風花病棟 帚木蓬生(著)2009年1月発行
帚木氏の作品にしては、珍しい短編集です。
今までの小説のようなドラマティックな展開や、サスペンスはないのですが、
しみじみと味わい深い話が10編。
いずれも、医療の現場を舞台として、「医師と患者」のあり方について、
様々な形が描かれていて、それが「人生」の生き方をも語っています。
それぞれの話に、必ず「花」が脇役として登場、それもまた楽しみ。
どの話にも、感慨を覚えたのですが、戦争と医師の関係(軍医)を取り上げて
いたのが、『チチジマ』と『震える月』で、
父と息子の関係がテーマとなっているのが、『百日紅』『震える月』。
(父子関係というのも、なかなか難しい問題なのですね。
母娘関係もやっかいだし、親子の問題って永遠のテーマなんでしょうね。)
『顔』は、病状がかなり衝撃的で、その現場にいて目視することだけでも、
私には無理だろうな、、、医療関係者はスゴイ。
『終診』は、30年間診療を続けたクリニックを閉じて引退する老医師の話。
この話は、個人的にとても身近に感じられるお話でした。
そして、『終診』のなかで、この老医師が若い研修医の頃、当直で初めての分娩
に立ち会うことになり不安だった場面で、看護師(三枝さん)の言った言葉が、とても
印象に残った。
「先生、これからも、患者さんから逃げんで、踏みとどまって、ちゃんと見届け
て下さい」
━逃げんで、踏みとどまり、見届ける。
若かった老医師は、その言葉を胸底に焼き付けて、彼の<指針>としたのです。
そして後に、三枝さんの最後を見届けることになる、という巡り合わせが
待っていました。
他にも、医師と患者の心の琴線に触れる良い話ばかり。
いつもの小説よりも、より作者の気持が、率直に表現されていると感じました。
10編中では、強いていうなら、理由はまだ不明ですが、
私は『震える月』に惹かれました。
短編なので時間がかかりません。
就寝前に一話づつじっくり読んでもいいし、通勤途中に読むのもいいかもしれ
ません。
現在は、色んな問題山積の医療現場ですが、どんな問題も、基本は医師と患者
のつながりなんだなぁ、とあらためて考えさせられました。
わがまま母
帚木氏の作品にしては、珍しい短編集です。
今までの小説のようなドラマティックな展開や、サスペンスはないのですが、
しみじみと味わい深い話が10編。
いずれも、医療の現場を舞台として、「医師と患者」のあり方について、
様々な形が描かれていて、それが「人生」の生き方をも語っています。
それぞれの話に、必ず「花」が脇役として登場、それもまた楽しみ。
どの話にも、感慨を覚えたのですが、戦争と医師の関係(軍医)を取り上げて
いたのが、『チチジマ』と『震える月』で、
父と息子の関係がテーマとなっているのが、『百日紅』『震える月』。
(父子関係というのも、なかなか難しい問題なのですね。
母娘関係もやっかいだし、親子の問題って永遠のテーマなんでしょうね。)
『顔』は、病状がかなり衝撃的で、その現場にいて目視することだけでも、
私には無理だろうな、、、医療関係者はスゴイ。
『終診』は、30年間診療を続けたクリニックを閉じて引退する老医師の話。
この話は、個人的にとても身近に感じられるお話でした。
そして、『終診』のなかで、この老医師が若い研修医の頃、当直で初めての分娩
に立ち会うことになり不安だった場面で、看護師(三枝さん)の言った言葉が、とても
印象に残った。
「先生、これからも、患者さんから逃げんで、踏みとどまって、ちゃんと見届け
て下さい」
━逃げんで、踏みとどまり、見届ける。
若かった老医師は、その言葉を胸底に焼き付けて、彼の<指針>としたのです。
そして後に、三枝さんの最後を見届けることになる、という巡り合わせが
待っていました。
他にも、医師と患者の心の琴線に触れる良い話ばかり。
いつもの小説よりも、より作者の気持が、率直に表現されていると感じました。
10編中では、強いていうなら、理由はまだ不明ですが、
私は『震える月』に惹かれました。
短編なので時間がかかりません。
就寝前に一話づつじっくり読んでもいいし、通勤途中に読むのもいいかもしれ
ません。
現在は、色んな問題山積の医療現場ですが、どんな問題も、基本は医師と患者
のつながりなんだなぁ、とあらためて考えさせられました。
わがまま母