腹を空かせた勇者ども 金原ひとみ(著)2023年6月発行
とても面白く、一気読みでした。
著者の初期の作品を読み、個人的に好みじゃないかな、、、と感じて以来、
敬遠していたのですが、何故か本書には興味が湧き、手に取ってみることに。
個人的になかなか接することのない、今時の女子高生「レナレナ」、彼女の母と父、
学校内の友人、学外の友人とのコロナ禍での生活が描かれていて興味深く、
学校と学外での活動やチョッとユニークな家庭環境での日々の一コマ一コマが、
すごく新鮮で、心に響いてきました。
明るく友達大好きな今時の女子高生と、娘にも常に冷静に接し理論的に会話する母親・・・
そんな家庭内での二人の会話はとても興味深く、いつも母親に言い負かされてしまう
「レナレナ」がチョッと可哀想に思えてきたりして。
明るいキャラの「レナレナ」でも、学校や家庭に居場所がないと感じ鬱々となることが
あり、「イーイー」(ゲーム仲間)に愚痴を聞いてもらったり、助言をもらったりして
生き伸びている。
今、悩んでる子たちも、彼女みたいにガス抜きできる人や場所があればいいのに、と
願いながら、我が娘に置き換え案じたりも。
現在の若者の生態、新しい家族の姿の一端を知り、生きづらい世の中ではあるけれど、
生きるヒントも見つけられる、と思わせてくれる小説、いい刺激を受けました。
わがまま母
— 河出書房新社 本の内容 —
私ら人生で一番エネルギー要る時期なのに。ハードモードな日常ちょっとえぐすぎん?――陽キャ中学生レナレナが、「公然不倫」中の母と共に未来をひらく、知恵と勇気の爽快青春長篇。
皆が違って複雑で、困難がデフォルトの今を見つめる、
幼くタフで、浅はかだけど賢明な、育ち盛りの少女たち。
『蛇にピアス』から20年、『マザーズ』から12年を経て、
著者が辿り着いた新たなる世界。
「この世に小説が存在していることを知らないような愛しい陽キャの小説を書きました。これまで書いてきた主人公たちとは、共に生涯苦しむ覚悟を持ってきました。でも本書の主人公には、私たちを置いて勝手に幸せになってもらいたい、そう思っています。」
ーー金原ひとみ
— 好書好日— より転記