朝日新聞 2010年2月9日7時14分
小沢幹事長、検察との対決続く 旧田中派で3度経験
田中角栄元首相、竹下登元首相、金丸信元党副総裁……。小沢一郎・民主党幹事長が自民党時代に同じ派閥に属し、「政治のボス」と慕った政治家はいずれも東京地検特捜部の捜査で追い込まれ、一線を退いた。自らの資金管理団体の事件で、初めて「宿敵」特捜検事と対峙(たいじ)した小沢氏。嫌疑不十分で不起訴となり、政治生命を保ったが、元秘書らの裁判や検察審査会で「対決」は続く。
党大会で小沢氏は言った。「我が党の党大会に合わせたかのように逮捕が行われる。これがまかり通るならば、日本の民主主義は暗澹(あんたん)たるものになってしまう。非常に憂慮している」
小沢氏は191回にわたったロッキード裁判をすべて傍聴した。政治評論家の鈴木棟一さんは「傍聴する中で、捜査の矛盾を確信したのだろう。それが検察への対抗心につながっている」と話す。
竹下内閣が退陣に追い込まれた89年のリクルート事件で、小沢氏は「東京地検は関東軍になったのか」と批判。
小沢氏に関する著作のある作家大下英治さんは「真の政権交代を成し遂げようという仕上げの時期に、またも特捜部が立ちはだかった」と小沢氏の立場を推し量る。
これに対し、特捜部経験の長い検事は反論する。「捜査対象に旧田中派の政治家が多いのは、それだけ権勢を誇ったことの裏返し。狙い撃ちしたわけではない」
検察は内閣を潰す力を持っている。総理大臣を逮捕すればいい。政変やクーデタ並の力で、後進国の検察と同じく一大政治勢力である。歴代実力派総理の逮捕理由にくらべて、今回の小沢氏への容疑はなんか規模が小さすぎる。検察の力みすぎに終わりそうだ。