・ 時代考証に忠実な初老の牛追いを好演したC・ヘストン。
サム・ペキンパーのTVシリーズの一編からトム・グライスが監督・脚本化した初老の牛追い(カウボーイ)ウィル・ペニーの物語。
この時代の西部劇はイタリア製(マカロニ・ウェスタン)に人気を奪われ低迷中だったが、本作のような拾い物もあった。
序盤から時代考証に忠実な本物感に拘った映像はカウボーイの過酷な仕事ぶりが丁寧に描かれ、まもなく50を迎えるウィル・ペニーが置かれたポジショニングが伝わってくる。
ウィルに扮したチャールトン・ヘストンは、「十戒」(56)、「ベンハー」(59)のような大作で強く逞しい役柄が多かったが、本作では新たな役柄に挑戦、情感あふれる初老の男に扮し彼のお気に入りの作品となった。
テキサスからカンザスシティまでの牛追いに携わったウィル・ペニーは、牛追いマスターからの誘いを断り若いカウボーイ二人とともにテキサスへ向かう。
途中鹿の狩猟でクイント一家と揉め殺傷事件を起こしたため、医師のいる場所を尋ねようと交易所へ立ち寄る。そこで出会ったのはオレゴンにいる夫の元へ旅するキャサリーンと息子ホーレスのアレン親子だった。
クイント一家に襲われ負傷したウィルとアレン親子が再会したのは山岳地帯の監視小屋。
ここからの流れは何処かで観たような展開だが本作が<第二のシェーン>といわれたことに納得。
ウィルは男らしくて逞しいが、環境が違う夫のある女性と暮らすことが無理なのを知っていた。朴訥な不器用な生きざまがとても切ない。
キャサリーンは息子に朗読したり、歌を歌ったりする母性的で、ウィルに「あんたは男を男らしくさせる」といわせるような毅然とした美しさをもつ女性。49歳で亡くなってしまったジョーン・ハケットが好演している。
クイントに扮したドナルド・プレザンスが狂信的な敵役で印象に残り、その息子がブルース・ダーン、若いカウボーイ・ブルーのリー・メジャース、フラットアイアン牧場主にベン・ジョンソンという名優たちが脇を固めている。
本作の2年後「ワイルド・パンチ」で新機軸を歩みだす米国製西部劇。S・ペキンパーの盟友ルシアン・パラードの撮影が光る作品でもあった。
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