佐賀のがばいばあちゃん
2005年/日本
がばいばあちゃんには人生の哲学がある
shinakamさん
男性
総合 80点
ストーリー 80点
キャスト 85点
演出 80点
ビジュアル 85点
音楽 75点
島田洋七の自伝小説の映画化。「がばい」とは佐賀弁で「すごい」という意味。昔は何処にでも居たおばあちゃんには、しっかりした人生哲学があった。
広島の母(工藤夕貴)が女手ひとつで2人の息子を育てるのは難しく、叔母さん(浅田美代子)に頼んで佐賀の祖母(吉行和子)に弟・明弘を託す。
がばいばあちゃんには一生貧乏という二文字がついて回ったが、それを吹き飛ばす<明るさと逞しさ>があった。その数年間の暮らしで得た、愛情溢れる人生哲学が随所に流れ、微笑ましい。そして今社会問題となっているイジメ・格差・環境汚染・リサイクルを、難なく超越した生活感に納得させられる。
明弘を3人の子役が素直な演技で分担している。特別出演の三宅裕司が大人になった明弘役で、子供の自分を回想するところに若干違和感があるのが残念。豆腐屋(緒方拳)が指で穴を開け豆腐を半額にするところ、運動会で先生が自分の弁当と交換するところなど周りの大人の思いやりも極めて温かい。
他に島田紳介・山本太郎・洋八が友情出演してこの映画を支えている。
佐賀を去る日、ばあちゃんが「はよ行け。」と言いながらも、姿が見えなくなると堪らず叫んだ「行くな!」が涙をさそう、心温まる作品だ。