ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

戦後の豊かな消費時代の象徴 百貨店の終焉

2010年02月21日 | 時事問題
朝日新聞 2010年2月20日23時34分
希望退職に応募殺到 百貨店、今年閉鎖は10店に
 不振が長引き、収益力が落ち込んでいる百貨店業界で、不採算店の閉鎖と社員の希望退職募集が広がっている。各社が2010年に閉めると表明した店は、すでに閉店した分を含めて10店に達した。希望退職に応募が殺到するケースも多く、百貨店の厳しい経営環境を映し出している。
 3月14日に店を閉じる伊勢丹吉祥寺店(東京都武蔵野市)は、閉店セールにあわせた「アウトレットセール」のまっただ中だ。平日午後でも食器や靴売り場は客でにぎわい、高級品の時計も30%引きで売られている。60代の女性客は「私は『伊勢丹育ち』。若者と違って、買い物をする場所がなくなる」と話す。

戦後の大衆消費時代の代表だった百貨店 高級化路線の終焉 駅前の斜陽化と郊外型スーパーやアウトレットに押され閉店相継ぐ。これも大衆消費行動の変化を読めなかったことかな。

読書ノート 矢野絢也著 「黒い手帳ー裁判全記録」 講談社

2010年02月21日 | 書評
創価学会と公明党による、元公明党委員長矢野絢也氏の日記奪取事件  第8回

2)改竄されたICレコーダー録音記録と地裁・高裁判決  (1)

 元公明党議員3名が矢野氏宅を訪問した際にやり取りを録音したICレコーダーの記録がある事が分ったのは東京地裁の法廷であった。相手側弁護人は矢野氏側に5月17日と30日のやりとりを録音していない事を確認したうえ、「ところで三人は念のため本件の全てを録音していました」とICレコーダーの記録とそれを文章に起こした「翻訳書」を提出してきた。これに対して矢野氏側の弁護人は「録音はICレコーダーであり、コンピュータにデータを写した後にいくらでも編集は可能であるので、録音そのもののICレコーダ自体の原本を開示していただきたい」というと、相手弁護人は存在しないというので証拠としての疑念を示したが、裁判長は再生して尋問することを許可した。音声再生を聞いていると、あちこちで会話の連絡が不自然で、明らかに切り貼りしている様子が伺えた。それは矢野氏の記憶と違うからである。断片的に都合のいいところだけを採用して、大きな声で脅迫していると分るところは削除されているのであるが、この切り貼りを第三者である裁判官が証明できるかどうかにかかっている。ICレコーダーの64Mbメモリースティック(第1次記録媒体)をパソコンに複製し、更に他の記録媒体に移して他のパソコンに複製した物を証拠として提出したというのである。訴訟における原本主義からすると、第1次記録媒は原本として保管する必要がある。証拠としての64Mbメモリースティック(第1次記録媒体)の記録は無いというのであれば証拠の保管ないしは提出方法において著しく不自然であるといわざるを得ない。ところが5月30日に特徴的な出来事が矢野氏宅で起きているのである。矢野氏の妻が不在であると思って、家捜しの過程で妻の私室を開けた時に着替え中であった妻の「キャー」という叫び声が抹消されていたのである。この時の出来事は高裁では改竄・削除の形跡があると認定され、逆転判決が出たのだ。矢野氏は押し問答の中で「それなら手帖を燃やす」と言った言葉もなくなっている事を指摘した。
(つづく)

読書ノート 五十嵐敬喜・小川昭雄著 「道路をどうするか」 岩波新書

2010年02月21日 | 書評
道路利権集団による日本国食いつぶしを阻止する 第10回

4)道路 日本の危機の元凶 (2)

このように地方自治体が借金漬けになった理由は、自治体が道路を欲しがったからです。最も手っ取り早い産業振興と税収入源であったからです。なんせ事業から補助金まで国がプレゼントしてくれるようなものです。地方の道路予算は①国直轄事業、②国庫補助・交付金事業、③県単独事業の3つに分けられる。国が直轄で「指定区間の国道」を工事する場合、国が負担する費用は2/3で地方は1/3を負担する(受益者負担という)。「指定区間外の国道」を工事する場合、国は1/2を負担し、地方も1/2を負担する。地方が負担する分を地方は借入金で賄っているのである。それが積もり積もって福岡県の場合は借入金の返済分が道路財源の9割を占めているのだ。まさに麻薬患者のように国からの道路特定財源の注入を待ち、またそれの何倍も膨らんだ借金を余儀なくさせ決定的に体を蝕んでゆくのである。補助金事業は工事も管理も地方であるが、国から補助金を貰うには対応する事業資金(見せ金)を自治体が用意しなければならない。補助金と負担金が入れ子構造になって関連している。だから橋下大阪府知事がいうような負担金ボイコットは矛盾した言い方である。補助金は受け取って負担金は払わないなら、金を払わないで物を貰う論理である。

都道府県の道路関係費 1998年の予算 億円(比率%) 2006年の予算 億円(比率%)
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公債費         10464 (13.4)         21223(35.6)
経常費          4411(5.6)          4069 (6.8)
国直轄負担金       7067 (9.7)         5868 (9.9)
補助事業         25004 (32)         11894 (20)
単独事業         30765 (39.3)        16491 (27.7)
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総額           78242            59545

都道府県の道路事業がピークに達した1998年と景気後退の2006年を比較すると、上の表に見るように補助事業と単独事業費は半分に減少しているにもかかわらず、公債費は2.7倍に増えている。日本の地方の道路関係費用の35.6%は公債費つまり過去の道路建設の借金の元利払い費用なのである。内容的に見れば生活道路への投資が激減している。地方での財政逼迫によって公共事業費の削減が続き、現に道路特定財源は使いきれない事態になっている。そのため都市開発の「町作り交付金」が箱物つくりに使われている。都市再開発事業には殆どノーチェックで交付金が支給される(6割地元負担であるが)。今の日本の格差社会は大量の貧困層を生み出したが、これは小泉政権の自由主義政策と福祉の切り捨てだけによるのではなく、長年の道路建設に国費が使われたために疲弊した国家財政をそのままにしておいたのでは解決の道は無い。約6兆円の道路特定財源を一般財源に戻して財政健全化を図らないといけない時期が来ていることは明らかである。
(つづく)

月次 自作漢詩 「春雪即消」

2010年02月21日 | 漢詩・自由詩
春雪繽紛舞晩風     春雪繽紛と 晩風に舞い

今朝日出即消融     今朝日出て 即消融す

柳條初放江堤雨     柳條初めて放つ 江堤の雨
  
催暖新陽煙霧通     暖を催す新陽 煙霧通ず

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(韻:一東 七言絶句仄起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)

CD 今日の一枚 シューベルト 「4手のためのピアノ全集 卷3」

2010年02月21日 | 音楽
シューベルト 「4手のためのピアノ全集 卷3」(CD2枚組)
ピアノ デュオ:ヤーレ・タール、 アンドラーシュ・グレースイセン
①「ソナタ ハ長調」D.812
②「大行進曲」D.859
③「大行進曲」D.885
④「オリジナル主題による8つの変奏曲」D.813
⑤「ソナタ 嬰ロ長調」D.617
⑥「3つの行進曲」D.733
⑦「2つの行進曲」D.818
DDD 1993 SONY classicalドイツ