ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

1億円以上の役員報酬は公開する  

2010年02月13日 | 時事問題
朝日新聞 2010年2月13日1時27分
1億円以上の役員報酬、個人ごとに公開へ 金融庁
 金融庁は12日、上場企業などの役員報酬について、1億円以上受け取っている役員名とそれぞれの報酬額を公表させる方針を決めた。報酬の内訳や算定方法も明らかにさせる。株主ら外部からの監視をしやすくするのが狙いだ。 従来の開示は報酬総額だけで、個人ごとの額は原則として非公表だった。金融庁は、内閣府令を改正し、有価証券報告書を発行している約4500社を対象に、その期に総額1億円以上を受け取る取締役、執行役、監査役の報酬額を個別に開示させる方針。決算後に企業が出す有価証券報告書に掲載させる予定だ。

アメリカのオバマ大統領でさえ手を焼いている。金融機関役員のべらぼうな報酬に制限を設けることが、金融界の猛烈な抵抗を受けているそうだ。濡れ手に粟の金融投資機関にはレヴァレッジ比率(取引金対掛け金比率)の規制が必要。新自由主義のアメリカでは難しいようだ。

iTunes不当請求 ネット取引の恐ろしさ

2010年02月13日 | 時事問題
朝日新聞 2010年2月13日6時43分
iTunes不当請求100件 被害の全容聴取へ
 アップル社の音楽配信サイト「iTunesで多発している不当請求被害をめぐり、消費者庁は12日、週明けに同社関係者を呼び、全容を聞き取ることを明らかにした。被害の数は判明しただけで約100件に上っており、利用者へ注意喚起することも検討している
 同庁によると、こうした被害はクレジット会社大手5社だけで95件に上り、1件あたりの被害額は十数万円に上る。各地の消費生活センターにも被害の相談が数十件寄せられており、中には40万円を超す事例もあるという。

不当請求されて、払ってしまった金はどこへ流れたのか。クレジット会社からiTunesへ流れたなら、iTunesへ返還請求すれがいい。すると犯人は何を目的にこのような操作をしたのか。ネット取引の信頼性は、このような事件が起きないことを前提している。根底からネット取引の危険性を露呈する事件だ。iTunesはどのようにして信頼を取り返すのか、方策を伺いたい。私の子供も音楽配信サイトを利用しているので心配。古い私はカード番号を打ち込むことに恐怖心があり、予約や買い物にネットは利用しない。

読書ノート 矢野絢也著 「黒い手帳ー裁判全記録」 講談社

2010年02月13日 | 書評
創価学会と公明党による、元公明党委員長矢野絢也氏の日記奪取事件 第1回

 知り合いに関係者がいて選挙のたびに投票を依頼されるくらいで、もともと新興宗教には興味を持たなかったので、創価学会や公明党のことは知りたいという気持ちがなかった。ただ昔から創価学会は言論に干渉を繰り返すカルト集団で、まちがえばオーム真理教みたいなところがあると警戒していた。創価学会はもとは日蓮宗の分派で、その熱血的なところは日蓮に似たところも感じられ、また唯我独尊的(独善的)なところも宗祖由来かなと思っていたに過ぎない。正直なところ深くは創価学会のことを考えた事は無かった。しかし最近は創価学会=公明党が権力側に傾き、自公連立政権で与党となって以来、やはり公明党にはそういう特性があったのだという理解に傾いた。それ以来私はすっかり公明党が嫌いになった。大昔から宗教は権力者に癒着するもので、あの親鸞の浄土真宗さえ江戸時代には権力の末端組織に組み込まれ、天皇家と婚姻関係を作るようになって全く権力と合一した。日本のすべての宗教は権力と癒着してきた。従って創価学会が公明党という政治組織を作り、自民党と結びつくことは歴史の教える通りである。
(続く)

読書ノート 五十嵐敬喜・小川昭雄著 「道路をどうするか」 岩波新書

2010年02月13日 | 書評
道路利権集団による日本国食いつぶしを阻止する 第2回

 「公共事業をどうするか」岩波新書1997年において、著者らはつぎのように総括している。
公共事業の七割は旧建設省、二割は農水省、一割は旧運輸省というシェアーである。(現在の省割では国土交通省が八割、農水省が二割ということになる)一般会計の累積赤字は240兆円、特別会計の債務残高80兆円、合計国の債務残高は320兆円になる。都道府県・市町村の債務は130兆円、旧国鉄など隠れ債務が43兆円、総計で485兆円という膨大な債務を日本国が背負っているのである。迫る財政破綻に対して国は公共事業にブレーキをかけるよりは増税による財政再建を目指している。公共事業には国が行う直轄事業、自治体に補助金を与えて行う補助事業、自治体が単独で行う単独事業がある。公共事業関係費の事業内訳は1980年以来変化はないが、道路事業が28%、下水道が18%、治水治山が17%、住宅が12.7%、農業農村整備が13%、港湾・漁港・空港が7.6%である。公共工事は天下りと官製談合入札がセットになって腐敗を生んでいる。国の補助金が全事業費を出してくれるわけではなく、足りない部分は県市町村が負担する。これを受益者負担というが押し付け負担ということも出来る。地方自治体はこの押し付けを拒否することが困難で、それが地自治体の膨大な財政負担になっている。公共事業が官僚独裁になっている理由は「総合計画の最終決定者は総理大臣であり、個別計画の場合は閣議決定になっていて国権の最高機関である国会は一切この決定過程には参加できない仕組みである。この法律に基づいて官僚は独裁的に計画や個別事業を裁量できるのである」mた「国土審議会」に諮られるというがこの審議会なるものは、官僚の計画に賛成の大政翼賛会的な審議会で反対論者は最初から官僚によって排除されている。
(つづく)

読書ノート 蓮池薫著 「半島へふたたび」 新潮社

2010年02月13日 | 書評
北朝鮮拉致被害者の蓮池薫さんが翻訳者として自立 第4回 最終回

 2002年9月拉致被害者五名を帰さざるを得ないとき、北朝鮮は誰を帰すかということを議論しただろう。それには「思想強固」で人質の子供がいる五名を選択したのだろう。しかしその後政府間交渉は進展せず、五名を日本に取られて経済制裁論議が盛んになってくる情勢を見て、北の日朝担当者は追い込まれていったと考えられる。この辺の日本での世論を導いた拉致被害者の会の活躍は大きかった。日本における北朝鮮問題のキーマンは当時の安部幹事長であって、福田官房長官と外務省ではなかった。それを受けて2003年2月11日外務省田中審議官と藪中局長が訪朝したが、何も進展さすことが出来ず空しく帰国した。特権意識丸出しで外交交渉は外務省の専売特許で外部の人間の口出しは許さないという言葉は勇ましいが、実情は何もせずノンキャリアーにまかせっきりの実務では進展するはずもなかった。悲しいことにこの外務省の無能は北朝鮮にも読み切られ、最終的には日本政府首脳と交渉するつもりでも、その前の話を煮詰める相手は日本外務省ではなく、言質に責任が持てる大物政治家にしたいのが北朝鮮の対応であった。 そこで現れたのが前自民党副総裁で小泉首相の友人で今浪人中の山崎拓氏であった。この第二次交渉の代表者を北に打診してお膳立ていたのが若宮氏と、山崎氏に近い女性ジャーナリスト二瓶絵夢氏であったらしい。山崎、平沢、若宮、二瓶、吉田氏は頻繁に会って交渉の前打ち合わせを行い、それは小泉首相、細田官房副長官には報告されていた。出かける前には山崎氏は公明党の冬柴幹事長の了解も取り付けた。こうして2004年4月1日大連で第二次交渉が行われた。それを受けて2004年5月22日小泉首相が第二回目の訪朝をして子息五名を引き取った。しかし曽我さんの家族については交渉が間に合わずに(ジェンキンスさんの軍法会議逮捕の問題で米国の理解が得られなかった)、後日インドネシアでの家族再会・日本帰国が実現するのである。