ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

キリン・サントリー統合合意ならず キリン社長辞任

2010年02月10日 | 時事問題
朝日新聞 2010年2月10日14時26分
キリンHD、加藤社長が退任 統合断念で人心一新
サントリーとの経営統合の取りやめを受けて、会見するキリンホールディングスの加藤壹康 キリンホールディングスは10日、加藤壹康社長(65)が代表権のない会長に退き、三宅占二副社長(62)が社長に昇格する人事を発表した。就任は3月26日の予定。サントリーホールディングスとの統合交渉を断念したことを機に、人心の一新を図る。

朝日新聞 2010年2月9日1時39分
統合比率や創業家扱いで溝 キリン・サントリー破談
 国内食品最大手のキリンホールディングスと同2位のサントリーホールディングスは8日、経営統合を断念し、それぞれの社長が記者会見や取材に答えた。2011年春の設立をめざした持ち株会社の統合比率やサントリー創業家の扱いをめぐり、折り合えなかったことを明らかにした。

サントリーのビールの味が守られたのでほっとしている。サントリーは株式上場で資金を増やせばいい。キリンの社長の責任の取り方は政治家も見習うといいのだが。次元の違う話かな?

増殖型原子炉「文殊」14年ぶり運転再開へ

2010年02月10日 | 時事問題
朝日新聞 2010年2月10日5時1分
もんじゅ14年ぶり運転再開の見通し 地元も容認の姿勢
 ナトリウム漏れ事故以来停止している日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が、14年ぶりに運転を再開する見通しになった。経済産業省原子力安全・保安院は10日、同機構の「安全性総点検」最終報告を妥当とする評価案を、専門家による「もんじゅ安全性検討会」に提示する。同機構は内閣府原子力安全委員会の承認、地元の福井県、敦賀市の了解を得た上で、3月にも試運転を再開したいという。

近年原子力発電所の操業率が低下しており、「安全神話」はなくなった。ナトリウムという爆発性のある熱媒体の操作は本当に可能なのか 同じことは燃料電池の水素ガスシステムについても心配されるが。

医療問題:病院と診療所の連携誘導策を

2010年02月10日 | 時事問題
医療に関する提言・レポートfrom MRIC(2010年2月9日)「診療報酬改定議論にもっと病診連携の視点を」 長尾和宏 長尾クリニック院長 (尼崎市) より

 開業医よりの診療報酬改定による「病診連携」の推進を訴える提言です。1月の中医協で10年ぶりに僅かではあるが診療報酬がアップした(0.19%)。そのアップ分は病院勤務医への手当てに向けるべきで、産科、小児科、緊急外科を優先した方がいい。したがって報酬は開業医据え置き、勤務医1.5倍をめざしたいと著者は提案している。10年以上続いた医療費抑制政策のため殆どの医療機関は採算分岐点を割って赤字体質に転落している。この疲弊が医療崩壊を生んでいるのである。また著者は病診連携システム(病院は入院患者のため、外来は診療所利用を)を促進するため、外来患者の直接病院への直接アクセスの流れを変える必要がある。そのため窓口本人負担を病院30%、診療所20%という誘導策を提案する。いまこそ日本医師会は「地域医療連携」を強く主張すべきであると云う。

読書ノート 蓮池薫著 「半島へふたたび」 新潮社

2010年02月10日 | 書評
北朝鮮拉致被害者の蓮池薫さんが翻訳者として自立するまで 第1回

 私の勝手な勘違いで、拉致被害者としての北朝鮮での生活や情報が書かれた本かなと思って購読した。この本の内容は、拉致事件の状況や北朝鮮での生活や、北朝鮮の政治的軍事的経済的事情や北朝鮮民衆の生活などについては一切書かれていない。外務省や警察などの要望で、まだ北に残っている拉致被害者の安全を考慮して、公言しない事になっているようだ。普通なら当事者しか知りえない情報について誰でも書きたいものであるが、一切言及しないということにはそれなりの指導が入っているようだ。歴史の真実が全面的に語られるのはまだずっと先のことかもしれない。ということで出来ない相談をおねだりをしても意味がないので、本書の内容は「北朝鮮拉致被害者の蓮池薫さんが翻訳者として自立するまでのこと」で、蓮池さんが新潮社の企画で翻訳本を刊行した三人の韓国の作家を訪問する紀行文である。とはいえ嫌な思い出のある朝鮮半島の地を踏むということはそれなりに感慨深いものがあったに違いない。
(つづく)

読書ノート 佐々木毅著 「政治の精神」 岩波新書

2010年02月10日 | 書評
政治を支える精神を、政治家、国民、政党の軸から読み解く 第18回

第4章 政党政治の精神 (2)

 政党は政治家が集団で政権を目指し、集団でそれを運営しようという独特の仕組みである。福沢諭吉は「文明論の概略」において「衆議の習慣」が日本にはないことを指摘し、その習慣は西欧社会では自治に基盤を置くもので、それがなかった日本に簡単に根付くものではないといった。正統派多種多様な有為な人材を集めル事に最大の強みがある。政党は政治家同志の競争と相互監視をへて人材を鍛錬し支えあう仕組みと作ることが出来る。政治家による政治家の統治を踏まえたものでなくてはならない。「人材がいない」と嘆くのは政党経営の失敗ではないかと著者は指摘する。マックス・ウエーバーは第1次世界大戦後のドイツのワイマール体制において、無力な議会制とどうしようもない政党を批判して、指導者民主制を夢見た。極端な指導者制はヒトラーの独裁を招いたが、政党経営は政党間競争の厳しさにあった。比例代表制は無力な議会を生みやすい。小選挙区制度では一人が一票でも多ければ勝ち、他の票は無効となる。そして現実には政党の顔よりも政治家個人の顔で争う。そこに厳しさが生まれ政治家が育つのだと著者は言いたいようだ。
(続く)