晴れ、ときどき映画三昧

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「七人の無頼漢」(56・米)75点

2020-04-17 16:05:22 | 外国映画 1946~59


・ ラナウン・サイクルの西部劇7作品で最初のヒット作。

 製作ハリー・ジョー・ブラウン、監督バッド・ベディカー、主演ランドルフ・スコットの黄金トリオによる西部劇で、ラナウン・サイクルと呼ばれている。
 原案はのちに「続・荒野の七人」(66)、「戦う幌馬車」(67)、「大列車強盗」(73)など多数の西部劇を監督しているバート・ケネディで、これが脚本デビュー作でもある。

 愛妻を殺され2万ドル相当の金塊を奪われた元保安官が、幌馬車で西へ向かう夫婦と同行しながら七人の男たちを追って行くストーリー。

 雨の夜、岩場で休むふたりの男にズブ濡れの男が現れるプロローグ。コーヒーを手に語り合う間もなく銃声が聞こえ、カット替わりで男が2頭の馬の手綱を取っているシーンになることで、二人が倒されたことが分かる場面で幕が開く。

 まもなく幌馬車の夫婦やガンマンたちと同行するうち男が主人公の元保安官ストライド(R・スコット)で、愛妻殺しで金塊強盗で逃亡中の七人を追っていることが次第に分かっていく・・・。冒頭の二人はその仲間だった。

 大自然を背景に旅する幌馬車や先住民が登場し、合間にトラブルや銃撃戦があり決闘で幕を閉じるという西部劇に相応しいテーマがしっかりと描かれていた。おまけにラブ・ロマンスまであるのに僅か78分というのも驚かされる。

 ヌーベルバーグを支えたフランス批評家のアンドレ・バザンが激賞したことで名作だと再評価されたのは、もともとB級娯楽西部劇でありながら美しい構図と省略による巧みなカット割りからだろう。
 銃声や水浴びの音だけで画面に出なかったことを想像させる演出の見事さとB・ケネディのシナリオ、撮影監督ウィリアム・H・クローシアの功績も大きい。

 主演したR・スコットはジョン・ウェインの代役だったが、クールな表情とスタイリッシュな身のこなしは役柄にぴったり。碧い瞳の美しい人妻アニー(ゲイル・ラッセル)との淡いラブ・ストーリーも程良い味付けになっている。実直な夫(ウォルター・リード)も損な役柄ながら見せ場は用意されていた。

 好敵手になる若いガンマン、マスターズに扮したリー・マーヴィンがいい。不適な面構えで緑のスカーフのダンディなスタイルは存在感溢れ、ドラマを最後まで引っ張って行く。彼の出世作でのちの大活躍が窺える好演だ。

 最後の決闘シーンは若いマスターズに対し初老のストライドには分があるとは思えないが、早撃ちを巧みなカット割りにすることで名シーンとなった。

 昨年の東京国際映画際のウェスタン特集で屋上上映された本作。西部劇ファンには全盛期を飾る作品のひとつとして見逃せない。
 
 


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