医療に関する提言・レポートfrom MRIC(2010年2月19日 ボストン便り第10回)「パワーゲームとしてのアメリカ医療」 細田満和子 ハーバード公衆衛生大学院研究員(社会学)より
アメリカの医療は医療関係諸集団(ステークホルダー)のパワーゲームで動いてゆくことから医療を見て行くと、①医師による専門職支配、②医療経営者の経営効率、③看護師などコメディカルの高度専門職化と地位の向上、④患者団体のロビー活動、⑤ケアーマネージ政治改革と政争という側面が目立ってきている。高度専門職としての医師の地位と権威は近年相対的に低下しつつある。それは経営陣やコメディカルなど他のステーキホルダーの力が増したことと、生命倫理学者や法学者の介入が増えたことによる。医療ビジネスマンは保険会社と有利に渡り合うため、経営の効率化を強力に押し進めた。人員削減、入院日数や病院へのアクセスを大幅に効率化し、私的利益の追求に躍起になっている。そしてオバマ大統領がケアーマネージ改革において妥協を重ねるにつけて、皆保険から「パブリックオプション」(私的保険の拡大)に後退し、ケネディ家の基盤であるマサチュセッツ州での上院議員補欠選挙でも共和党の勝利となった。ケアーマネージ改革は共和党と民主党の政争の具となった。
アメリカの医療は医療関係諸集団(ステークホルダー)のパワーゲームで動いてゆくことから医療を見て行くと、①医師による専門職支配、②医療経営者の経営効率、③看護師などコメディカルの高度専門職化と地位の向上、④患者団体のロビー活動、⑤ケアーマネージ政治改革と政争という側面が目立ってきている。高度専門職としての医師の地位と権威は近年相対的に低下しつつある。それは経営陣やコメディカルなど他のステーキホルダーの力が増したことと、生命倫理学者や法学者の介入が増えたことによる。医療ビジネスマンは保険会社と有利に渡り合うため、経営の効率化を強力に押し進めた。人員削減、入院日数や病院へのアクセスを大幅に効率化し、私的利益の追求に躍起になっている。そしてオバマ大統領がケアーマネージ改革において妥協を重ねるにつけて、皆保険から「パブリックオプション」(私的保険の拡大)に後退し、ケネディ家の基盤であるマサチュセッツ州での上院議員補欠選挙でも共和党の勝利となった。ケアーマネージ改革は共和党と民主党の政争の具となった。