晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
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『転校生』 75点

2012-11-09 10:36:34 | 日本映画 1980~99(昭和55~平成11) 

転校生

1982年/日本

児童文学を青春ドラマにした大林監督

プロフィール画像

shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 75

ストーリー ★★★★☆75点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆75点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆75点

山中恒の「おれがあいつで あいつがおれで」を大林宣彦が映画化。主人公が小6だったのを中3に置き換え甘酸っぱい青春ドラマにした。
もともとCMディレクターとして数々のヒット作を手がけた大林監督初のメガヒットでもある。
男と女が入れ替わるという奇想天外なこの作品を、普通の地方都市・尾道の日常に展開することでホームドラマ的な雰囲気が漂い違和感なく?物語に入って行ける。
8ミリ好きの主人公・斉藤一夫と幼なじみの転校生・斉藤一美を演じたのは、当時無名だった尾美としのりと小林聡美。この2人が神社の階段で転がると姿カタチは変わらないのに中身は入れ替わってしまう。異性への関心は人一倍あるが実態については無知な世代が男と女を実感するエピソードが甘酸っぱく描かれてそんなことがあったかなと郷愁を誘われる。
一夫は女々しくなり一美は少し粗暴な男の子に変身したところに少し誇張が見られるが、今とは違い男は男らしく、女は女らしくという時代だったのですんなりと受け入れられる。
尾美のオカマ演技も良く頑張ったが、当時17歳だった小林の体当たり演技には驚かされ、それだけで演技賞ものだ。
当てにしていたスポンサー、サンリオが降りたために限られた予算で撮影された尾道の風景は後に尾道3部作といわれる2作品より生っぽい。音楽が権利の関係でクラシック音楽を使用したこと、エキストラがスタッフや町の人にしたことで地方都市のドキュメントのような味がしたのが要因か?
佐藤允・樹希樹林の夫婦、宍戸錠・入江若葉夫婦、志穂美悦子の先生など著名な個性派俳優たちが脇で目立たずに普通の演技をしていたのも主人公を引き立てる役割を果たしている。