ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

読書ノート 矢野絢也著 「黒い手帳ー裁判全記録」 講談社

2010年02月24日 | 書評
創価学会と公明党による、元公明党委員長矢野絢也氏の日記奪取事件 第11回 最終回

3)なぜ矢野氏は創価学会より排撃されたのか (2)

そこで矢野氏はいつから自分が創価学会の排撃のターゲットになったのかを反省する。矢野氏の意識では2005年4月20日西口・藤原両副会長から文春記事のことで謝罪を要求されるまで、本人は学会とはずっと円満な関係であったと思っていた。文春記事は1994年のことである。なぜ10年以上も経ってからあの記事を問題にして謝罪を要求するまでになったのだろうか。ところが学会中枢では1979年の第1次宗門戦争で池田会長が退いた時、秋谷栄之助第五代創価学会会長と矢野氏ら学会幹部に対する池田氏の恨みが発生したようだ。1996年の池田氏の「女性スキャンダル」問題の処理についても池田氏の恨みが会ったようだ。ようするに池田を守れない弟子はダメで憎いらしい。とんでもない誤解であるが、池田絶対体制にある学会では、ご機嫌取りが個人の追い落としのために画作するようである。その池田氏側用人が学会本部事務総局第1庶務室長長谷川重夫氏である。池田氏と直接会話ができる事はない、すべて長谷川氏の口を通じて伝えられる。池田氏は天皇か将軍のように、簾の向こう側に姿を隠したままで、長谷川氏の言葉が池田氏の言葉になる。

 公明党議員が池田氏に睨まれたら政治的生命は無くなる。竹入元公明党委員長への池田氏の恨みは1972年の日中国交回復に起因したようだ。竹入氏の功績に嫉妬を抱いた池田氏は執拗に竹入氏を攻撃し、2006年5月党の資金500万円を着服したと東京地裁に訴えた。(東京高裁で和解成立) 30年以上も前の恨みを竹入氏の社会的地位を失わせることで恨みを晴らしたようだ。矢野氏への攻撃指令が池田氏の意向から出たことはもはや疑いは無い。池田氏からみの数々のトラブルを矢野氏は処理し解決してきた。秋谷前会長と同じように古株の幹部は池田氏のトラブルを知り尽くしていた。池田氏にとって用済みであるばかりでなく、栄光の池田教の歴史を書き変えるためのも、自己の暗部を知りすぎた危険人物は排除する必要があったのではないかと矢野氏は推測する。この書は矢野氏から池田氏への決別宣言である。今の池田教は会員を財産収奪の対象とみなし、投票マシーンとしか評価しないカルト宗教である。社会正義と秩序に反する創価学会を糾弾すべく、矢野氏は学会と幹部7名を東京地裁に提訴した。そして矢野氏は次のように宣言する。「私の青春時代の誇りだった創価学会を池田氏から取り戻すべく、同時にまじめな学会員が正しい学会を取り戻すためにも、残り少ない私の人生のすべてをささげる覚悟で闘う」
(完)


読書ノート 五十嵐敬喜・小川昭雄著 「道路をどうするか」 岩波新書

2010年02月24日 | 書評
道路利権集団による日本国食いつぶしを阻止する 第13回

5)小泉改革の無残な失敗 (3)

 2002年12月に国土交通省大臣諮問機関の第1回国幹会議が開かれ、2005年の民営化後は2006年2月に第2回国幹会議が開かれて、整備計画のあった高速道路の全線建設が決まった。無駄な道路作らないという民営化とは何だったのだろうか。全部必要ですといわれればはいそうですかと認めてしまう言葉のお遊びに過ぎなかったのか。民営会社といっても役員と職員は全部官僚の天下りで、国の資金が使えるという民間会社は「国有化」ではないだろうか。このあまりに強力な「道路族」を明らかにしておこう。「道路族」の狭い定義は「自民党の道理調査会の議員」を指すが、道路を利権とする人々と定義すると膨大な集団となる。自民党の高速道路建設推進議員連盟とか道路整備促進期成同盟全国協議会、日本経団連、地方6団体(全国知事会、全国都道府県議会議長会、全国市長会、全国市議会議長会、全国相町村会、全国町村議会議長会)などがある。全国知事会は反中央ではなく道路族なのである。そのほかに関係業界では日本道路建設業協会、日本建設業団体連合会なども強力である。仕事を貰う圧力団体である見返りに自民党の投票マシーンである。業界でも自動車や石油関係団体は税制が販売コストに響くことから、道路族とは見なされない。
(つづく)

月次 自作漢詩 「遊筑波梅園」

2010年02月24日 | 漢詩・自由詩
雨霽青峰月一痕     雨霽れ青峰に 月一痕

筑波山腹暗香繁     筑波山腹 暗香繁し

如流翠黛残霞去     翠黛流すが如く 残霞去り
  
欲染紅雲返照翻     紅雲染らんと欲して 返照翻る

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(韻:十三元 七言絶句仄起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)

CD 今日の一枚 シューベルト 「ピアノと弦楽のための室内音楽全集-3」

2010年02月24日 | 音楽
シューベルト 「ピアノと弦楽のための室内音楽全集-3」
アリオントリオ+クラウディオ・ヴェレス(ヴィオラ)、アンドラーシュ・シンシア(ダブルバス)
①「ヴァイオリンソナタ」 D.384
②「ヴァイオリンソナタ」 D.385
③「ヴァイオリンソナタ」 D.408
④「ヴァイオリンソナタ アルぺジョーネソナタ」 D.821
DDD 1989 BIS

シューベルトのヴァイオリンソナタの中で、アルぺジョーネソナタが最もロマン派的で情熱的であろうか。