ブログ 「ごまめの歯軋り」

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医療問題 : 「パワーゲームとしてのアメリカ医療」

2010年02月20日 | 時事問題
医療に関する提言・レポートfrom MRIC(2010年2月19日 ボストン便り第10回)「パワーゲームとしてのアメリカ医療」 細田満和子 ハーバード公衆衛生大学院研究員(社会学)より

 アメリカの医療は医療関係諸集団(ステークホルダー)のパワーゲームで動いてゆくことから医療を見て行くと、①医師による専門職支配、②医療経営者の経営効率、③看護師などコメディカルの高度専門職化と地位の向上、④患者団体のロビー活動、⑤ケアーマネージ政治改革と政争という側面が目立ってきている。高度専門職としての医師の地位と権威は近年相対的に低下しつつある。それは経営陣やコメディカルなど他のステーキホルダーの力が増したことと、生命倫理学者や法学者の介入が増えたことによる。医療ビジネスマンは保険会社と有利に渡り合うため、経営の効率化を強力に押し進めた。人員削減、入院日数や病院へのアクセスを大幅に効率化し、私的利益の追求に躍起になっている。そしてオバマ大統領がケアーマネージ改革において妥協を重ねるにつけて、皆保険から「パブリックオプション」(私的保険の拡大)に後退し、ケネディ家の基盤であるマサチュセッツ州での上院議員補欠選挙でも共和党の勝利となった。ケアーマネージ改革は共和党と民主党の政争の具となった。

読書ノート 矢野絢也著 「黒い手帳ー裁判全記録」 講談社

2010年02月20日 | 書評
創価学会と公明党による、元公明党委員長矢野絢也氏の日記奪取事件 第7回

1)手帖奪取事件 公明党と創価学会「政教分離」問題 (4)

 1970年の言論出版妨害問題では、池田氏は国会招致にひどくおびえ、共産党に対して竹入公明党委員長の更迭と「政教分離宣言」を約束した。1970年の選挙で公明党は惨敗し、これ以降の選挙において公明党候補者は全て創価学会で決めらるという、学会の全面的な支配下に入るという皮肉な「政教分離」宣言であった。1976年池田氏の女性スキャンダル問題を連載した雑誌「月刊ペン」を名誉毀損で刑事告発した。これも苦しい舵取りが要求された。訴えておきながら池田氏は立ちたくないというもので豪腕顧問弁護士山崎正友の活躍で、裁判と同時に和解交渉を進め、被告人に2000万円を届けた。(山崎弁護士は創価学会からなんと3億円の金を自分の会社に出させている) 1977年 日蓮正宗との紛争が起きた。これは池田氏が「日蓮正宗は民衆を導く機能を失った」と発言したためである。1978年日蓮正宗との間に「本尊模刻事件」がおきた。この事件で池田氏は会長を辞任氏、名誉会長に退くが、学会規約を改定し法的責任が無い立場で最高権力を維持するという暴挙をやってのけた。池田氏は本山批判を続けたため1991年ついに創価学会は日蓮正宗より破門された。これ以降池田氏の個人崇拝、会員からの金集めを強め創価学会は池田宗に変質した。1991年と1992年の創価学会へ税務署の税務調査が入った。当時矢野氏は公明党常任顧問で国税当局との橋渡しを依頼された。学会が譲れない条件は①非課税の公益法人会計には触れない、②寄付金である財務には触れない ③池田氏の秘書課である第1庶務室には触れない ④池田氏の個人所得には触れないというものだ。矢野氏の手帳が奪われたのはこの時の事実関係が詳細に記録されているのも一因だったという。創価学会(池田宗)から排撃された人には、日蓮正宗の顕師はいうに及ばず、「月刊ペン」訴訟事件で示談金問題を曝露した山崎元顧問弁護士、そして中国国交回復で功があった竹入元委員長、池田氏と女性を争った藤原行成元都議そしていろいろ知りすぎた矢野氏である。
(つづく)

読書ノート 五十嵐敬喜・小川昭雄著 「道路をどうするか」 岩波新書

2010年02月20日 | 書評
道路利権集団による日本国食いつぶしを阻止する 第9回

4)道路 日本の危機の元凶 (1)

 この国を支配する権力者集団の権力の源泉はあからさまにいえば「利権の中心に道路がある」といえる。この権力構造を作ったのが天才的土建政治家田中角栄氏であった。自民党の一党優先政治(55体制)の伝統も彼の手腕によるところ大である。GDPにしめる公共事業費の割合を見ると日本が6%で、アメリカは2.2%、ドイツは1.5%である。国土可住面積あたりに投資した道路建設額は日本が96M\/km2、アメリカは3.4M\/km2、イギリスが8.7K\/Km2である。桁外れに日本の公共事業なかでも道路建設が多いことがわかる。だから土建国家といわれのだ。2008年に国の公債残高は553兆円、地方の公債残高は197兆円、合計750兆円の公債残高である。そのうち国の道路公債は約250兆円を占めている。2003年の公共事業のなかで道路関係が28%、ダムや下水道や農林水産や文教施設などの比率が各々10%以下であるのに対して、道路だけが一方的に増加している。これが地方自治体のレベルになると、道路ほしさに負担金や債権を重ねて、道路特定財源が予算の急所を支配した。昨年2008年4月の暫定税率法切れには、薬の切れた麻薬患者のようにのた打ち回った地方自治体首長の醜態は記憶に新しい。たとえば2008年2月の新聞記事に「福岡県の道路財源587億円の行方」があった。道路特定財源からきた360億円と一般財源からきた227億円の合計587億円の財源の約9割509億円が借入金の返済へ消え、残った78億円を担保に、政府から238億円の国直轄事業費を貰い、県単独事業(借入金が殆ど)352億円、そして別途国費と借入金で国補助金事業で445億円に使うのである。つまり78億円を担保にして1035億円の道路事業をしている。なんかヘッジファンドの梃子効果(レヴァレッジ)に似ていませんか。他の県でも似たり寄ったりの借金漬けの状況です。昨今全国都道府県知事会が地方分権を叫んでいるのは、どうも自治拡大というよりは、税財源移譲によって多少やりくりが楽になるのではないかという目論見が先行しているようだ。道路依存体質はそのままにして国の税金を我田引水したいのが本音であろう。補助金と負担金という錯綜した依存関係(協力関係)の呪縛から逃れたいのだが、道路建設の累積借金はどうする積もりなのだろうか。親方日の丸が潰れるまでは税金をしゃぶりつくしたいという知事の根性が丸見えである。
(つづく)



月次 自作漢詩 「春雪寒甚」

2010年02月20日 | 漢詩・自由詩
陰雲降雪峭寒侵     陰雲は雪を降し 峭寒侵し

萬樹粧銀下凍禽     萬樹銀を粧い 凍禽を下す

香骨花遅風淅淅     香骨花遅く 風は淅淅
  
痩姿柳困影沈沈     痩姿の柳困しみ 影は沈沈たり

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(韻:十二侵 七言絶句平起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)

CD 今日の一枚 シューベルト 「4手のためのピアノ全集 卷1」

2010年02月20日 | 音楽
シューベルト 「4手のためのピアノ全集 卷1」(CD2枚組)
ピアノ デュオ:ヤーレ・タール、 アンドラーシュ・グレースイセン
①「組曲 へ長調」D.675
②「ヘラルドのオペラマリーから8つの変奏曲」D.908
③「ロンド ニ町調」D.608
④「3つの行進曲」D.602
⑤「幻想曲 ヘ短調」D.940
⑥「4つの変奏曲」D.603
⑦「ディヴェルトメント」D.818
⑧「6つのポロネーズ」D.824
DDD 1993 SONY classicalドイツ