ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

大震災と医療問題: 高齢者介護が懸案の課題

2011年03月26日 | 時事問題
医療に関する提言・レポートfrom MRIC by 医療ガバナンス学会(2011年3月23日) 「老健疎開作戦(第1報)」 小松俊平 亀田総合病院 経営企画室 より

 亀田病院からの提案である。①いわき市の老人保健施設小名浜ときわ苑を鴨川市に疎開させる。②受け入れ施設は「かんぽの宿鴨川」を利用する ③医療法人ときわ会が介護を行い、いわき市に保険請求する。④鴨川市はいわき市への協力を宣言する。困難は分割せよ。全体を国が把握するの不可能だ。地方主体が協力し,それをネットワーク化しよう。

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医療に関する提言・レポートfrom MRIC by 医療ガバナンス学会(2011年3月24日) 「今後の支援体制への提言ー医療から介護へ、関東から関西へ」 長尾和宏 長尾クリニック 尼崎 より

①「避難者支援」は「医療」から「介護」に重点が移っている。医療面では在宅医療と慢性期医療にシフトしている。在宅診療の「多職種連携」がキーワードとなる。医薬品と生活必需品などの配送ルート確立が必要だ。
②「疎開者支援」は受け入れ施設のリストアップと移送手段と費用負担問題である。透析患者の東北から関東への患者移送が効果を上げている。そして西日本が関東を支援する流れが生まれつつある。大型客船を利用し、医者・看護師が乗り込めばいい。


3月26日午前8時 茨城県空間線量率データ(茨城県放射線テレメータより)
http://www.houshasen-pref-ibaraki.jp/present/result01.html
測定局    NaI線量率nGy/h   風向    風速m/s
日立市大沼     563       東北東    1.2
東海村石神     437       北北西    3.0
水戸市吉沢     227       北北西    2.8
鉾田市徳宿     313       北       3.2
(22年度測定値の統計はほぼ30-50nGy/hの範囲にあった。)

読書ノート ぺートル・ベックマン著 「πの歴史」 ちくま学芸文庫

2011年03月26日 | 書評
円周率πの歴史から数学の幅広い展開へ 第12回

2.8) パスカルの三角形
 射影幾何学の祖で多彩な数学者パスカル(1623-1662)は円積法や新しいπの計算法を「4分円の正弦に関する論文」1958年に表した。「歴史的な3角形」で∫(sinθ)2dθの積分を行い、πの歴史上非常に重要な公式を得た。

2.9) ウォリスの無限乗積解
 円積法の基礎に貢献した人の中にπの計算を導く新しい公式を作った人にウオリス(1616-1703)がいた。当時ニュートンもライプニッツも積分法を発見していなかったので、4分円の面積をデカルト風に書くと∫√(1-X2)dx=π/4(Xは0-1間)であるが、ウオリスはまだ積分する方法を知らなかった。2項定理を使って展開し(カヴァリエリ・フェルマー・パスカルの公式)、π=2×(2・2・4・4・6・6・・・・・・・/1・3・3・5・5・7・・・・・)という有理数しか含まない最初の公式を得た。ウオリスの公式はπの歴史における偉大な里程標となった。数値計算の障害となる平方根の開法を含まないからだ。
(つづく)

文藝散歩 坪内稔典著 「柿への旅」 岩波書店「図書」

2011年03月26日 | 書評
2009年11月号 「柿への旅」⑦ 「俳人と大泥棒」

 柿の王様「富有」や「次郎」に較べると、御所柿は栽培が難しく、種が多いためメジャーにはなれなかった柿である。明治28年「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」の句は愛媛県「海南新聞」に発表された。その前に漱石の「鐘つけば銀杏散るなり建長寺」という句が存在した。句の構造が実によく似ている。順序が違うだけである。子規の句は柿を食っていて鐘が鳴るので、漱石の句は鐘が鳴って銀杏が散るのである。漱石の句は空気の振動が伝わるようでそれはそれで面白い。子規の句は物を食っているとき突然のように鐘がなるので意外性(心の動き)がいかにも作為的である。柿をはっきりと俳句の材料にする意図が明確となったと坪内稔典氏はいうが、浅学な私にはどちらがどうともいえない。もうひとつ付けたしのような、少年時代柿を盗んで大泥棒となった石川五右衛門の話がある。この話は無くてもがな。
(つづく)

筑波子 月次絶句集 「風評被害」

2011年03月26日 | 漢詩・自由詩
風評被害奈狂何     風評被害 狂を奈何せん

貨物流通不再過     貨物流通 再び過ぎず

所以安心疑可進     安心の所以 疑うらくは進むべし
 
唯将資幣転無多     唯将て資幣 転た多く無し


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(韻:五歌 七言絶句平起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)