ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

大震災と医療問題: 石巻市の患者の避難

2011年03月27日 | 時事問題
医療に関する提言・レポートfrom MRIC by 医療ガバナンス学会(2011年3月24日) 「情報から孤立した被災地 石巻市」 植田信策 石巻赤十字病院 より

 石巻市は11日の震災後、市役所が壊滅し情報発信も受信も出来なかった。石巻や南三陸沿岸地方からの県への被災情報伝達が出来なかったのである。石巻市立病院は完全に孤立し、自衛隊による患者救出が遅れた。避難所への患者搬送も困難を極め、マイクロバスで各避難所へ送り届ける状態であった。震災後3日後にも石巻赤十字病院に500名の患者が留まっていた。避難所の問題は、透析や在宅酸素療法患者、自力歩行できない患者、寝たきり高齢者、認知症患者など受け入れ側のスタッフが調わないところでは受け入れ拒否となり搬送できない患者も多く出た。現在の喫緊の問題は避難所への支援である。食糧、仮設トイレ、飲料水などかなり状況は厳しい。避難所の情報収集は市と赤十字救護班で行なっている。避難所に2.5万人、食糧を必要とする住民7万人がいますが、支援物質が豊富な仙台付近と違って、石巻市の状況は取り残されている。メディアらは往復に便利な仙台市近辺に留まって、石巻市にやってこないのも情報伝達上問題である。


3月27日午前8時 茨城県空間線量率データ(茨城県放射線テレメータより)
http://www.houshasen-pref-ibaraki.jp/present/result01.html
測定局    NaI線量率nGy/h   風向    風速m/s
日立市大沼     520       北     5.0
東海村石神     407       北西    2.6
水戸市吉沢     212       北西    1.6
鉾田市徳宿     294       北西    2.1
(22年度測定値の統計はほぼ30-50nGy/hの範囲にあった。)

読書ノート ぺートル・ベックマン著 「πの歴史」 ちくま学芸文庫

2011年03月27日 | 書評
円周率πの歴史から数学の幅広い展開へ 第13回

2.10) グレゴリーの無限級数

 スコットランドのグレゴリー(1638-1675)は微分積分法の発見に重要な働きをした。彼は1/(1+X2)の積分がarctangentとなることを発見し、カヴァリエリの公式を使って級数で表しグレゴリー級数を得た。arctangent(1)=π/4よりπの級数を得た。π=4(1-1/3+1/5-1/7+・・・・・・・) これがπに関する最初の無限級数であった。この級数はライプニッツが1674年に発見したことからライプニッツ級数と呼ばれることもある。唯この級数の収束があまりに遅すぎたため実際の計算には使わなかったようだ。もっと収束の早い級数はニュートンに残された。
(つづく)

文藝散歩 坪内稔典著 「柿への旅」 岩波書店「図書」

2011年03月27日 | 書評
「図書」2009年12月号 「柿への旅」⑧ 「柿は嫁の木」

有吉佐和子の小説「紀ノ川」は、明治末期から戦後までの真谷家三代の女、花、文緒、華の物語である。花の生家は九度山の木本家で、花が実家に帰省した折、祖母の豊乃から柿の枝を送られてそれを真谷家の庭の真ん中に植えた。時代は日露戦争の始まる前のころであり、この地は富有柿の名産地であった。柿の木は大きく茂り紀ノ川の柿は次第に女の象徴になってゆく。なにかこの地には嫁入りするにあたって柿の継ぎ穂を持ってゆく習慣がったようだと宮本常一は述べている。村の旧家には代々の柿の木が残っているそうだ。
(つづく)

筑波子 月次絶句集 「逃避行」

2011年03月27日 | 漢詩・自由詩
強行逃避杳難攀     逃避を強行するも 杳として攀り難く

双涕回看棄故山     双涕回り看て 故山を棄つ

求食他郷何日到     食を求め他郷に 何の日にか到らん
 
荒墟古里幾人還     荒墟たる古里に 幾人か還る


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(韻:十五刪 七言絶句平起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)