーを射止めている。

 ボクシング映画の名画は、ロバート・ワイズ監督ポール・ニューマン主演のロッキー・グラシアノ自伝ドラマ「傷だらけの栄光」(56)があるがそれに匹敵する。ボクシングのクオリティの高さはかなりのハイレベルだが、<ロッキー>のようなエンタテインメント作品とは一線を画している。
 
 現役時代の波乱万丈ぶりもドラマチックだが、むしろ引退後ナイトクラブ経営・逮捕・クラブ司会出演と変遷を重ねる、その孤独な生きザマが本領発揮のところ。自らの猜疑心から妻ビッキー(キャシー・モリアーティ)や弟ジョーイ(ジョー・ペシ)への嫉妬心が募って凋落して行くサマは、哀れさが漂い破滅型人間そのもの。弟役のジョー・ペシの存在も、この手の映画には欠かせない。

 幸せなシーンのみカラー画面を使い、大部分白黒画面で展開される情景がこの作品の効果を一層際立たせている。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿