ブログ 「ごまめの歯軋り」

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G7 菅財務相 財政再建を約束

2010年02月07日 | 時事問題
朝日新聞 2010年2月7日1時17分
「国債残高、金メダル級」 菅氏、G7で財政再建約束
 【イカルウィット(カナダ北部)=北沢卓也、尾形聡彦】5日始まった主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)では各国の財政状況も論議された。菅直人財務相は、日本の国債発行残高の多さを「我が国の国債残高は、オリンピックであれば金メダルが間違いなくもらえる水準だ」と紹介しつつ、2010年度予算成立後、直ちに財政再建に取り組む方針を「公約」した。

菅財務相兼国家戦略室長は柔らかい、したたかな政治家である。問題点はしっかり認識しゴールを考える姿勢は高く評価できる。「不倒翁」といわれた中国の故周恩来首相に似たタイプで、困難な状況を歩める政治家だ。自民党の「アル中」財務相の「朦朧会見」とは天と地の違い。

鳩山内閣支持率 45%

2010年02月07日 | 時事問題
朝日新聞 2010年2月6日22時50分
内閣不支持45%、初めて支持を上回る 朝日新聞調査
 民主党の小沢一郎幹事長の政治資金問題で検察当局の処分が出たことを受けて、朝日新聞社が5、6日に実施した緊急の全国世論調査(電話)によると、鳩山内閣の支持率は41%、不支持率は45%で、内閣発足以来、初めて不支持が上回った。小沢氏は幹事長を辞任するべきだとの意見が68%に達した。今夏の参院選比例区の投票先は民主34%、自民27%と差が縮まった。小沢氏の問題の影響が読み取れる。

アメリカのオバマ大統領の支持率も下がっている。公的健康保険改革や金融機関経営者報酬問題でもなかなか力を発揮でない。鳩山首相も小沢問題でつまずいている。確かに民主党といっても自民党とおなじ政治家が多くいる。本当に「命を大事にする政党」になれるかどうか、これからの政策に期待したい。自民党よりはるかにましな政党だから。政党は全て相対的。

中国の官僚主義 変わっていません

2010年02月07日 | 時事問題
朝日新聞 2010年2月7日2時21分
この写真で駅長クビ 中国帰省ラッシュ 世論は反発
 【上海=奥寺淳】2月14日の旧正月の帰省ラッシュが始まった中国で、駅員が乗客を列車の窓から押し込む写真が報道され、広東省東莞東駅の駅長ら幹部2人が更迭された。「管理能力不足」が理由だが、ネットなどを通じて同情論や免職反対論が全国的に高まり、波紋を呼んでいる。 問題の写真は河南省信陽行きの列車が東莞東駅に停車した時のもので、4分間の停車時間に出稼ぎ労働者ら1500人以上が列車に殺到し、窓から乗ろうとする一部の乗客を、駅員が尻を押すなどして手伝った。

中国の行政組織には、必ず監察官たる共産党幹部がついている二重権力機構(いや共産党独裁政権)となっている。こんな光景は戦後の日本では当たり前だったが、混乱期でもない今でも、鉄道の移送能力不足が続いているようで、駅員を首にするの本末転倒。

読書ノート 佐々木毅著 「政治の精神」 岩波新書

2010年02月07日 | 書評
政治を支える精神を、政治家、国民、政党の軸から読み解く 第15回

第3章 政治に関与する精神 (3)

 リップマンの議論とよく似ているが、経済学者シュンベータ-は「古典的民主主義批判」において「競争と選択モデル」を提議した。民主主義とは政治的決定の一つの装置であり、「公衆の意志を代弁する代表者を選出して、それにより公益を実現するもの」と提議した。つまり政治代議員制のことである。しかもシュンベーターは一義的に規定されるような「公益」なるものは存在しないという。公衆は日常性の世界から離れた国家・国際問題について現実感をもてないし責任感もない。そうなると特定の意志をもつ連中の乗ずる隙をあたえ、「作り出された意思」(一般意思)という虚構に操られるのである。そこで民主主義を定義しなおすと「政治的決定に到達するために、個々人の投票を獲得するための競争的闘争を勝った集団に決定力を賦与する制度」となる。優劣を決するためには排他的な「多数決原理」が必要である。政党とは「政治的権力を得るための競争的闘争で協力する集団」といえる。民主制とはある意味で「政治家による支配」である。権力は本質的に民主的権利を抑制するのはこのせいである。シュンベータ-はイギリス的政党政治を頭に置いた議論であった。人民による統治を「政治家による統治」に置き換え、人民の参加を「政党の選択」に限定したことである。逆にはそれ以上の人民の介入を許さないのである。民主主義の定義とはかくも曖昧なもので、自由主義民主制もあれば、非自由民主制(集中民主制など全体主義、社会主義民主制)というように何でもありの定義になってしまう。アメリカでは政党の力が弱かったので、政治的多元主義という「大統領制と議会」の関係となった。日本では自民党による政治体制は、有権者からの白紙委任を前提とした、利益集団インナー・サークルと政策決定集団インサイダーが合一した利益政治の化け物になっている。大衆はアウトサイダーになってしまったが、ハーシュマンは「失望と参画の現象学」において公益利益に参加する意義を説いて、NPO,NGOなど大衆の参画の意義を見直した。
(つづく)

読書ノート 山口二郎著 「政権交代論」  岩波新書

2010年02月07日 | 書評
健全な民主政治には、政権交代が常に必要だ 第17回

民主党は政権交代で何を変えたいのか (1)

 著者山口二郎氏は1996年の民主党の結党には多少の関わりを持っていた当事者である。したがって本書では「イギリスの労働党やドイツ社会民主党と同じ、日本において中道左派的な理念を持った政権政党を作り出す」ことが氏の目標であると、自分の政治的立場を宣言されている。評論家風にいつも正義の立場に立つというよりは正直でいい。はたして民主党はどのような政権構想を持つ党なのか、その軸はどこにあるのかをこの章で論じている。いわゆる護憲派、市民派は民主党不信感が強い。民主党を構成する人・指導する人のなかには自民党右派よりタカ派がいるし、自民党利権族議員と変わらない人も一杯いる。政治的腐敗度は自民党に負けじ劣らじで、いまいちクリーン度がよくない。その理由は民主党の離合集散の党歴にある。そこで民主党の歴史を振り返ろう。1996年9月の旧民主党は社会党右派とさきがけの政治家が作ったのである。細川政権の崩壊を経て非自民勢力も分裂し、小沢と公明党を中心とする新進党に続く第3勢力の結集であった。赤松広隆や筒井信隆などの社会党右派、鳩山由紀夫、菅直人などのさきがけの一部、横路北海道知事、そして支持基盤は自治労であった。この旧民主党の理念は、第1に官僚支配の打破と民主主義の徹底、第2に自民党の利益政治の打破と非経済的価値の尊重、第3に対外政策におけるシビリアンコントロールの強化であった。ところが1997年に新進党が解党し野党側は再び流動状態になり、1998年4月に旧自民系、旧民社系、日本新党系が合流して、現在の民主党が生まれた。
(つづく)