晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

『キッズ・オールライト』 80点

2011-05-07 12:16:59 | (米国) 2010~15

キッズ・オールライト

2010年/アメリカ

実は普遍的なテーマの家族愛ドラマ

プロフィール画像

shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆75点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆80点

「しあわせの法則」のリサ・チョロデンコ監督が自身の体験を交えた同性カップルの家族で起こった騒動をハートフルでコミカルに描いたホーム・ドラマ。
カリフォルニアの明るさが、特殊な家庭だという印象を拭い去ってくれる。アネット・ベニングとジュリアン・ムーアというカップルが達者な演技の火花を散らすのが最大の見どころだが、お互い出番は想像していたより少ない。むしろ2人の子供が重要な役割を果たしている。17歳でもう直ぐ大学生として親元を離れるジョニ。15歳で多感なスポーツ少年のレイザー。ホームドラマの出来の善し悪しは子役で左右されるという定石がここでも当てはまり、この2人がなかなかいい。ジョニを演じたのはミア・ワシコウスカで大人になろうと背伸びしながら、不安が拭いきれない少女を好演。レイザーを演じたのはジョシュ・ハッチャーソン。医学上の父(精子提供者)マーク・ラファロを男性として客観的に観ている。あまりにも出来過ぎなのは、2人のママが欠点をさらけ出す人間性の反面教師なのか?
ジョニの母ニック(A・ベニング)は経済的にも精神的にも父であり夫であろうとするガンバリヤ。突然現れたポール(M・ラファロ)に敵意を剥き出しにするのは無理もない。レイザーの母であるジュールス(J・ムーア)はおんなっぽく、キャリアがないまま主婦業をしてきたことをハンデと感じている。一見平和な家庭に訪れる危機はどこの家族でもあること。夫婦ゲンカ・不倫・親子の確執をドラマチックにしたてながらリアルに見せ、そして深刻にみせない監督の手腕が実にきめ細やか。TVのゴールデン・タイムで放送しても問題ないほど、ほのぼのしたホーム・ドラマだと思う。
男の私が観て同情を禁じ得ないのが2人の医学上の父ポール。19歳のとき金欲しさに60ドルで精子提供したものの若気の至りとして忘れていたのに、子供と面会して家族愛に目覚めてしまう。女性の監督はどうしても男への視線が冷たくなるが、気の毒な役割をさせられてしまった。