ブログ 「ごまめの歯軋り」

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読書ノート ぺートル・ベックマン著 「πの歴史」 ちくま学芸文庫

2011年03月28日 | 書評
円周率πの歴史から数学の幅広い展開へ 第14回

2.11) ニュートンの積分法

 偉大な科学の巨人ニュートン(1688-1744)の運動の法則はいまも殆ど無傷で成立する。アインシュタインが相対論でエネルギーと質量の交換性を指摘した程度である。ニュートン力学に較べると多少重要度は落ちるかもしれないが、数学では微分積分法を発見した功績も大である。1671年「プリンキピア」で分数ベキの2項定理をみつけ、無限級数と微分の発見の口火を切った。巨人ニュートンにとってπの計算などは行きがけの駄賃みたいなものであった。∫1/√(1-X2)dx=arcsin(x)を発見し、2項定理を使って1/√(1-X2)を級数展開して、各項を積分してX=1/2、atcsin(1/2)=π/6を代入すると有理数から成るπの級数を得た。この級数はグレゴリーの級数よりずっと早く収束する。ニュートンの時代、他の狩人たちはグレゴリー級数の改良を取り上げ収束の早い級数を見つけた人には、シャープ、マチンらがおり、100桁のπの値を得ていた。ここからπの計算精度は飛躍的に高まった。
(つづく)


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