ブログ 「ごまめの歯軋り」

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放射線量測定の怪? お粗末なご一席でしたが、間違いでよかった。

2011年03月28日 | 時事問題
asahi.com 2011年3月28日0時42分
「放射能1千万倍」は誤り 東電、違う物質と取り違え
 東京電力は27日、福島第一原発2号機のタービン建屋内のたまり水から通常の炉内の1千万倍の放射能を検出したと発表後、夜になり「違う物質と間違えた」と会見、さらにその訂正を28日未明に再訂正した。26日にもタービン建屋で計測した場所や数値を大幅に訂正した。
ヨウ素134という物質について採取時点の放射能を逆算すると、1ccあたり29億ベクレルとなった。通常の1千万倍にあたる。これほど大量に検出されれば、炉内で核分裂反応が起きている可能性すらある。原子力安全委員会は再評価するよう東電に求めた。
東電は27日夜、「減り方がもっと遅いコバルト56と間違えた可能性がある」と発表。しかし、28日未明の会見で「コバルト56ではなくセシウム134だった」と再び訂正した。午前の会見で「検出した」と発表していた別の2種類の物質も、実際には出ていなかったという。

採水後何時間か経ってから放射線量を測定し、分解速度から逆算して採水時の放射線量を割り出すやり方で、物質によって分解速度が異なるので、計算結果が異なる。放射線量は物質別に出るのではなく簡易型の線量計では総体的な放射強度である。物質ごとの線量計があればいいのだが、大型質量分析計に頼るしかない。専門家でさえ右往左往してこのようなミスをやるのだから、まして??? 自戒の念しきり、冷や汗どっと
間違いを正すのも情報公開の効果、以前の官僚ならすべて闇の中に葬るだろうに、なにせ無誤謬性神話に生きてきたのだから

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3月28日午前8時 茨城県空間線量率データ(茨城県放射線テレメータより)
http://www.houshasen-pref-ibaraki.jp/present/result01.html
測定局    NaI線量率nGy/h   風向    風速m/s
日立市大沼     486      東南東    1.8
東海村石神     380      西北西    1.6
水戸市吉沢     199      北西     0.7
鉾田市徳宿     276      北北東    1.1
(22年度測定値の統計はほぼ30-50nGy/hの範囲にあった。)
最近は晴れが続いているため、放射線量はかなり低減してきた。


読書ノート ぺートル・ベックマン著 「πの歴史」 ちくま学芸文庫

2011年03月28日 | 書評
円周率πの歴史から数学の幅広い展開へ 第14回

2.11) ニュートンの積分法

 偉大な科学の巨人ニュートン(1688-1744)の運動の法則はいまも殆ど無傷で成立する。アインシュタインが相対論でエネルギーと質量の交換性を指摘した程度である。ニュートン力学に較べると多少重要度は落ちるかもしれないが、数学では微分積分法を発見した功績も大である。1671年「プリンキピア」で分数ベキの2項定理をみつけ、無限級数と微分の発見の口火を切った。巨人ニュートンにとってπの計算などは行きがけの駄賃みたいなものであった。∫1/√(1-X2)dx=arcsin(x)を発見し、2項定理を使って1/√(1-X2)を級数展開して、各項を積分してX=1/2、atcsin(1/2)=π/6を代入すると有理数から成るπの級数を得た。この級数はグレゴリーの級数よりずっと早く収束する。ニュートンの時代、他の狩人たちはグレゴリー級数の改良を取り上げ収束の早い級数を見つけた人には、シャープ、マチンらがおり、100桁のπの値を得ていた。ここからπの計算精度は飛躍的に高まった。
(つづく)

文藝散歩 坪内稔典著 「柿への旅」 岩波書店「図書」

2011年03月28日 | 書評
「図書」2010年1月号 「柿への旅」⑨ 「漱石は柿だった」

 夏目漱石のあだ名は柿であった。あだ名をつけたのは正岡子規であった。その理由は「旨みは沢山、まだ渋みの抜けぬ」と評した。漱石には西園寺首相の文士招待の会「雨声会」辞退のことや博士号授与辞退のことがあり、「夏目何がしに過ぎないとのこだわり」の面目約如をいっている。その漱石には柿を話題にした小説「永日小品」がある。銀行の役員の娘と、下町の大工の息子の幼年期の意地っ張りの話である。崖上にいる銀行員の娘「喜ちゃん」が、崖下に住む「与吉」と、上下で柿をやる、いらないのやりとりである。「喜ちゃん」が上から投げた柿を与吉がかぶりついて渋いといって吐き出すしぐさが、いかにも漱石のような意地っ張りだったと稔典氏はいう。
(つづく)

筑波子 月次絶句集 「万骨沈海」

2011年03月28日 | 漢詩・自由詩
哭鬼千埋涕涙新     哭鬼千埋り 涕涙新に

海屍万骨不逢春     海屍万骨 春に逢わず

余寒料峭風悲夜     余寒料峭と 風夜を悲しみ
 
瓦上凄凄月弔人     瓦上に凄凄と 月人を弔う


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(韻:十一真 七言絶句仄起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)