・ 伝説の保安官・アープを、史実をもとに描いた長編西部劇。

「OK牧場の決闘」でその名を知られる伝説の保安官ワイアット・アープの半生を描いた長編西部劇。監督は「白いドレスの女」(81)、「シルバラード」(85)のローレンス・ガスタンで、ケビン・コスナーが主演のワイアットに扮している。
ジョン・フォードの「荒野の決闘」(46)を始め、「OK牧場の決斗」(57)など代表作があるなか、史実に基づきアープの少年時代から決闘のその後までのエピソ-ドを描いたため191分の長編大作となった。
ワイアットの人物像は、ヘンリー・フォンダが扮した紳士的なロマンチストやバート・ランカスターの正義漢というイメージがあるが、実在の人物とは大分違う。
「墓石と決闘」(67)や「トゥーム・ストーン」(93)では史実に近いストーリーで描くあまりイメージ・ダウンもあって、脚本も手掛けたカスダン監督はK・コスナーとともに決定版の意気込みで製作しているのが伝わってくる。
アープ兄弟とドク・ホリデイがクラントン・マクローリー兄弟らと対決する1881年10月26日にヴァージル・モーガンとともにOKコーラルへ向かうシーンから始まるが、直ぐ一面のトウモロコシ畑に変わる。
それはワイアットの少年時代、法律家で大農業家でもある父ニコラス(ジーン・ハックマン)の教えが、のちの彼の生き方に影響するかを描くために必要なシーンでもあった。
7年後ワイオミング準州からミズーリ、アーカンソー、カンザス州ウィチタ・ダッジシティ、テキサス州フォート・グリフィンそしてアリゾナ州トゥームストーンまで、さまざまな出会いと出来事が<家族の血が大切>であり、<法の破壊者に戦いを挑まれたら、手加減せずに先制攻撃>することだった。
それぞれのエピソードは、時代の一コマとして頷ける事柄だったが、如何にも冗長なのは否めない。筆者のような西部劇好きには興味があっても、映画の出来としては如何なものか?という評価で、作品はラジー賞にノミネート、K・コスナーは主演男優賞に選ばれた。
コスナーのほかにドク・ホリデイに扮したデニス・クエイドは減量して頑張ったが、2人の硬い友情の経緯があまりにも淡泊で<OKコーラル>に登場する必然性も感じられなかったのが残念!
実際のOK牧場(コーラル)は街中の馬囲いのことで、決闘は利害が対決した市警派とカウボーイ派の争いが発端の至近距離での銃撃だったのであっさり決着している。
実際のワイアットは正義の保安官というより実業家志向で、鉱山取得や賭博場の胴元になっている。女好きで妻ウリラを亡くしてからは行く先々で愛人がいて、47年間連れ添ったジョセフィンは、郡保安官ジョニー・ビーハンの恋人だった。
ワイアットが西部開拓史の男の生き方を象徴し伝説化したのは、対立した2つの新聞社の取材合戦があり拡大化したのと、ワイアットがその存在を後世に残したかったから。
筆者は充分楽しめたが、正義漢あふれる紳士的なロマンチストの保安官像を抱いている人にとってはお勧めできない。
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