晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

『ファンシイダンス』 75点

2012-10-24 10:40:58 | 日本映画 1980~99(昭和55~平成11) 




ファンシイダンス


1989年/日本






周防・元木の本格デビュー作





プロフィール画像

shinakamさん


男性






総合★★★★☆
75



ストーリー

★★★★☆
75点




キャスト

★★★★☆
80点




演出

★★★★☆
80点




ビジュアル

★★★★☆
75点




音楽

★★★★☆
75点





岡野玲子の人気漫画を周防正行が脚本化して自ら監督した本格デビュー作。今でこそ<僧職男子>として若い女性に注目される僧侶だがバブル期のこの時代は若い世代には未知の世界。おまけに頭を剃るだけで抵抗があり、主演俳優に難儀したという。そこで起用されたのが、シブがき隊から独立して俳優志向の強かった本木雅弘だった。
寺の跡取りでロックバンドのボーカリストだった塩野陽平が、禅寺で修行を送る1年間を描いた青春ドラマ。
普段の生活とはまるっきり違う修行生活のウラオモテを軽いコメディタッチで描きながら、シリアスな部分もシッカリと伝える周防タッチが窺える。本作が興行的には失敗しながらDVDで人気が出て「シコふんじゃった」から「Shall We ダンス?」へとブレークしていった経緯もあって周防ファンにとっては貴重な作品でもある。
同じ修行僧の弟・大沢健、珍来・田口浩正、英俊・彦麻呂たちのそれぞれの修行振りや先輩僧の光輝・竹中直人、徳井優の人間模様も現実離れしながらもこの世界を新鮮に描写している。修行僧のリーダー(首座)を命じられた陽平が法線式という禅問答は分からないながら何か格式ある儀式であることを教えてくれる。
今とは別人のような鈴木保奈美が初々しく、女僧侶の昌慧・甲田益也子の気品が彩りを添える。本木雅弘の初主演は今後の活躍が期待できることを充分証明した作品である。