ヤング@ハート
2007年/イギリス
死の瞬間まで生きることの大切さを教えてくれる
総合 90点
ストーリー 95点
キャスト 90点
演出 90点
ビジュアル 90点
音楽 95点
米・マサセッツ州ノーサンプトンで結成された平均80歳のロックコーラス・グループを、英のスティーヴン・ウォーカー監督が6週間あまりを追ったドキュメント。ロス映画祭を初め観客賞を多数受賞している。
オープニングからドギモを抜かれる。92歳の花形スター・アイリーンがザ・クラッシュの歌をシャウト。彼女の人柄が見えてくるインタビューが続く。脊椎狭さくで歩行すら儘ならないスタン(75歳)、セックス・ビーストのあだ名を持ちオープンカーで吹っ飛ばすスティーブ(77歳)、小型車で練習に通うレニー(86歳)など次から次へ現れるヒトがさまざまな人生を歩んできた。
見逃せないのは、このグループを’82の発足から指導してきたボブ・シルマン(54歳)。クラシックやオペラ好きでロックとは無縁な老人達にソニック・ユース、ボブ・ディラン、トーキング・ヘッズ、ジェームス・ブラウンなどを根気良く時には厳しく時には暖かく教えて行く。まさに素晴らしいプロデューサーでもある。
年1回行われるコンサートに新曲を入れ悪戦苦闘するメンバー達を追いながらアクシデントにも見舞われる。最大の事件はメンバーの天才シンガー・ジム・ベノア(83歳)の死。ポスターのメインで公演1週間前に亡くなったこと。ドキュメントならではのハプニングだが、映像化することにためらいや家族の反対は無かったのだろうか?
タブーである、<老い><孤独><病>そして<死>までも忠実に描きながらも決して暗くはならない。失うものは何も無いと言いながら「死の瞬間まで生きることの大切さ」を教えてくれ、パワーを貰える。
この映画では刑務所慰問で「フォーエバー・ヤング」を歌い受刑者と交流を深めるが、観客も癒され、涙を誘う。
そして元メンバーで特別ゲストのフレッドがデュエットする予定で亡くなったボブのために捧げた「フィックス・ユー」、全員が大苦戦した「イエス, アイ キャン キャン」が何時までも耳に残って離れない。
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