・ リュック・ベッソンが、L・ニーソンで新キャラクターを生んだ。
リュック・ベッソンが「レオン」のジャン・レノ「トランスポーター」のに劣らない新キャラクターをリーアム・ニーソンを起用したタイムリミット・アクション。続編が4年後製作され、今年シリーズ3作目が待たれる。監督は撮影監督出身のピエール・モレル。
主人公ブライアン・ミルズはロスに暮らす元CIA工作員。退職したのは離婚した元妻レノーアと暮らす17歳の娘キムと会うためで、娘のためなら何でもするという親バカぶり。
折りしも誕生日にプレゼントのカラオケBOX持参で再会するが、裕福な義父からの馬のプレゼントに大喜びする娘に寂しい想いを味わう始末。
原題が「TAKEN(誘拐)」なので、溺愛する娘が誘拐され、ブライアンが必死に救いだすストーリーが連想される。想ったとおりの展開なのだが、思ったより本題に入らず序盤20分ほどは親バカぶりが目立つ。
これはL・ベッソンの思惑どおりで、家庭人としては失格のブライアンが、娘が旅先のパリで誘拐されそうになった途端、一変する。ここからは有無を言わさないノンストップ・アクションに目が離せなくなる。カーチェイス、ガン・アクション、ファイト・シーン満載は、突っ込みどころを引っ込ませる迫力充分。
筆者にとってL・ニーソンは「シンドラーのリスト」(94)の印象が強いが、「スターウォーズ」シリーズなど幅広い役柄でもお馴染み。今回55歳で演じた新しい人物像で健在ぶりを魅せてくれた。
<娘のためならエフェル塔も壊す>というブライアン。世の父親にはマネできないが、娘を心配する父親像はひとり娘を持った筆者にも充分共感の93分だった。