瀬戸内少年野球団
1984年/日本
戦後の希望は少年野球だった
shinakamさん
男性
総合 85点
ストーリー 85点
キャスト 90点
演出 85点
ビジュアル 85点
音楽 85点
今年惜しくも亡くなった大作詞家・阿久悠の自伝的小説を篠田正浩が監督。淡路島で終戦を迎えた少年を主人公に、野球をすることで希望を見出す物語。
敗戦直後、淡路島にも進駐軍がやってくる。駐在所の巡査(大滝秀治)の孫・竜太(山内圭哉)やバラケツ・三郎(大森嘉之)達は、転校生で提督(伊丹十三)の娘うめ(佐倉しおり)を守るため交代で見張りを立てる。
駒子先生(夏目雅子)は網元の長男正夫(郷ひろみ)の戦死公報を知って、次男鉄夫(渡辺謙)との再婚をためらっている。
それぞれが背負う戦争の負荷が島の人々を襲うが、その象徴が未亡人トメ(岩下志麻)。理髪店をバーに変え大繁盛するが、時代の変化とともに寂しく島を去って行く。
片足を失った正夫の生存を知りながらも、一度過ちを犯した駒子が再会を諦めるシーンは、夏目雅子ならではの清純さが際立っている。毅然として生徒達に「野球をやりましょう」というシーンとともに印象深い。
旅芸人(沢竜二)やバラケツの兄(島田紳助)バーの女(ちあきなおみ)などが登場し、終戦直後の島がイキイキと描かれていて飽きさせない。
そしてグレンミラー楽団のスウィング・ミュージックのテーマ音楽や、「リンゴの歌」など流行歌を歌う子供達に、この時代を彷彿させてくれる。
この年のキネマ旬報のベストテン・3位作品らしい出来栄えだが、ちなみに1位は伊丹十三監督の「お葬式」なのも皮肉である。
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