晴れ、ときどき映画三昧

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「去り行く男」(56・米)70点

2019-09-25 12:04:18 | 外国映画 1946~59



 ・ シネスコで繰り広げられる昼メロ調西部劇。

 ポール・I・ウェルマンの小説をデルマー・デイヴィス監督で映画化した濃密な人間ドラマの異色西部劇。主演は「ギルダー」(46)、「暴力教室」(55)のグレン・フォード。

 ロッキーの山で崖から落ち失神したジューバル(G・フォード)は牧場主シェップ(アーネスト・ボーグナイン)に助けられ、その腕を買われ働くことに。
 シェップの妻メイに積極的に言い寄られたり、牧童ピンキー(ロッド・スタイガー)の嫉妬と憎しみに苛まされるジューバル。

 脚本家でもあるD・デイヴィスはラッセル・S・ヒューズとの共同シナリオで、登場人物の因果関係を絡めた西部劇に仕立て上げている。

 気立てが良く一本気だが女の扱いには無頓着なシェップと片田舎の牧場生活に飽き飽きしているメイの夫婦に現れたのが流れ者の主人公。40年代を代表するノワール「郵便配達は二度ベルを鳴らす」(46)を原型に、主人公を寡黙で誠実な西部の男にアレンジしたようにも見える。

 シネマスコープの大画面の迫力と雄大な風景で繰り広げられる人間模様は、主人公ジューバルを巡ってメイの浮気心とピンキーの嫉妬から事件となり、恩義あるシェップの怒りを買ってしまう。

 このあたりのシークエンスは、のちのオスカー俳優R・スタイガーの敵役の巧さと、A・ボーグナインのはまり役ぶりが際だっていた。

 メイを演じたバレリー・フレンチと幌馬車隊のリーダーの清楚な娘ナオミに扮したフェリシア・ファーが好対照な役柄で彩りを添え、幌馬車隊に随行する流れ者レッドのチャールス・ブロンソン、牧童マッコイのジャック・イーラムが端役ながら独特の風貌で存在感を見せているのも見逃せない。

 あっけないエンディングが少々物足りないが、なかなか拾いものの西部劇だった。

 デイヴィス監督、G・フォード主演の西部劇は「決断の3時10分」(57)、「カウボーイ」(58)と続くが機会があったら観てみたい。

 

 


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