紙の月 角田光代(著)2012年3月発行
書評の評価が高かったのですが、
個人的には、前回読んだ『空の拳』の方が好きですね。
『八日目の蝉』とかが好きな人には向いているかも、、、。
私は『八日目の蝉』とか『紙の月』は苦手なタイプです。
今まで読んだ角田作品の中で一番
「いいな~、凄いな~」と感動したのが『ツリーハウス』だけど、
これって、いわゆる角田ファンじゃないってことかな。
『紙の月』も、ごく普通に自分の回りにいそうな女性達の内面や行動が
すごく上手く描けていると思うんです。
金融業、銀行営業の内部事情もすごく詳しく正しく調査してあって、
「うん、あるある」「確かに、そういうことある」って、
個人的には分かりすぎて目に浮かぶ状況ばかりでしたが、
それでも、「分かる分かる」という心情と
共感するということは別、違う気持ちですからねえ。
こればかりは何ともなりません。
主人公が、横領に手を染めるに到る状況や心理が、
あまりに自然の流れのように描かれていて、
恐らく、事の始まりって、そんな風な感じなんだろうな、
とは想像するのですが、納得は出来なかった。
素人の私からみても、これは買い物依存症でしょう、
という友人女性の描き方も、
彼女個人の性癖、環境の問題としてのみ語られ片付けられて
いるのはどうしてなんだろう・・・。
ほんの少しも心の病気として扱わないのは何故なのか?
世の中に、普通にそういう問題で苦しんでる女性や家族が多いと
考えテーマとして扱ったのなら、
この流し方は理解しにくく、残念です。
・・・なんて不満を感じるのは私くらいなもんで、
多分、働く女性や主婦から共感が得られる小説なんだろうとは
思いますけれど、、、。
とても上手くできた小説だとは思いますが、
個人的には好みじゃなかった、というだけです。
わがまま母