・3大俳優競演の豪華な西部開拓史ドラマ。
8月30日に亡くなったアンドリュー・V・マクラグレン監督。ジョン・フォードの秘蔵っ子として数々の西部劇を手掛けてきたが、本作もそのひとつ。所謂マカロニ・ウェスタンが台頭するなか本家アメリカが本格的西部劇を目指して製作されたもの。
ピューリッツア賞受賞作品A・B・カスリー原作の「The Way West」を「シェーン」のベン・マドウが脚色し、カーク・ダグラス、リチャード・ウィドマーク、ロバート・ミッチャムの3大俳優による豪華競演。
不況から脱するためミズリー州インデペンデンスから未開地だったオレゴンへ向かう<オレゴン踏破>の人々の苦難の道のりを、さまざまなエピソードを交えながら描いた西部開拓史ドラマ。
主人公のタドロック(K・ダグラス)は元上院議員でこの困難な旅を成功させるため、トキには非常で傲慢な隊長として奮闘する。川を渡る事故で死者が出ても時間を優先し、先住民スー族の少年を射殺したジョニーを絞首刑にするなど隊員たちの反感を買う行動も敢えて辞さない。
家族想いの農場主ライジ・エヴァンス(R・ウィドマーク)はそんなリーダーに反感を持ちながらも開拓地での夢の実現を優先し我慢を重ね従って行く。
冷静沈着なガイドのディック・サマーズ(R・ミッチャム)は先住民の妻を亡くし隠遁生活をしていたが、タドロックの挑発に乗って危険な案内役を買って出る。
そんな3人を中心に危険な旅が始まるが、それぞれの個性が巧く噛み合わずエピソードの羅列になってしまったのが惜しい気がする。
とくに主人公のタドロックがただの利己的なワンマンに終始しているように見え、ライジの妻レヴェッカ(ローラ・アルブライト)にまでモーションを掛けるのは身勝手な男にしか映らなかった。
結果、大切な息子ブラウニー(マイケル・マクグリーヴィ)を事故で失い、ヒトを動かすのは厳しさだけではないことを悟るが、自らも不幸な結末が・・・。
派手な撃ち合いやダイナミックな映像だけ?のイタリア製にはない西部開拓者魂を込めた作品だったが、残念ながら成功したとは言えない。
奔放な娘マーシーを演じたのが「ノーマ・レイ」(79)、「プレイス・イン・ザ・ハート」(84)でオスカーを2度受賞したサリー・フィールドの若い頃に似ていると思ったら本人で、これがデビュー作だったのに驚かされた。
この頃から切り口を変えた西部劇が作られ90年代、21世紀と西部劇は脈々と米国映画界に引き継がれて行く。本作はその分岐点で若い頃鳴らした西部劇スターの3人が熟年期を飾る1ページの作品だった。
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