ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

医療問題: 新型インフルエンザワクチンは廃棄するほど余っている

2010年02月02日 | 時事問題
医療に関する提言・レポートfrom MRIC(2010年2月1日)「もったいないインフルエンザワクチン」 木村知 T&Jメディカルソリューションズ より

 昨年12月中頃から医療現場で新型インフルエンザ患者の発生や「新型インフルエンザワクチン」接種の問い合わせがめっきり減ってきた。メディアの報道もなくなり、2ヶ月前の騒動がまるでウソのような静まり方です。著者の院内の冷蔵庫には大量の国産新型インフルエンザワクチンが眠っているそうだ。92ml(180人分)のワクチンがあるにもかかわらず、最近接種に訪れる人は日に15人ほどである。1月21日医師会を通じて、輸入ワクチンの供給希望調査が来た。そこに書かれていた海外メーカ2社のワクチン接種用量と保存期間には驚くばかりの使い難さが平然と書いてあった。1126億円かけて輸入した9900万回分のワクチンはそっくり捨てることになりかねない。水面下では部分解約の交渉が始まっているといわれるが、厚労省はもったいないとは感じていないようだ。この文は新型インフルエンザ騒動が終焉した今日の備忘録である。

11年度アメリカ財政赤字 史上最高141兆円へ

2010年02月02日 | 時事問題
朝日新聞 2010年2月2日0時26分
米の財政赤字、10会計年度は141兆円 過去最悪
 【ワシントン=尾形聡彦、望月洋嗣】オバマ米大統領は1日、2011会計年度(10年10月~11年9月)の予算教書を発表した。現行の10会計年度の財政赤字は1兆5556億ドル(約141兆円)と、09会計年度(1兆4127億ドル)を上回り、過去最悪となる見通し。総額7870億ドルの景気対策に伴う支出が高水準で続く一方、税収が伸び悩むことが主な要因だ。 10会計年度は、財政赤字の対国内総生産(GDP)比が10.6%に達する。11会計年度の歳出は前年度比3.0%増の約3兆8339億ドル(約347兆円)に上る見込みだ。

経済危機対策費が膨れて、対GDP10.6% の財政赤字へ 日本も彼岸の火事ではないが、政権交代の日米政府は前政権のツケでアップアップ

小沢民主党幹事長関連ニュース 沈静化

2010年02月02日 | 時事問題
今、裏では何が進行しているのか。幕引きが始まったのか、小沢逮捕前の情報封鎖なのか?

小沢幹事長が第1回目の検察聴取に応じてから、政治資金記載問題関連のニュースがめっきり減ったと思いませんか。検察のリークが減り、メディアは何を書いていいか分らないからです。自主取材を怠り、検察の流す情報に頼りきり(検察詰めの番記者)、新聞社として見解を持っていないからだ。1月31日第2回目の検察の小沢聴取があったそうだが、それに関する記事のそっけないこと。要するに枝葉がついていない痩せた記事でしかなかった。今、裏では何が進行しているのか。幕引きが始まったのか、小沢逮捕前の情報封鎖なのか?さっぱり見えてこない。

読書ノート 佐々木毅著 「政治の精神」 岩波新書

2010年02月02日 | 書評
政治を支える精神を、政治家、国民、政党の軸から読み解く 第10回

第2章 政治をする精神 (2)

 アリストテレスは政治家像を「大きいものに値する人間でなければならず、よき卓越した人間であり、魂の大いなること」を前提とした。政治家は大きな名誉を目指して命を惜しまない者でなければならない。今の政治家に聞かせてやりたい言葉である。プラトンの「哲人王」は「狭量な精神は致命的な欠陥とみなされ、気宇壮大な精神、全時間と全存在を思う精神」という。けちな政治家が多い今日、浮気旅行に議員フリーパスを使う小さい人間を政治家と思う世間とはえらい落差である。立憲政治家像として、「英国憲法論」のバジョットは「平凡さと非凡さとの絶妙なバランス」と表現している。時代が変わると期待される政治家像も変わってくるのだ。マルクスは「ブルジョワの共通の事務を司る委員会」という言い方をしている。しだいに政治家の格調が下がってくる。20世紀においてはアメリカで少数のエリートと大衆という構図が登場した。エリートは大衆を騙し軽蔑し、大衆を統治の対象と見る。ドイツではマックス・ウエーバーが「カリスマ的支配」といった。大量に登場した大衆が政治に関与するようなって、全体主義や戦争という時代を背景に生まれた大衆政治論であった。政党は政治家の集団管理を行う上で果たすべき役割がある。政治家教育といってもいい。その能力を失った政党は政権担当能力を失ったのも同然である。これが三代続いてアホな首相を出した自民党政権の末路である。
(つづく)

読書ノート 山口二郎著 「政権交代論」  岩波新書

2010年02月02日 | 書評
健全な民主政治には、政権交代が常に必要だ 第12回

アメリカ・イギリスの政権交代 (4)
 イギリスには保守党、労働党、自由民主党、地域政党などがあるので、イギリスは厳密な意味での二大政党制ではない。イギリスは伝統的に小選挙区制であるため、労働党、保守党の二つの政党が生き残ってきた。650の下院議席のうち保守党と労働党がそれぞれ200あまりの絶対的基盤(セーフティシート)を持っている。それに中間票がどう動くかによって政権担当政党が替わるのである。イギリスの選挙戦といえばマニフェストが有名であるが、それほど厳密に有権者が吟味しているとは思えない。議院内閣制において官僚機構を動かすのは、下降型(ウエストミンスターモデル)といわれ、政策や政治的意思がトップダウンで行政府に下される。内閣は議会の多数派が構成する統治の最高指導機関とない、」閣僚は省庁の代弁者ではなく国家の大臣である。官僚機構に指示するのは内閣のみで、議会の議員が官僚機構に直接アクセスすることは禁じられている。行政府には政治任用のポストが多く、130人ほどの与党議員が行政府の官僚機構を統率する。イギリスの政権はチャーチルから4代13年間保守政権が続いたが、1960年代と1970年代は労働党政権が担当した。1980年代から1990年代まで18年間をサッチャー・メージャーの保守政権がアメリカのレーガンと一緒になって新自由主義政策を遂行した。そして1997年より労働党のブレアとブラウン政権となった。
(つづく)