晴れ、ときどき映画三昧

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『セント・オブ・ウーマン 夢の香り』 80点

2012-10-19 11:11:12 | (米国) 1980~99 

セント・オブ・ウーマン 夢の香り

1992年/アメリカ

低迷期を乗り越えたA・パチーノのオスカー獲得作

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆80点

「ミッドナイト・ラン」のマーチン・ブレスト監督による名門ハイスクールの奨学生と盲目の孤独な陸軍退役軍人との年齢差を超えた心の絆を描いた人間ドラマ。気難しく人間嫌いな現役を引退した男と将来性豊かな青年(少年)との心温まる交流はショーン・コネリーの「小説家を見つけたら」(00)にも見られるが、個性溢れる俳優の演技力が問われる作品だ。主演のアル・パチーノは期待に応え70年代の華々しい活躍から80年代での低迷期を払拭し、7度目のオスカーノミネートで主演男優賞を獲得している。
栄光の時代自分の犯したミスで盲目となり退役を余儀なくされたフランクは女好きでもあった。それは彼が生きてゆく上で唯一のエネルギーだった。盲目ゆえに香水には詳しく、英国御用達のフローレスやフランス・キャロンのフルール・ドゥ・ロカイユーが出てくる。なかでも中盤に出てくるNYプラザ・ホテルでのオーク・ルームで出会った女性・ドナ(ガブリエル・アンウォー)とのタンゴを踊るシーンは圧巻。キッカケは米国ハンドメイド・ソープの香りだった。
タンゴ・シーンで使われた曲は「ポル・ウナ・カベサ」でタンゴファンなら誰でも知っている名曲だが、歌詞は競馬で首差で負けた馬に例え、恋の駆け引きに負けた男の歌で、ドナとは一期一会だったところが象徴的。
純粋なハイスクール奨学生・チャーリーを演じたのはクリス・オドネル。自身の利益か友情かを迫られ思い悩む如何にも青春ドラマ風なのが物足りなさを感じないでもないが、彼の高潔さとそれを我が身に置き換え尊重するフランクの思いやりが後味の良いエンディングへと繋がっている。
157分は冗長な気もするが、フランクとチャーリーの人生を重ね合わせるには必要な時間だったのかも。ひとつだけフェラーリの運転には無理があったのでは?