晴れ、ときどき映画三昧

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「フォート・ブロックの決斗」(59・米)75点

2021-12-14 12:36:47 | 外国映画 1946~59


 ・ 若きカウボーイの立身出世物語。


 「シェーン」の脚本家でもあるA・B・ガスリーJrの小説をリチャード・フライシャー監督で映画化。若きカウボーイが牧場を持つ夢を果たし、上院議員候補まで上り詰めるまでを96分で描いた監督の手腕が光る。主演は「バス停留所」(56)で映画デビューしたドン・マレー。リチャード・イーガン、リー・メリックが共演している。

  父の牧場破産でオレゴンから牛追いをしながらワイオミングのフォート・ブロックへやってきたラット(D・マレー)。荒馬を乗りこなし、土地の顔役イエフ(R・イーガン)との競争馬の賭けをして勝ちここへ留まることにした。牧場経営を夢見てカウボーイ仲間だったトム(スチュアート・ホイットマン)とオオカミ狩りで毛皮を売って儲けようとするが、先住民に襲撃されてしまう。酒場で知り合ったキャリー(リー・メリック)の献身的な看病で回復するが、彼女はイエフの世話になっていた・・・。

 タイトル・バックでハリー・ウォレンの主題歌「果てしなき山々」が流れ、雪山を背景に渓谷で乗馬のシーンが描写される冒頭から、リアルな牛追い・荒馬の調教など典型的な西部劇らしいスタート。

 B級映画と言われるジャンルからスタート、46~87まで60本あまり幅広いジャンルを手掛け、「ミクロの決死圏」(66)、「ソイレント・グリーン」(72)など話題作を送り出したR・フライシャー監督。
 流れ者のカウボーイが牧場主そして上院議員まで上り詰めるという一大ドラマを、簡潔描写でテンポよく観客を惹き付ける作風で飽きさせない。
 
 D・マレーはブロードウェイ出身でありながら少し物足りない程オーバーなアクトのない自然な演技。友情・恋もかなり打算的で上昇志向の塊だったが、頂点に上り詰める寸前で後悔し行動を改める主人公を好演している。

 悲劇のヒロイン・キャリー役のリー・メリックは、売春婦と言われる汚れ役だが不潔感は皆無である。「酒とバラの日々」でのアル中役など汚れ役が多いものの、J・スチュワート、F・シナトラ、J・レモン、G・ペック、B・ランカスターなど大スターの相手役を務めた彼女は当時の映画界では貴重な存在だったのだろう。

 敵役イエフのR・イーガン、悲劇の相棒トム役のS・ホイットマンなど二人を盛り上げる脇を固める俳優もそれぞれ存在感を魅せている。

 邦題にある肝心の決斗は華々しい銃ではなく異色なもので、原題は「Theth Thousand Hills」。
 どちらも相応しい題名とはいえないが、想像したものとは違っていても観て損はなかったと思えるドラマだった。

 
 


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