I am Sam アイ・アム・サム
2001年/アメリカ
<愛こそすべて>のファンタジック・ムービー
shinakamさん
男性
総合 75点
ストーリー 75点
キャスト 85点
演出 75点
ビジュアル 75点
音楽 75点
ジェシー・ネルソン監督2作目でクリスティン・ジョンソンとの共同脚本。女性監督ならではの極細やかな人物描写で観客の涙を誘うファンタジック・ムービー。
知的障害者のサム(ショーン・ペン)はホームレスの女性との間に生まれた娘ルーシー(ダゴタ・ファニング)を溺愛するが、児童福祉ソーシャル・ワーカーから子育ては不適切との判定を受け引き離される。どうしても取り戻したいサムは施設の仲間から弁護士を雇うことを勧められ、エリート女性弁護士のリタ(ミシェル・ファイファー)に弁護を頼みに行く。
観客は障害者と子供の組み合わせだけで充分なのに、現代では忘れられがちなサムの<ひたむきな姿>をこんなカタチで見せられれば惹き込まれずにはいられない。サムを演じたショーン・ペンの役の入れ込みようは尋常ではなく、従来のイメージを払しょくする娘命の良きパパぶりを表情・仕草で魅せる。D・ファニングは賢くて愛らしい娘・ルーシーを見事に演じ、本作で天才子役の名を欲しいままにした。いま美しいハイティーンになっているがこれから大女優へ育って欲しい。
この2人の引き立て役に廻ったM・ファイファーも見逃せない。負け知らずを自負するエキセントリックな弁護士だが、家庭では夫の浮気と息子の養育に悩んでいる。サムの依頼も体良く断るつもりが、周りの目を意識してボランティアだといって引き受ける。美しい笑顔が嫌悪や諦めから嬉しい本当の笑顔になったときが素敵だ。彼女の存在が裕福で知能指数が高くても子育ては充分ではないことを暗示している。
この3人を中心にルーシーが生まれたときから何かと世話をしていた外出恐怖症の隣人アーニー(ダイアン・ウィースト)、里親・ランディ(ローラ・ダーン)が良き理解者として登場する。敵役となったのは検事ターナー(リチャード・シフ)。知能指数が7歳程度のサムとルーシーの将来を考えたら、いくらシステムがシッカリしている米国でも常識を踏まえ親子で暮らすことは無理なハズで、裁判は親子を切り離す。それでも<愛こそすべて>と思わせる硬い絆があってこそ廻りも癒されるのだろう。想い入れをもって観ている観客はそんな当たり前の結論を望んでいない。観客の期待に応えてこそ本作は成り立っている。
映画評論家には散々な評価にも関わらず、映画は大ヒットしたのも頷ける。ビートルズのエピソードが散りばめられ、バックにカバー曲が流れこのファンタジック・ムービーを盛り立てている。
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