ブログ 「ごまめの歯軋り」

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連合 ベースアップ断念?

2010年02月08日 | 時事問題
朝日新聞 2010年2月7日20時44分
統一ベア要求、わずか 春闘へ産別労組の要求そろう
 今年の春闘で、連合傘下の主な産業別労働組合の要求がほぼ出そろった。デフレ経済下、連合の方針通り、大半の産別は賃金を底上げするベースアップ(ベア)などの統一要求を断念。統一要求に踏み切ったのは私鉄総連や紙パ連合などごくわずかだ。

連合というのは労働組合連合であったはず。経営者の要求を次々呑んでゆく姿勢は、前高木会長いらの伝統?闘わない連合に生活者の改革はできない。 これでは非正規労働者の組織化は不可能。自分達の権益だけを守る保守的な利害者団体に過ぎない。牙を抜かれた組合は経営者の補完団体に堕して久しい。

自民党参議員議員岩永氏(佐賀) 不出馬宣言 

2010年02月08日 | 時事問題
朝日新聞 2010年2月7日22時57分
「政権離れた生活は想像以上にむなしい」と参院選不出馬
 今夏の参院選佐賀選挙区(改選数1)での4選に意欲を示していた自民党の岩永浩美参院議員(67)が7日、県連の代表役員会で党への公認申請を取り下げ、立候補を断念すると表明した。その後の取材に対し「この5カ月間、政権を離れての生活は想像以上にむなしい日々だった」と述べ、野党転落後の議員活動に展望が開けないことを理由に挙げた。

昨年夏の衆議院選挙で落選した自民大物政治家の参議院比例区候補申請は却下され、現職参議院議員の野党生活に疲れて不出馬宣言 やはり野党では自民党の求心力(金)はなくなるようだ。道路を民主党議員に持ってゆかれ、金と票に逃げられた自民党議院哀れ!

読書ノート 佐々木毅著 「政治の精神」 岩波新書

2010年02月08日 | 書評
政治を支える精神を、政治家、国民、政党の軸から読み解く 第16回

第3章 政治に関与する精神  (4)

 トルヴィルは「アメリカのデモクラシー」において、「境遇の平等化」がもたらした弊害と大衆社会を指摘した。自由は特定の社会状態を定義できるものではないが、平等は間違いなく民主的な社会と不可分の関係にある。自由がもたらす社会的混乱は明確に意識されるが、平等がもたらす災いは意外と気がつかないものだ。平等化は自らの判断のみを唯一の基準と考えるが、自らの興味とは財産と富と安逸な生活に尽きる。そこで「個人主義」という「利己主義」に埋没する。民主化は人間関係を普遍化・抽象化すると同時に希薄化させる。そして人は民主と平等の行き着く先で「孤独」に苛まれるのである。平等が徹底されるにつれて一人の個人は小さくなり、社会は大きくみえる。政治的に言えば、個人は弱体化し中央権力が肥大化するということになる。中央権力も「平等」を望み奨励するが、それは平等が画一的な支配を容易にするからである。ここに新しい専制の可能性が生まれる。小さな個人にたいして巨大な後見人(政府)が聳え、個人の意識をより小さな空間に閉じ込め、しだいに個人の行動の意欲さえ奪い取ってしまう。そこでトルヴィルはアメリカの民主制は個人主義を克服する手立てとして、公共事業への参加によって個人の世界から出てくる機会を与えたという。日本においても経済拡大期には日本全体が「日本株式会社」といわれ、「総中流化」の配分を受けて「柔らかい個人主義」のなかにあった。政治は「安心・安全・安定」をスローガンとして、「お任せ民主主義」で政府は後見人の役割に徹した。それは専制というにはあまりに中央がはっきりしない形態であったが。1990年代からはこの大きくなりすぎた政府に対して改革に取り組むようになった。小泉政権でこの日本的システムは破壊されつくした。そして自民党的手法も立ち行かなくなって、いまや政権交代の時期に来ている。
(つづく)

読書ノート 山口二郎著 「政権交代論」  岩波新書

2010年02月08日 | 書評
健全な民主政治には、政権交代が常に必要だ 第18回

民主党は政権交代で何を変えたいのか  (2)

 1998年7月の参議院選挙で自民党は大負けし橋本内閣は退陣した。ここに最大野党として民主党が躍り出たのである。ただ反自民というだけで浮動票を集めた政策的傾向のはっきりしない野党というイメージであったが、2000年と2003年の総選挙、2004年の参議院選挙で着実に議席数を増やした。2003年9月自由党の小沢一郎と手を組むことによって民主党は成長し政権獲得も夢ではなくなった。ところが民主党の政策は混迷し続けた。鳩山代表は小泉改革に賛意を示し共闘を表明するという状態であった。何を改革するのか改革の理念もなかった。当時の民主党には「市場化のベクトル」と「市民化のベクトル」が混在していた。民主党の若手すなわち、元官僚、アメリカ留学者や政経塾出身者らは市場ベクトル追求者で小泉改革と同基調であった。民主党が有効な対抗軸を出さないうちに、小泉政権は社会保障削減、労働規制緩和、地方財政の切り捨てなど大きな政策転換を断行した。小泉の後安倍政権が出来ると、2007年参議院選挙で大勝し野党連合で参議院の与党となった。これが次の福田内閣を悩ましたねじれ国会の開始である。
(つづく)

環境書評 佐和隆光著 「グリーン資本主義」 岩波新書

2010年02月08日 | 書評
グローバル危機克服の条件 第19回

3)経済成長のパラダイムシフト (4)

 経済のグローバリゼーションはそろそろ曲がり角に入った。このままグローバリゼーションが続くと大変な「悪夢のシナリオ」が待ち構えているである。2030年に原油価格がバレル200ドルを突破するなら、どのような事態が起きるのだろうか。乗用車は電気自動車に置き換わり、トラックやバスも電気か天然ガス、バイオ燃料で動くだろう。飛行機だけは高価格のジェット燃料を使い続ける。安定な代替燃料がないからだ。ビジネスや観光旅行は極力制限され、世界は遠くなる。輸送価格は大幅値上がりとなり、輸出入は大きなハンディをつけられる。域内貿易しか考えられない。人と物にたいする移動コストの大幅アップによって、グローバリゼーションはストップする。情報だけは世界を駆け巡るが、人と物は移動できないのである。すると日本の食糧は自分で作らざるを得ないため、食糧自給率は上がらざるを得ないという付録がつく。トウモロコシからバイオ燃料というような、食糧が不足しているにもかかわらず、食糧以外に利用することは到底出来なくなり、セルロース系バイオエタノールの実用化が必須となる。
(つづく)