ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

東北・太平洋大地震 茨城県西部からの報告

2011年03月12日 | 時事問題
午後2時半過ぎ晴れていた空が突然暗くなり、強い風が砂塵を吹き始めた。そして大地がぐらりと動いた。私が住んでいる茨城県は大きな地震はなく、いつもの事と高をくくっていたら、次第に揺れが激しくなり、立っていられなくなり、戸棚のものは殆ど飛び出し、植物の鉢は落ち、スピーカーは倒れ、額も大きく傾いた。そんな激しい揺れが5分ほど続いて収まった。さてそれからが大変で、部屋の中の散乱したもののかたずけが3時間ほどかかった。フランス人形ケースは落ちてガラスは散乱し、仏壇はひっくり返りばらばら、タンスは元の位置にあらず、散乱した本やCDをかたずけて、掃除機をかけ雑巾で拭いた。屋外に出ると、屋根から落ちた和瓦が十数枚砕けていた。壊れた物を屋外に出して、一息ついたのは午後6時ごろだった。よく部屋を点検すると、壁の壁紙は破れており石膏ボードもひびが入っているに違いない。壁紙と瓦の修理にいくらかかるのかと暗澹たる気分。鴨長明「方丈記」さながらの風景であった。幸い家族は全員無事、津波の心配のない内陸部だったので、不幸中の幸いとはこのことなり。犠牲者のご冥福をお祈りし、国会・メディアは政局遊びはやめ、一丸となった対策を講じられる事を願う。

文藝散歩 興膳宏著 「漢語日暦」 岩波新書

2011年03月12日 | 書評
漢語の季節感 第6回 最終回

 魚や木、花名などの言葉は日本語と漢語では異なる場合がある。ご存知とは思いますが、一応ご注意の事。
「雪人」:雪だるまのこと、スノーマンではない、「麦麺」:饂飩のこと、ワンタンに同じ。「臘梅」:12月を意味する臘月に咲くから、蝋梅と書くこともある、「大椿」:ツバキは日本在来種で中国には無い、中国の大椿は大木になる別種の木、「山茶」:ツバキは中国では山茶とかく、「辛夷」:こぶしの花ではなく、中国では木蓮をさす、「発生」:事件の発生ではなく、春万物が生まれること、「鼻息」:いびき、鼾のこと、「平和」:戦争と平和という意味は近代以降のこと、心の穏かな状態をいう、「玄鳥」:カラスではなくツバメのこと、「河豚」:ふぐのこと、「瓢鮎」:鮎はあゆではなく鯰のこと、あゆには香魚と呼ぶ、「松魚」:カツオのこと、鰹は別種の魚、「桜桃」:ユスラウメのことだが、太宰治の小説ではさくらんぼとなっている、「百日紅」:さるすべり、別名紫薇という、「芙蓉」:蓮花、荷花という、日本の芙蓉の花ではない、「都踊」:都踊りではなく盆踊りのこと、「麦酒」:ビールではなく別種の酒、麦焼酎にちかい、「短髪」:ショートカットではなく、年のせいで薄くなった頭の毛、「華甲」:還暦は和製語、「巌桂」:木犀のこと、金木犀を金桂、「茶梅」:サザンカのこと、山茶花とかくと中国ではツバキの事、「海参」:海鼠のこと、「手談」:囲碁のこと、「落語」:漢語には無い、「忘年」:年忘れの事ではない、年齢の差を無視する交わりのこと。
(完)

読書ノート 近藤宣昭著 「冬眠の謎を解く」 岩波新書

2011年03月12日 | 書評
シマリスから冬眠特異的蛋白質(HP)の発見への道 第7回

1) シマリスの冬眠中の心筋細胞の機能変化 (4)

 冬眠時カルシウムイオンチャンネルから流入する量は減少していたが、収縮力は非冬眠時と同じであったので、細胞内の小胞体からのカルシウムイオンが供給されていたのであろう。冬眠した心臓では細胞内の筋小胞体にためられたカルシウムイオンに依存した収縮を起こしていた。強心薬のイソプレナリンを投与して強制的にカルシウムチャンネルを開かせると、電位のプラトー相は非冬眠時に戻るが筋の収縮力は増加しないという変な結果が起きた。カルシウムは細胞に入っているのだがどこかに貯蔵されて隠されたように収縮力の増強とならなかった。この理由は心筋細胞内のカルシウム貯蔵庫である小胞体が冬眠時細胞で異常なまでに増強されていたことに秘密があった。このことは小胞体へのカルシウムイオン取り込み阻害剤によって証明された。低温で細胞内に流入したカルシウムイオンはたんぱく質や脂質を分解する酵素(キナーゼ)を活性化させる情報伝達物質であり、細胞を損傷したり、ミトコンドリア内に蓄積して機能低下させ細胞壊死を促進する。冬眠中はカルシウムイオンを調節することが重要になる。それにはカルシウムチャンネルを開かなくすることである。そしてカルシウムイオン供給を小胞体に任せたことである。そしてカルシウムを遊離した後、小胞体膜にあるCa2+ATPアーゼによって強力にカルシウムを回収している。このような微妙なカルシウム濃度調節機構を小胞体が有することが分った。冬眠中の心筋細胞の電位変化が、冬眠に入る前のシマリスの心臓でも起きていた。つまり冬眠モードになっていたのである。冬眠の時期に合わせて予め低温で働ける心臓に切り替える準備が整っていたのである。自律的な周期を支配する冬眠物質への探求がはいじまった。
(つづく)

筑波子 月次絶句集 「春塘菜花」

2011年03月12日 | 漢詩・自由詩
春塘雨潤菜花黄     春塘雨潤い 菜花黄に

麦圃天晴雀子翔     麦圃天晴れ 雀子翔る

東麓彩霞煙漠漠     東麓に彩霞 煙漠漠
  
西江浅緑草茫茫     西江に浅緑 草茫茫


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(韻:七陽 七言絶句平起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)

CD  今日の一枚 アルバン・ベルグ 「ヴァイオリン協奏曲 ほか」

2011年03月12日 | 音楽
アルバン・ベルグ ①「ヴァイオリン協奏曲」②「管弦楽のための3つの小品」
ヴァイリン:ギドン・クレメール
サー・コリン・デービス指揮 バイエルン放送交響楽団
DDD 1984 PHILIPS

ヴァイオリン協奏曲は1935年マーラーの妻だったアルマが再婚してもうけた娘がなくなり、ベルグがその哀悼のため作曲した。標題音楽的に前半が幸せな思い出を語り、後半は運命の過酷さを表現してい。1914年の作品「管弦楽のための3つの小品」は大変な難曲といわれて、1929年に改定された。無調性の自由な楽想が、デービスの指揮で大変聴き易い曲と成っている。