ゾディアック
2007年/アメリカ
真実に迫ったD・フィンチャー
総合 85点
ストーリー 85点
キャスト 80点
演出 85点
ビジュアル 85点
音楽 80点
「セブン」「ファイトクラブ」のデヴィッド・フィンチャーが、実在の連続殺人事犯ゾディアックに獲り付かれ翻弄される4人の男の物語。原作は風刺漫画家で本作の主人公でもあるロバート・グレイスミス。ジェームズ・ヴァンダービルトの脚本は真犯人をかなりボカシタものだったそうだが、D・フィンチャーは真実を知りたいという信念の原作と生存者や警察の協力を得て真実に迫っている。ケレンミのある作風を排し、淡々とした進行がかえってこの異常な事件を盛り上げてくれている。
4人の男とはR・グレイスミス(ジェイク・ギレンホール)以外に、SF刑事のデイヴ・トースキー(マークラファロ)と相棒のビル・アームストロング(アンソニー・エドワーズ)、そしてクロニエル紙の記者・ポール・エイブリー(ロバート・ダウニー・Jr)。
事件の異常さは犯人が暗号付きの大量の手紙を新聞社や警察に送りつけ、マスコミを利用した劇場型であること。「ダーティ・ハリー」の犯人スコーピオのモデルとしても有名。本作でもグレイスミスがトースキーと出会った映画は、「ダーティ・ハリー」を上映中。<ハリーに解決してもらえよ>と警官同士の投げやりな言葉を聴いたトースキーが<映画では強引にできることを実際法を守る警察官にはできない>というシーンがある。情況証拠だけでは逮捕できないジレンマを感じているトースキーを象徴していて印象的。
グレイスミスは冷酷傲慢な犯人に対する怒りが人一倍強く、トースキー刑事が転属になったあとも最有力容疑者を執拗に追いかける。迷宮入りのこの事件をドラマチックに盛り上げるフィンチャーの手腕は流石で157分の長さを感じさせない。
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