ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

震災と医療問題 「透析」の現場

2011年03月18日 | 時事問題
医療に関する提言・レポートfrom MRIC by 医療ガバナンス学会(2011年3月17日) 「被災地の現状ー東北大学病院より」 竹内陽一 東北大学病院 腎高血圧内分泌科 より
 被災地の全般的な状態についてはテレビで報道されていますが、病院関係の被災状況は情報が十分ではない。そのための掲示板を被災各県で立ち上げた。緊急外来に発熱程度の患者は運ばれたり、急患病院に外傷・瀕死患者が運ばれるなどトリアージが錯綜している。宮城県内の10数カ所の透析クリニックは閉鎖されいる。3月14日から透析薬剤が少しであるが入手でき、小規模ながら再開を始めている。今後の薬剤と技師の確保が課題である。大学病院の透析センターは24時間フル操業しているが、パンク状態で近隣諸県へ受け入れてもらっている状態である。

茨城県18日午前8時の空間線量率データー
東海村石神 558nGy/h  風向き北西 1.5m/s
水戸市吉沢 153       北北東 1.0  (平常値は30-50 nGy/h)
空間線量率の測定結果のため、「nGy/h(ナノグレイ/時間)」と表示されておりますが、
緊急時における「nGy/h」と人体への影響を表す「nSv/h(ナノシーベルト/時間)」は同じ値です。
  1nGy/h(ナノグレイ/時間)=1nSv/h(ナノシーベルト/時間)

読書ノート ぺートル・ベックマン著 田尾陽一訳「πの歴史」 ちくま学芸文庫

2011年03月18日 | 書評
円周率πの歴史から数学の幅広い展開へ 第4回

 本書をまとめるにあたって、年代を追うのが煩わしいのでまず第1部でπの歴史と計算精度を暦年でまとめておこう。年譜のように利用できるからと、計算精度向上の競争は近年になって、コンピューター時代なると数学的興味というよりは、数値工学的プログラムの改良によるものである。その「精度の進歩」が半導体の集積度に比例しているようなので、学問的興味はなくなる。著者は計算上手を「アホウな奴隷」と呼んで軽蔑しているようなので、精度向上は本書の歴史の目的ではない。第2部で円周率の数学の進歩を数学の巨人の歩みとともに見て行こう。とにかく昔の人の作図法は天才的である。πの計算のためには何が必要だったのかを歴史的に見る作業である。
(つづく)

文藝散歩 坪内稔典著 「正岡子規ー言葉と生きる」 岩波新書

2011年03月18日 | 書評
言葉に生きた明治の群像 子規評伝 第6回

4) 病床時代(明治33年まで) (1)   
 明治29年2月頃から結核菌が骨を冒してカリエスとなり、子規は寝付くことが多くなった。腰の痛みに苦しみながら子規の文学活動は旺盛であった。新聞「日本」に「松羅玉液」、「俳句問答」を連載し、新たに佐々木信綱、与謝野鉄幹の会に参加して新体詩にも力を注いだ。新体詩の多くが散文調に流れることをきらい、「新体詩押韻の事」を発表して、韻をふむという形式が思いがけない効果を期待した。韻をふむ詩人として島崎藤村の「若菜集」を絶賛した。「松羅玉液」は我家の庭の草花に始まって、連想が多方面に広がる書き方は後の「墨汁一滴」にも繋がっている。そして面白いのはベースボールの解説記事である。野球用語を多く発案し、野球の醍醐味を知らせている。29年の夏より子規はしきりに「一題十句」を試みた。蕪村の「新花摘」から発想を得て、ひとつの題から様々な発想を紡いでゆく手法は、「頭を悩ましたからといって、いい句ができるわけでもなく、きわめて無造作に出来たと思う句にいい句がある」という考えである。一題十句は子規の主要な作句法となり、彼は多作となった。
(つづく)

筑波子 月次絶句集 「老残自適」

2011年03月18日 | 漢詩・自由詩
東風吹雨断塵機     東風雨を吹いて 塵機を断ち

沽酒蓑翁立釣磯     酒を沽い蓑翁 釣磯に立つ

不遜棹情終莫及     不遜情に棹して 終に及ぶ莫く
  
生涯怠業事皆非     生涯業を怠り 事皆非なり


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(韻:五微 七言絶句平起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)