晴れ、ときどき映画三昧

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「アパルーサの決闘」(08・米 )70点

2018-07-09 16:04:31 | (米国) 2000~09 

・ E・ハリスによる監督2作目のハードボイルド・ウェスタン。




スペンサー・シリーズのハードボイルド作家であるロバート・B・パーカー原作を、エド・ハリスが製作・監督・脚色・主演した同名の映画化。

19世紀ニューメキシコの町アパルーサを舞台に新保安官として雇われたコールとヒッチの二人が、無法者の牧場主と対決するという王道を行く西部劇で、日本では劇場未公開だった。

コールにはE・ハリス、ヒッチにはヴィゴ・モーテンセンという「ヒストリー・オブ・バイオレンス」で共演した男の篤い友情物語に、レネー・セルヴィガー、ジェレミー・アイアンズ、ランス・へリクソン、ティモシー・スポールなど豪華キャストが共演。

「ポロック」(00)以来監督2作目のE・ハリスの惚れこみ具合が良く分かる時代考証への徹底した映像美は、西部劇全盛期に劣らない。

大西部の風景、服装、銃器など細部にわたって19世紀のリアル感がフィルム撮影の質感とともに見て取れる。

コールは凄腕のガンマンだが、女性に関しては先住民と娼婦以外は知らず恋をしたことがない。そこに現れた貴婦人のような女アリー(L・ゼルウィガー)に一目惚れ。

ヒッチは冷静で寡黙だが、アリーの本性は見抜きながら長年の相棒を守る健気な男。

コールは感情に溺れるなとヒッチに説教するが、寧ろかっとなって銃を抜くのはコールのほう。コルトSAAの拳銃がお似合いだが、無教養な育ちでボキャブラリー不足でヒッチに補ってもらうキャラクター。
E・ハリスの冷徹で信念の男のイメージを崩す、人間味溢れる役を楽しんでいる風情。

方やV・モーテンセンはチョット間違えると危ない役柄のイメージを覆す目立たない渋い役柄で、脇役に徹している。エイトゲージのショットガンがお似合いだ。

アリーを演じたL・ゼルウィガーは未亡人でコールを骨抜きにするファムファタールだが、強い男になびくことが平気なトラブル・メーカー。
ミスキャストでは?という声が多いが、西部の田舎町にひとりで現れる貴婦人などいるはずがない。「西部では女は愛に生きられない。愛に生きられるのは男だけ」ということを実践するコケティッシュな役柄はピッタリ。
もっとも当初予定していたダイアン・レインだったら違うイメージになったことは間違いない。

J・アイアンズの牧場主から町の有力者へ伸し上がって行くランダル・ブラッグは、教養もあって裁判でも言い負けない敵役。かつて保安官を殺したとはいえ、あまり極悪人には見えなかった。

最後の決闘は意外な組み合わせだったが、納得の眼と眼で会話できる二人の男の友情物語だ。


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