・ A・マン、J・スチュアートのコンビによる最後の西部劇。
「ウィンチェスター銃’73」(50)、「怒りの河」(52)などアンソニー・マン監督ジェームズ・スチュアート主演の西部劇は5本あるが、これは最後の西部劇。
ララミー砦から西部の町コロナドへ3台の馬車で荷物を運んできたウィル・ロックハート(J・スチュアート)。ラバに乗ったウィルは温厚そうで、使用人からも慕われている。帰りは届け先である雑貨店の女主人バーバラ(キャシー・オドネル)が教えてくれた塩田で塩を積んで帰ることにした。
そこへやってきた牧場主の息子デイヴ(アレックス・ニコル)は、泥棒呼ばわりした挙句、荷馬車に火を付け燃やしてしまう。牧童頭のヴィック(アーサー・ケネディ)が駆けつけたときは手遅れだった。
雄大な牧草地、険しい山岳地帯、白い田園風景をバックに、ウィルとデイヴの対決が序盤で明らかになるが、牧場主アレックス(ドナルド・クリプス)が登場するとハナシは単純には進まない。
昔は強引に力づくで牧場を拡大したものの、アレックスのいま最大の悩みは後継者問題。乱暴者の息子デイヴは相応しくないが牧童頭は他人。典型的なオーナーの悩みだ。
さらに元騎兵隊の大尉だったウィルはアパッチにウィンチェスター銃で殺された騎兵隊の弟がいたのだ。アパッチに銃を売った人間を探すための旅でもあった。
小さな牧場を守るケイト(アリーン・マクマホン)に雇われながら探索を続ける。
なかなか凝ったシナリオでウィルの復讐、バーバラを巡ってウィルとヴィックの三角関係、ウィルと元使用人フリッツの友情、デイヴとヴィックの後継者争い、アレックとケイトの老い楽の恋などが絡みながら物語は進んでゆく。
ただ104分では中途半端だったり強引な展開だったりで、結局はウィルが自ら手を下さないまま目的を果たすというご都合主義が目につく。もっとも気の毒だったのはヴィック役のA・ケネディで、前半と後半では別人格となってしまった。
<アメリカの良心>と呼ばれ、生涯一度も悪役を演じたことがないJ・スチュアートらしいエンディング。それなりに面白かったハッピー・エンドなのに、どこか物足りなかったのは西部劇アクションらしい爽快感がなかったためか?
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